生化学

生化学(22)鉄とエネルギー代謝ー続編ー

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生化学(22)鉄とエネルギー代謝ー続編ー

生化学(21)の基礎編に引き続いて鉄とエネルギー代謝の密接な関係について。

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■鉄と抗ストレスホルモンの関係

抗ストレスホルモン:崎谷先生がが保護ホルモンと呼ぶホルモンのこと。

その抗ストレスホルモンの中でも「プロゲステロン」という特に重要なホルモンがある。

鉄はプーファの酸化の触媒としてアルデヒドを作り、ミトコンドリアでのプロゲステロンの合成をブロックする。

つまり、鉄の存在下でプーファが脂質過酸化反応を起こすことで、コレステロールから保護ホルモンへの変換がブロックされるということ。

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■輸血は免疫機能を低下させる

これは昔から知られてること。

現代医学でも貧血時、ヘモグロビン値、赤血球数が下がればすぐ輸血を行う傾向がある。

輸血をした後は発熱がしやすくなり、また感染症にかかりやすくなる。

これも、優れた臨床医はおそらく感じてることだと思う。実際にエビデンスとしても出てる。

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*輸血で何故免疫機能が低下するのか?

これは、輸血に含まれる「鉄」そのものがマクロファージの機能を低下させる上、赤血球から遊離した鉄によってバクテリアが増殖するから。

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*瀉血療法

また、昔から瀉血療法というのがあらゆる慢性病に対して行われてきた。実は19世紀まで病気の治療のメインが瀉血治療だった。すなわち2000年の歴史を持ってる。

つまり、これは女性の生理と同じく「戦略的に鉄を体から排除する」ということで、免疫機能、感染症、ガンといった慢性病から体を守るための手段として長年の歴史を持っていたということである。

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■献血/鉄と心臓の仮説

となると、献血すると健康になるということになる。

これは現代の瀉血療法。これもたくさんのエビデンスが出てる。

献血を定期的に行ってる人は、脳卒中、心臓血管疾患が少ないということがわかってる。

これを、“iron-heart hypothesis”という“鉄と心臓の仮説”と言われてるが、血管障害が少なくなるということがすでにわかってる。

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■キレーション療法

その他にも「キレーション療法」というものがある。

血液そのものを抜くのではなく、血液中の鉄だけをキレーション療法で瀉血するという考え方がある。

これにより糖尿病あるいはガンが予防できることがすでに報告されてる。

“Cancer as a proteotoxic(?) disease.”(4:12聞こえたまま)

ガンがいかに鉄を増殖に使ってるかを伺える話である。

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■ソマチッドの話

昔から、血液中に「ソマチッド」という微小生命体が存在すると言われてる。

これは、ガストン・ネサンという人が自分の特殊な顕微鏡でそれが確認できたという逸話がずっと引き継がれてきた(特に代替療法の世界で)。

この微小生命体がガン、エイズ、免疫病を引き起こしてるという主張をそのガストン・ネサンがした。

そして、1966年に「ミクロの決死隊」という映画が流行った。血液中に小さい生命体がいてて、それが悪さをしてるという空想。

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実際にその微小生命体と言われたソマチッドの正体を調べていくと、赤血球の破片や赤血球のような微小粒子が出たり、あるいはゴミ、またバクテリア様物質の放出(バクテリアに見えるような形をした破片が出てる)があった。

なので、この赤血球の分裂したもの、あるいはダメージを受けた破片がその微小生命体に見えたのではないか、ということが2017年に報告されてる。

電子顕微鏡でこの破片を確認すると、確かに赤血球内にバクテリアのような形をしたものが見える。これは、このような赤血球内から放出される様々な小胞(micro vesicle/マイクロベジクル)がいかにもバクテリアに見える。そのため、赤血球から分泌される小胞などもソマチッドと誤認されていた。

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赤血球に限らず、全身の細胞から小胞(マイクロベジクル)あるいはタンパク質、遺伝子といったものが放出されて血液中でダイナミックに移動してるということがすでにわかってる。

7:18

つまり、私たちの細胞からは様々なものが分泌されて互いに交換しあってるということがわかってるので、このようなものが顕微鏡内で微小生命体に見えたというだけのことなのではないか?と言われてる。

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●休眠バクテリア

ところが、ガストン・ネサンが言ったことは誤認に過ぎないかもしれないが、実は非常に重要な示唆となった。

血液には培養検査という、血液を抜いてきて実験室で寒天の上で培養する検査がある。しかし、その培養検査でも見つからない休眠してるバクテリアが多数存在してることがわかってる。

つまり、現代医学では敗血症(全身の激しい感染症/血液がバクテリアに侵される)の状況では必ず血液培養を出す。

それで血液を培養するが、その中でバクテリアが全く見つからないということもある。あるいは、病原性を発揮してない=感染の主体ではないようなバクテリアが検出されることがある。

しかし、実際血液内には培養検査を出しても見つからない休眠バクテリアが多数存在してる。

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そして、血液中に存在してる休眠バクテリア(活性化してないバクテリア)が栄養素などをGETした時に目覚める。

*この休眠バクテリアが目覚めると・・・

エンドトキシン:グラム陰性桿菌と言われるバクテリアの細胞壁にある成分。内毒素とも呼ばれる。

腸内細菌の約80%以上がグラム陰性桿菌と言われるため、このエンドトキシンが腸の中から血液に移動すると大変な慢性炎症を引き起こすということがわかってる。

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その他、グラム陽性菌の細胞壁にもリポテイコ酸というものがある。

これもエンドトキシンと同じように全身に慢性炎症を引き起こす細胞壁の成分。

これが血液中を循環した時に全身に激しい炎症を引き起こす。

もちろん、休眠バクテリアという、血液中には普段培養しても見つからないようなバクテリアが目覚めると、血液中にこのようなものを放出して全身に激しい炎症を起こす。

これが敗血症の大きな原因でもある。

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これが起こる状況とは、「鉄の投与」である。

鉄剤の投与により休眠バクテリアが鉄をGETした時に増殖を始め、エンドトキシンやリポテイコ酸を放出する。それにより全身に激しい炎症を引き起こす。

つまり、シーボやリーキーガットがなくても、血液中に鉄剤を注射や投与するようなことを行うと血液中で休眠してたバクテリアがこのような内毒素を放出して慢性炎症を引き起こすということである。

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*休眠バクテリアが目覚める条件

→バクテリアの大好きな鉄を入れてしまう、ということ。

これにより、私たちが気がつかないような、現代医療の培養検査でもわからない・検出されないようなバクテリアが増殖してる。そして、炎症を引き起こす。

これが本当の見えざる内なる敵ということになる。

つまり、これが「ソマチッド」の正体である。

12:14〈映像確認〉

■炎症による赤血球死滅

これもバクテリア様に見える。

左上)健常人の赤血球は円盤型で真ん中が窪んでるような形をしてる。

一方、糖尿病、パーキンソン、関節リウマチ、炎症性物質を入れた時というような慢性病では赤血球そのものの形が変わってくる。

炎症によって赤血球が変形、死滅。そして、赤血球内の鉄が血液中に放出される。その鉄が休眠状態のバクテリアを活性化させ、エンドトキシンやリポテイコ酸という炎症性物質を放出することで炎症が加速する。

つまり、鉄剤の投与がなくても糖尿病、パーキンソン、関節リウマチという慢性炎症疾患という病態では、赤血球をその炎症により破壊して、血液中で赤血球から鉄を放出させることによってバクテリアが増殖する。

それほど鉄は恐ろしいということである。

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健康な人であれば血液にこのようなフリーな鉄はほとんど存在しない。

ところが、炎症や外傷により細胞内からフリーで鉄が漏れ出てくる。

これは、赤血球が一番鉄の貯蔵量が多い臓器だが、一般の細胞の中でも「フェリチン」という形で鉄は貯蔵されてる。

しかし、この貯蔵されてるフェリチンも分解され、鉄がフリーになるとその鉄はバクテリアを増殖させる、あるいはガンを増殖させる重要な供給源になる。

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そして、そのような形でフリーの鉄が漏れてくると、プーファの酸化からアルデヒドができる。これにより、シックネスフィールド(病気の場)ができる。

あらゆる炎症、自己免疫疾患、動脈硬化といったものが起こる。

また、もう一つは休眠バクテリアを含む様々なバクテリアを活性化し、エンドトキシンやリポテイコ酸という炎症性物質を放出させる。

このようなことでシックネスフィールドを作る。

これはいずれにしても、フリーの鉄がいかに恐ろしいかということを暗示してると思う。

15:06

現代の慢性病は、

・鉄

・プーファ

・エンドトキシン

というこの3つがほとんどの病因を占めるといっても過言ではない。

15:22

よく、女性が月経過多などで貧血気味になってる。

それで、クリニックなどで鉄剤を投与することがある。

例えば「子宮筋腫のある人が月経過多によって貧血傾向になる。それで、鉄剤が必要かどうか」などの質問をよく受ける。

この、“女性が余分に鉄剤が必要かどうか”を考えていきましょう。

16:03

■月経と鉄

生理で失う鉄は1日だいたい数ミリグラム程度。

ところが、女性は男性よりも鉄の吸収率が3倍ある。なんと、妊娠時には9倍にもなる。

そして、エストロゲンがヘプシディン(鉄の利用をブロックするタンパク質)をブロックすることで鉄利用を上げる。

このようなことから女性は生理で確かに1日数ミリグラム程度の鉄は失うことはあるが、基本的には鉄の吸収・利用率が高いので鉄欠乏性貧血になることは皆無である。

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そして、私たちは肝臓・脾臓に鉄のストックが大量にあるので、外科手術の大量出血でも鉄剤の投与はほとんど必要ない。

なので、月経については鉄のサプリは必要なしという結論になる。

これは、例え月経過多と言われてる子宮筋腫であっても同じ。

月経過多の出血による貧血でふらつくとか、調子が悪いというのではなく、子宮筋腫あるいは月経過多そのものの原因が「エストロゲンが作用してるから」である。

これによりふらつきが出る。

というのは、エストロゲンは脳の興奮毒でもあり、ミトコンドリアのエネルギー代謝をブロックするホルモンだから。

これを貧血だと勘違いするということ。

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■エストロゲンと鉄の関係

エストロゲン製剤である「ピル」を服用してる女性は鉄の血液濃度が高いということがわかってる。

エストロゲン濃度が高い50〜65歳(更年期以降)では、エストロゲン濃度はさらに上がってくる。

その50〜65歳の更年期以降の女性は鉄貯蔵量が男性並みに上がってくる。

この要因としては、

・生理で鉄を失わない

・エストロゲンの産生が更年期以後に高まる

という2つがある。

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エストロゲンは基本的に鉄の吸収及び利用を高める性質を持ってる。

このことによってもエストロゲンがシックネスフィールドを作る中心的な物質であることがわかる。

もちろん、「エストロゲンがガンを増殖させる」というのは、エストロゲンのダイレクトな作用もあるが、このように間接的に鉄の利用を進めることで炎症やガンの増殖、感染症の増大を引き起こす。

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エストロゲンは鉄の吸収を高め、血液中で肝臓細胞あるいはマクロファージからの鉄の遊離を高める。

これにより、鉄から産生されたハイドロキシラジカルがプーファにアタックすることでできるアルデヒド・過酸化脂質、鉄の沈着がリポファッシン(シミ)。

これはエストロゲンが関与することでリポファッシンの数がたくさん増える。

このシミは顔だけでなく心臓、脳、血管などあらゆるところにできる。

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■実際に鉄欠乏性貧血は存在するのか?

現代医学ではすぐに血清鉄が下がると、鉄剤を出したがる。

これが何故いけないことなのか?

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慢性的な下血、出血(しかも大量出血)で鉄が欠乏する貧血は極めて稀。

その理由としては、肝臓に豊富な鉄のストックがあるということ。また、糖のエネルギー代謝が回っていれば、リサイクルによって鉄利用が進むから。

なので、鉄の摂取が少なくて鉄が欠乏するという貧血は最後に考えるべき貧血だということ。

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交通事故などで大きな複雑骨折がたくさんあり、ショック状態になってる場合。この時は明らかに大量出血により鉄も少なくなってる。

しかし、一般の慢性病の貧血は上記のような大出血がない限りは、鉄欠乏性貧血ということは非常に稀である。なので、「最後に考える貧血」に挙げないといけない。

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■貧血の本当の原因

*甲状腺機能低下

最も、現代人に認められる貧血の原因とは?

それは、やはり『甲状腺機能低下』。この原因が最大のものになる。

というのは、甲状腺ホルモンは骨髄に働いて赤血球を作り出すという大事な「エリスロポエティン/Erythropoietin」というタンパク質がある。これは、赤血球を成長させるのに必要な成長因子。

このエリスロポエティンも甲状腺機能に関わってる。

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そして、甲状腺機能が低下すれば消化管から鉄、ミネラル、銅、ビタミンB12という血液・赤血球が形成されるのに必要な物質(ビタミン、ミネラル)の吸収・低下が起こる。

そのことからも慢性貧血を引き起こす原因となる。

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*慢性炎症疾患

また『慢性炎症疾患』。

慢性炎症疾患とは、戦略的に鉄の利用をストップさせる。つまり、戦略的に貧血状態にさせるということ。

肝臓からヘプシディンを上昇してフェロポーティンという鉄の輸送隊を分解させてしまい、鉄の循環を完全に止めてしまう。

そのことにより体を、鉄のバクテリアの増殖あるいはガンの増大から守るという戦略的な方法の一つが慢性炎症疾患。

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なので、貧血の本当の原因として、もし自分が貧血だと言われた場合は、①糖のエネルギー代謝の低下=甲状腺機能の低下をまず最初に考える。その次には②炎症がないかどうか(慢性炎症疾患)。炎症の指標も見る。

それで貧血の本当の原因を突き止めるのが可能になる。

つまり、血液検査で血清鉄だけを見て判断してはいけないということである。

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■鉄の本当の恐ろしさ

*フェントン反応

これは何と言っても「フェントン反応」。

鉄はFe2+とFe3+のイオン体の形を変えることで絶え間なくハイドロキシラジカルという最も反応性の高い活性酸素を作り出す。

この活性酸素を出すフェントン反応に必要なものが還元物質であり、多くの場合はビタミンCなどが使われる。

なので、食事中に鉄やビタミンCを豊富に含むものを同時に摂取すると、フェントン反応が進むということになる。

そして、フェントン反応で不可避にできたハイドロキシラジカルがプーファの自動酸化を引き起こす。

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還元はビタミンCと鉄の反応でもハイドロキシラジカルがたくさんでき、最終的にプーファをアタックする。

また、それ以外にももし還元ストレス=ミトコンドリアのエネルギー代謝をどこかでせき止めるものがあれば電子が渋滞する。使われない電子が渋滞すると、それはビタミンCと同じ働きをする。

還元ストレスにより鉄がフェリチンから遊離して同じようにフェントン反応が始まる。

そして、ハイドロキシラジカルを発生させ、プーファをアタックしてまたアルデヒドを作る。

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ということなので、ビタミンCがなくてもミトコンドリアのエネルギー代謝を止めるようなものがあれば、このように還元ストレス(細胞に過剰の電子の蓄積・渋滞)によってフェリチンから鉄を遊離させてしまう。

その鉄はFe2+とFe3+を行き来する。ミトコンドリアから出るフリーラジカルによりFe2+とFe3+のイオン体を交互に行き来することで、ハイドロキシラジカルを出す。

これが『フェントン反応』と言われるもの。

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Fe2+とFe3+のいずれも安定してる。なので、周囲に酸化還元物質があれば電子を受け取ったり放出したりする。

・電子を受け取る→Fe2+になる

・電子を放出する→Fe3+になる

このサイクルが無限に繰り返される。その間にフリーラジカルが無限に放出されるということになる。

なので、鉄の影響を最小限にするためにもプーファフリーにする必要があるということ。あるいは鉄を極力過剰に摂取しないことに気を配る必要がある。

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■ビタミンCとプーファと鉄

このセットで絶え間なくアルデヒドができる。

アルデヒドは近傍のタンパク質やDNA、リン脂質とすぐ結合し、「ALEs(終末過酸化脂質産物)」という炎症ゴミになる。

これは、不飽和度が高いほどたくさんできる。

つまり、オメガ3のEPA・DHAといった不飽和度が高いものほど鉄やビタミンCとのコンビでたくさんのALEsを作る。

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鉄とビタミンCの関係でプーファを自動酸化していくとアルデヒドを発生させる。

その他、炎症を促進する。

これは、炎症の様々なルートを活性化して炎症性物質をたくさん作る。この炎症性物質が遺伝子のスイッチを変えるため、生命場をどんどん変えていく。

つまり、実は遺伝子レベルでも作用してるということ。

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先述(25:15〜)の“糖のエネルギー代謝のどこかで電子の流れがブロックされると、電子が蓄積する”という話(=還元ストレス)。

その還元ストレスの指標としては、ナイアシンアミドの酸化型の「NAD+」が減って「NADH」と言われる還元型のNADが増える。

これが還元ストレスの特徴。

この状態では、細胞内でフェリチンがせっかく鉄をキレートして格納してるのに、ここから還元作用で鉄が遊離するという状態が引き起こされる。

そして、遊離した鉄はフェントン反応でハイドロキシラジカルを発生させ、プーファの脂質過酸化反応を開始させる。

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ただ、ハイドロキシラジカルだけでは不十分。ハイドロキシラジカルだけを投与した場合はプーファの脂質過酸化反応はハイドロキシラジカルがなくなればそれで終わりになってしまう。

ところが、鉄があることで延々と鉄のFe2+とFe3+の変換されるため、絶え間なくハイドロキシラジカルが産生されることになる。

なので、プーファの脂質過酸化反応には鉄が必要だということになる。

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■ミトコンドリアの真のダメージ

一般にミトコンドリアは糖のエネルギー代謝のところでも自然にスーパーオキサイド・過酸化水素を正常の状態でも産生する。

しかし、これはミトコンドリアの真のダメージにはならない。

ミトコンドリアの真のダメージを起こすのはあくまでもフェントン反応で産生される「ハイドロキシラジカル」。

ハイドロキシラジカルという最も反応性の高い活性酸素の時のみである。

なので、もし鉄のキレート剤などでフェントン反応を抑えれば、ハイドロキシラジカルによるミトコンドリアのダメージが軽減できる。これはすでに報告されてる。

それほど鉄の反応を抑えるということが重要になる。

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重要なのはプーファの脂質過酸化を開始させるのはFe3+,EDTAやFe3+,citrate?(32:04)(クエン酸)、あるいはFe3+,ADPの形。

このような形で細胞内に存在してることがある。

もちろん、ほとんどはフェリチンというタンパク質に格納されてる。

でも、一部は上記のように有機酸やEDTA、ADPというキレート状態でも存在してるということ。

またあるいはサプリ。

サプリは大抵このようなキレート状態で投与されてる。

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そして、このキレート状態でもフリーの鉄と同じように脂質過酸化反応が起こる。それによってミトコンドリア障害が起こることはすでに報告されてる。

ここで言いたいことは、「経口投与する鉄、または注射する鉄剤というのは、キレート状態だからフリーの鉄ではないためフリーの鉄のような危険性はない」というような暴論を吐く人がいてるが、これはとんでもない嘘だということ。

これはフリーの鉄とまったく同じ作用をする恐ろしいものである。

つまり、この形でもフェントン反応は起こる、ということ。

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■フェリチンに格納された鉄をフリーにしてしまう物質

ちなみに、せっかく細胞内にフェリチンというタンパク質でキレートした鉄(Fe2+)をフリーにしてしまう物質として以下がある。

・還元状態(フリーの電子の蓄積)

・スーパーオキサイドそのもの、あるいはパラコート:スーパーオキサイドも過剰発生すると、フェリチンから鉄を遊離させる。

・アルデヒド:アルデヒドそのものがフェリチンから鉄をフリーにする物質

・ビタミンC

・尿酸

・キサンチンオキシデース(xanthine oxidase)

・アロマテース:テストステロンからストレス時にエストロゲンに変換する酵素。このアロマテースも過剰にスーパーオキサイドを産生することによってフェリチンから鉄を遊離させる。

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このような物質の存在下でも、キレート状態でタンパク質に格納してる鉄が遊離してフェントン反応を始めたり、あるいは細胞外に出るとこれはバクテリアの餌になる。そして、エンドトキシンを発生させる原因になる。

そういうシックネスフィールドのパターンに入るということである。

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■鉄と硫黄の複合体

電子伝達系は鉄と硫黄の複合体(iron-sulfur)が埋め込まれてる。

この鉄と硫黄の複合体からも、実は鉄を遊離させる。

特に鉄と硫黄の複合体は電子伝達系の複合体Ⅰ、Ⅱにたくさん埋め込まれてる。このようなところから還元物質の存在下で鉄はフリーになる。

つまり、フェリチンから鉄をフリーに遊離するだけではなく、細胞内にある無数のミトコンドリアの電子伝達系の鉄も遊離させる。

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■鉄依存性の脂質過酸化反応

これはFe2+のイオン系。

しかし、Fe3+が、Fe2+の依存下に起こる脂質過酸化反応には必要。

また、鉄のキレート剤にデスフェラールという物質がよく使われるが、これを入れると脂質過酸化反応を抑えることができる。

これにより、脂質過酸化反応で起こる組織障害をブロックすることが可能になる。

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■ビタミンC製剤の生産場所も重要

先述(27:37〜)の“ビタミンCが鉄との関係でプーファの脂質過酸化反応に関わる”という話があったが、ビタミンCの製剤・サプリがマーケットでは現在ほぼ100%近くが中国産である。

このビタミンCを調べてみると、重金属汚染が深刻であった。

・メチル水銀

・鉛

といったものが検出されてる。

したがって、ビタミンCの製剤といっても「それを作ってるのがどこか」ということが非常に大事になる。

しかも、そのビタミンC製剤の中にそのような重金属が入ってるということは、鉄を摂取しなくてもビタミンCだけで十分フェントン反応でハイドロキシラジカルができたり、あるいは重金属そのものがアルデヒドと同じ作用をするので病気の場をいとも簡単に作ってしまうということになる。

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■フェロトーシス

最近、「フェロトーシス」と言われる細胞死が取り上げられるようになった。

・アポトーシス:細胞の自然死。跡形もなく綺麗に細胞がひとりでに分解していって、ゴミを残さず自分で自分を始末するという形=「細胞の自然死」と崎谷先生は呼んでる。

それに対し、

・フェロトーシス:フリーの鉄が細胞内に蓄積することで自分の細胞を死滅に追い込む(プログラム細胞死)。そういう機構が見つかってる。それを「フェロトーシス」と名付けてる。

つまり、フリーの鉄が細胞内に蓄積することで私たちが自分の細胞を死に追いやるということ。

39:16

*何故、「フェロトーシス」という名前がついてるのか?

これは他の金属類では無い。細胞内のあくまでも鉄に依存するシステムがフェロトーシス。

39:31

*フリーの鉄がたくさん細胞内に蓄積し、細胞が死んでいく(=フェロトーシスが起こる)条件

・フリーの鉄が細胞内に溜まること

・抗酸化物質である細胞内のグルタチオンがなくなってしまうこと

・または、上記によって脂質過酸化反応が進んでること

これらがフェロトーシス=鉄による自爆死が起こる必須条件。

40:06

このように、鉄が蓄積していくことで悪影響を最小限に止めるために、おそらくこの細胞死を誘導してると考えられる。

細胞がどんどん死滅していくことにより、

・パーキンソン

・アルツハイマー

・ハンチントン舞踏病

・躁鬱病

・統合失調症

・うつ病

が起こる。上記のような病態ではフェロトーシスが盛んに起こってるということが報告されてる。

40:40

これは、フリーの鉄が利用できることが大前提。

フリーの鉄とは、フェリチンからフリーの鉄が遊離するという形。これが、細胞内にフリーの鉄を増やす一条件である。

41:02(フェロトーシスをさらに詳しく)

“プーファを含んだ「ライソソーム」(タンパク質を分解する役割のある小器官)のリン脂質に過酸化脂質反応が起こる。”

つまり、ライソソームと呼ばれるタンパク質を分解するシステムの構造のリン脂質にプーファがたくさんある場合、脂質過酸化反応が起こるということ。

そうすると、“ライソソームの構造が壊れてフリーの鉄が遊離する。”

これはつまり、フェリチンのような鉄を含むようなタンパク質をライソソームが分解しようとしても、ライソソームの構造が破壊されてフリーの鉄がそこから遊離してくる、ということ。

41:56

そうなると、細胞質内でフリーの鉄がたくさんできる。すると、いわゆるフェントン反応で活性酸素、活性窒素種、中でも特にハイドロキシラジカルがたくさん発生する。

となると、細胞内でアルデヒドが発生する。これにより細胞の機能・構造が破壊されていく。

そして、アルデヒドが蓄積した細胞はもちろんマクロファージでも処理できない(マクロファージが消化できない)。

42:29

ということで、このような状態ではゴミが溜まる一方なので、細胞ごと死滅させた方が安全なので鉄による自爆死・自然死が起こる。

このように考えられてる。

42:47〈映像確認〉

フェロトーシスの図がある。

フリーの鉄が細胞内にたくさん蓄積した場合には、自ら細胞ごと始末するという機構を持ってる。

43:10

■加齢と共に鉄の蓄積は増加する

これは何故か?

老化細胞ではフェリチンの産生がどんどんUPする。

フェリチン:細胞内で鉄をキレートして格納するタンパク質。

一方で、フェロポーティンの産生が低下していく。

マクロファージから鉄をトランスポートして骨髄あるいは組織に持っていく、というようなことがだんだんできなくなってくる。

フェロポーティン:マクロファージから鉄を運搬する一つのタンパク質。あるいは小腸から血液に鉄を運搬するタンパク質。

44:00

このように、フェロポーティンの方は下がってくる。

つまり、鉄の運搬は下がり、細胞に鉄を格納するタンパク質は上がってくるので、細胞内の鉄の蓄積がどんどん進むということになる。

これは増殖細胞の20〜30倍、細胞内の鉄の蓄積が起こる。

44:26

そして、フェリチンの新陳代謝の低下。

これは、ライソソームという、フェリチンを新陳代謝する小器官の機能不全が起こる。

それはプーファがライソソームのリン脂質に含まれる(=構造に入ってしまう)と、脂質過酸化反応によりアルデヒドができる。そのアルデヒドによってライソソームの機能が変性してしまう。

それにより、フェリチンの新陳代謝が低下する。

なので、ますますフェリチンは鉄を抱えたまま蓄積する=動かない状態になる。

45:18

そうすると、老化細胞あるいはガン細胞はフリーの鉄が少なくなる。

何故なら、細胞内でフェリチンで抱え込んだまま動かないから。

つまり、老化細胞・ガン細胞はフリーの鉄によって細胞が死滅するフェロトーシスが起こりにくいということになる。

要するに、鉄を取り込んでもフェリチンに抱えたまま蓄積していくということ。

この状態で鉄剤を投与してもフェリチンとして蓄積するだけで、鉄の利用はできない。

45:53

つまり、高齢者や細胞の機能が弱ってる人、またはガンの人に鉄剤をもし投与したとしても、フェリチンとして蓄積するだけで鉄の利用はなかなかできないということになる。

ということは、「鉄を投与しても貧血が起こる」ということになる。

フェリチンが飽和すれば、いよいよフリーの鉄で脂質過酸化反応の危険が大きくなる。

このように、加齢と共に鉄の新陳代謝が落ちる。それにより鉄の蓄積が増加する。

46:37

“フェロトーシスは実際にミトコンドリアに形態異常が起こり死滅する”ということがわかってる。

46:49

■日常生活に直接関わる鉄との関わり

*鉄強化食品

たくさんの加工食品に鉄強化ということでキレート剤の鉄などが添加されてる。

鉄は清涼飲料水にも入ってる。

また、煎餅やキャンディーなどのお菓子類、さらにふりかけなどにも鉄強化というものがある。

47:28

そして、厚生労働省などの規制当局が添加物として鉄を混ぜる形で許可してるものは以下のもの。

・水溶性の鉄

・不溶性の鉄

・有機鉄

このような様々なものを許可してる。

47:52

この内、汎用性やコストの問題で加工食品によく使用されてるのが「水溶性鉄」↓

・塩化第二鉄

・クエン酸第一鉄ナトリウム(クエン酸鉄ナトリウム/クエン酸鉄):キレート状態の鉄。細胞内にもある。

・グルクロン酸第一鉄

・乳酸鉄

・硫酸第一鉄

このような水に溶ける鉄。これらを清涼飲料水や菓子類、ふりかけなどの様々な加工食品に入れ込んでる。

48:31

鉄強化食品やサプリで頻用されてる水溶性鉄の形である「クエン酸鉄」あるいは「EDTA鉄」といったキレート剤。

この水に溶ける鉄の形は、実はこれだけで大腸ガンを増殖・浸潤・転移させるということが2018年の研究で報告された。

48:55

これらの鉄キレート剤はもちろんフリーの鉄と同じ作用をするが、さらに細胞の増殖をオンにする「アムフィレグリン/Amphiregulin」というタンパク質を誘導することもわかってる。

アムフィレグリン:乳ガン、脳腫瘍、肺ガンといったガンでの診断や予後の指標の値が多いと予後が悪いということも報告されてる。

49:23

つまり、鉄強化食品の中に入ってるキレート状の鉄またはサプリや医薬品に入ってる水溶性の鉄はガンを増殖・浸潤・転移させるファクターになるということ。

なので、私たちは鉄のサプリ、鉄剤、鉄強化食品を避ける必要がある。

49:51

アメリカではシリアル、小麦食品に鉄分が添加されてる。

特に、硫酸第一鉄はフリーラジカル反応の高い鉄である。これはフリーの鉄とほぼ一緒のフェントン反応を引き起こす鉄。

これが添加されてるだけでも、添加されてる食品中のタンパク質や脂質などをすでに破壊する。

つまり、私たちが口に入れる前にもう既に鉄で発生したフリーラジカルによって添加された食品中のタンパク質も変性するし、脂質過酸化反応もどんどん進むということになる。

50:44

■鉄剤は甲状腺ホルモンの作用をダイレクトに低下させる

これは特に、「硫酸第一鉄」。

鉄剤としても使用されてる形だけど、直接「サイロキシン/Thyroxine」と言われる、甲状腺から産生・放出されるT4という活性型のその一つ手前の不活性型で、甲状腺から放出される甲状腺ホルモン。

これにダイレクトに鉄が結合することにより、甲状腺ホルモンの作用を低下させてしまう。

51:33

アメリカのシリアルに実際に磁石を持っていくと磁石に反応するということが示されてる。

それほど、私たちの食品にはこのような危ないものが混ぜられてるということである。

51:54

■ヘム鉄とノンヘム鉄

*ノンヘム鉄のキレーション/カルシウム

鉄にはヘム鉄とノンヘム鉄がある。

ノンヘム鉄の場合は、「カルシウム」がノンヘム鉄のキレーションには非常に有効である。

なので、やはり乳製品が良い。乳製品をしっかり摂ることで鉄の吸収を防げる。

あるいは、「フィチン酸」。玄米または全粒粉と呼ばれる籾殻(もみがら)に入ってる成分。

こういったミネラルを結合する物質によってノンヘム鉄はキレーションできる。

52:42

しかし、そのフィチン酸のようなミネラルを結合するようなキレーション物質はマグネシウムやカルシウムといった重要なミネラルにも結合して排出するために、鉄のキレーションとしてはオススメできない。

なので、やはりノンヘム鉄のキレーションはカルシウムの入ってる乳製品を使うのがよりベターである。

53:15

*食事ではヘム鉄に注意

しかし、食事による摂取ではノンヘム鉄ではなく、ヘム鉄。

ノンヘム鉄というのはあくまでも鉄強化食品のように不自然に添加したものや、サプリ・医薬品という形で与えるもの。

実際、そのようなものを摂取しない場合の私たちの注意点は食事になる。食事からによる「ヘム鉄」である。

ノンヘム鉄よりもヘム鉄は数倍吸収率が高い。

なので、やはりヘム鉄にも注意しないといけない。

53:56

■食事によるヘム鉄の摂取

牛肉、豚肉、鶏肉に含まれる全体の鉄の量は100g中12〜14mgで、ほとんど大差がない。

*鉄の含有量

臓器別では脾臓に最も多い。

しかし、脾臓は一般的に私たちの食卓に上がってくることはない。

私たちが日常的に摂取できる中では、やはり肝臓。レバーが鉄含有量が最も多い臓器となる。

それが牛、豚、鶏の中でも最も多いのが鶏。

鶏のレバー:8mg

牛のレバー:6mg

このように、鶏のレバーには案外鉄が多いことが報告されてる。

55:00

上記以外に鉄の含有量が多い食材として、

・牡蠣

・ダークチョコレート:これにはレバーの1.5倍量鉄が入ってる

私がダークチョコレートを勧めない理由が以下

①糖が含まれてない

②鉄の含有量

③ポリフェノールの多さ:ポリフェノールが体内に多く入ってきた時に生命場によっては逆の作用をする。

という理由から、糖がしっかり入ってるチョコしか勧めない。ダークチョコには案外ヘム鉄も入ってるということも知っておいてほしいこと。

55:53

■鉄の吸収を防ぐのには「コーヒー」

鉄の吸収を防ぐためにはコーヒーが非常に重要になる。

カフェインは鉄の小腸での吸収をブロックする。また、さらには糖のエネルギー代謝を高める物質。鉄の運搬をスムーズにする物質でもある。

そして、オレンジジュースはビタミンCたっぷり&糖質もあり、非常に重金属のキレーションをしてくれる。

たくさん鉄を含む肉類や魚と一緒にオレンジジュースを同時摂取すると、ビタミンCとヘム鉄ということになり、フェントン反応が進みやすくなる。

なので、この時には必ずコーヒーを飲むこと。

あるいは、オレンジジュースは時間を空けて飲むこと。

やはり、肉類などのヘム鉄がたくさん入ってるものを食べた時には食後にコーヒーを摂取することを勧める。これにより、ヘム鉄の吸収、または悪影響を最小限に食い止めることができる。

57:19

■その他、鉄の摂取で気をつけること

*鉄のフライパンや鉄瓶を避ける

特に酸性の食品の調理時には鉄が溶け出してくる。なので、鉄製のものを料理に使わないこと。

*鉄の吸収丸薬を減らす物質の摂取

・コーヒー

・お茶

これらが鉄の吸収を防ぐ。

*逆に、ビタミンCのサプリやビタミンCがたくさん含まれてるものを鉄の多い食事(レバー)と一緒に食べると甚大な影響が出てくる。

58:07(まとめ)

今回は鉄の続編として、エネルギー代謝の関連から鉄の危険性についてでした。

このように、鉄は現代社会では非常に摂取過剰になりやすい重金属でもあり、プーファやビタミンCあるいは還元物質とも組み合わせによりアルデヒドを発生させる大元にもなる。

そして、何と言ってもバクテリアを増やしてエンドトキシン、またはリポテイコ酸という炎症性物質を増産させる。そういう意味でも鉄の摂取には十分注意しないといけない。

59:00

また、私たちの体は鉄欠乏性貧血というような、本当に体内の鉄が少なくなって貧血になるということはほとんど稀。

あったとしても甲状腺機能低下により鉄利用できない、あるいは造血ができないパターンがほとんどである。

fin

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