生化学(24)水溶性ビタミン
生化学(24)水溶性ビタミン
今回はビタミンとエネルギー代謝。ビタミンの真実について。
0:12
まず、ビタミンには「水に溶ける性質」と「脂肪に溶ける性質」の2種類がある。
・水に溶ける性質:『水溶性ビタミン』
・脂肪に溶ける性質:『脂溶性ビタミン』
今回は『水溶性ビタミン』について。
0:36(水溶性ビタミンの本題に入る前に)
ビタミンといえば抗酸化作用を期待する、あるいはビタミン=抗酸化物質という図式がある人がいるかもしれない。
抗酸化ビタミンと言われてる、例えばビタミンCやビタミンE。
これらの臨床試験がどういった結果に終わったか。
1:12
*ビタミンE
ビタミンEの2型糖尿病の臨床試験では、全く糖尿病を改善できなかったということが報告されてる。
*βカロテン
βカロテンも抗酸化作用がある「ファイトケミカル/phytochemical」と言われてる。これと、ビタミンEの組み合わせ、あるいはそれぞれ単独の投与をし、男性喫煙者に対して臨床試験を行った。
が、この試験は途中で中止されたという曰く付きの臨床試験。
というのも、肺ガンのリスクが上昇したから。つまり、逆に肺ガンになったということで、臨床試験が途中で中止になってる。
1:59
*ビタミンC
ビタミンCは肥満と非肥満の女性に対して臨床試験が行われた。
これも、結果としては非肥満者に対してガンのリスクが2倍以上に上昇した。
*ビタミンEあるいはセレニウム(抗酸化作用がある微量元素)
セレニウム:糖尿病の発症リスクが高まった。
ビタミンE:前立腺ガンの上昇が認められた。
このような結果になった。
2:38
ということで、抗酸化作用を期待した臨床試験はことごとく失敗に終わってる。
2:47
■何故、抗酸化ビタミンの臨床試験が悲惨な結果に終わるのか?
実は、「抗酸化作用」とは活性酸素、活性窒素といったものを消去する作用のことを抗酸化作用と謳ってる。
が、そもそも慢性病の原因が、活性酸素あるいは活性窒素種が原因ではないということがまず挙げられる。
活性酸素や活性窒素種は“結果”であって、“原因”ではないということ。
3:34
では、原因とは?
原因としては、
・プーファなどの食事の問題
・環境毒:エストロゲン作用のあるような環境毒
・“感染”と呼ばれるような免疫抑制状態
このようなことにより、活性酸素や活性窒素種が“結果として”放出されるということ。
3:59
また、ロテノン、パラコートと呼ばれる農薬がミトコンドリアの電子伝達系の部分の複合体Ⅰ(コンプレックス1)にダメージを与える。そのような農薬がある。
ちなみに、抗糖尿病薬として現代医学で頻繁に出されてるメトホルミンという薬剤も、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体Ⅰにダメージを与えるもの。
こういったものを暴露すると、バクテリアでさえ最終的に活性酸素を急増させるストレス反応を引き起こす。
つまり、「活性酸素が起こる」というのは、“結果”であり“慢性病の原因”ではないということである。
4:56
活性酸素、活性窒素種を抗酸化ビタミンで除去しても原因の解決にならないばかりではなく、活性酸素種が持ってるシグナル作用(“今ストレスがかかってる”というシグナル)を打ち消すことになるので、それに対するストレス応答を除去してしまう。これは悪影響。
つまり、原因の解決にならないだけでなく、ストレス応答をなくしてしまう作用を起こすということである。
5:36
「2型糖尿病への4週間の運動、これに抗酸化ビタミンを投与して運動の効果が増強されるか」を調べた試験がある。
・500mgのビタミンCをⅠ日2回
・400IU(国際単位)のビタミンEを1日1回
これらの抗酸化ビタミンを投与した。
《結果》
これは、ビタミンを投与しないグループに対して、ビタミンを投与したグループではインシュリン感受性が低下した。
つまり、糖尿病がひどくなったという結果を引き起こしてる。
6:26
これは何故か?
運動によって起こるストレス反応がある。
そのストレス反応をビタミンがブロックしてしまうことで、さらに運動の効果を低くするだけでなく、病態を悪化させる結果に終わったということである。
6:58
植物も環境ストレスに対し、活性酸素種を発生させることがわかってる。
この場合は、植物の細胞壁のタンパク質を活性酸素種あるいはアルデヒドがクロスリンク(変性させる)して硬くして防御する。このようなストレス応答を引き起こす。
7:33
ビタミンは抗酸化目的ではなく、あくまでもエネルギー代謝との関連で見ていくと真相が見えてくる。
ここまでの話のように、抗酸化目的で使うビタミンはことごとく効果がないか、または悪い結果が出てる。
だからと言って、ビタミンのサプリが体に悪影響を与えるというわけではなく、実際にエネルギー代謝との関連を見ることでビタミンの重要性が浮き上がってくるということである。
8:15【水溶性ビタミン】
ビタミンはまず大きく水溶性と脂溶性に分かれる。
今回は水溶性の「ビタミンC」と「ビタミンB群」について。
《ビタミンB群で実際にエネルギー代謝、その他と関連してるもの》
・ビタミンB1(サイアミン/チアミン/thiamin)
・ビタミンB2(ライボフレービン/リボフラビン/riboflavin)
・ビタミンB3(特にナイアシンアミド)
・ビタミンB5(パントテン酸/pantothenic acid)
・ビタミンB6(ピリドキシン/pyridoxine)
・ビタミンB7(ビオチン/biotin)
・ビタミンB9(葉酸)
・ビタミンB12(コバラミン/cobalamin)
上記の水溶性ビタミンについてを詳しく見ていきます。
9:34
■水溶性ビタミンの特徴
エネルギー代謝の酵素を補完する補酵素として働く。
エネルギー代謝以外でも様々な代謝があるが、そういった代謝の酵素を補完する補酵素として働く物質である。
《脂溶性ビタミン》
また、脂溶性ビタミンで代謝の補酵素として働くビタミンもある。それが「ビタミンK」。
ビタミンKは水溶性ビタミンと同じく代謝の酵素をアシストする作用がある。
10:09
■ビタミンB1(英名:サイアミン/チアミン)
作用を持つのは活性型の「サイアミンパイロホスフェート/Thiamine pyrophosphate,TPP」と呼ばれるもの。
「TCA回路」と「ペントースホスフェート/pentose phosphate」という経路でこのサイアミンが使われる。
10:35〈映像確認〉
TCA回路:ミトコンドリアで糖がピルビン酸からアセチルCoAへ、そしてTCA回路に入り代謝されていく。
この時に重要な酵素として「ピルビン酸脱水素酵素」がある。
そして、α-ケトグルタル酸からコハク酸に変わるところで働くのにも重要な酵素がある。それが「α-ケトグルタル酸脱水素酵素」。
この2つともがビタミンB1の活性型の「TPP」が必要になる。
11:13
つまり、ビタミンB1欠乏でピルビン酸からアセチルCoA、そして、α-ケトグルタル酸がコハク酸に代謝されていくところがブロックされる。
要するに糖がまずTCA回路に入らない。あるいは、入ったとしてもTCA回路が回らない。
このようなことで、糖のエネルギー代謝に甚大な影響を引き起こす。
11:42〈映像確認〉
ペントースホスフェート経路:ストレスがかかった時に働く経路
グルコースからグリセルアルデハイド3リン酸というところでもビタミンB1(サイアミン)が作用してる。
12:06
*ビタミンB1の主作用
・何といっても抗エストロゲン作用
これは、肝臓でエストロゲンを代謝(デトックス)する時にビタミンB1が使われる。
・乳酸アンモニアを低下させる
ビタミンB1はTCA回路を回すのに必要なPDHを活性化させるのに必要な物質なので、乳酸を減らす。そして、アンモニアも低下させる。
これは、アンモニアを低下させるにはエネルギーが必要。
尿素回路でエネルギー、CO2があって初めてアンモニアをデトックスできる。
なので、ビタミンB1が十分にあることで乳酸アンモニアを低下させることができる。
13:07
・新生児糖尿病でインシュリン産生を回復させる
これは、膵臓のβ細胞。膵臓の機能・細胞・インシュリンを産生する細胞の機能を高める作用。
・ALE、AGEの形成のブロック
終末脂質過酸化産物(ALEs):ほとんどのアレルギー、自己免疫疾患、ガンの原因、動脈硬化などの原因。
終末糖化産物(AGE):ALEができると終末糖化産物もできる。
このALEやAGEの形成をブロックするのにもビタミンB1は重要。
14:00〈映像確認〉
グルコースあるいは脂質からALE、AGEができる過程を示したものがある。
ビタミンB1(サイアミン)、ビタミンB6(ピリドキシン)の両方ともが最終的にAGEとALEの産生をブロックしてくれる。
14:26
*ALEとAGE
ALE:アルデヒドとタンパク質がくっついたゴミ。
AGE:糖の代謝産物であるグリセルアルデハイドがタンパク質にくっついてできる。
これらはゴミとなる。なので、炎症を引き起こす。
AGE、ALEはマクロファージを過剰に活性させて炎症を引き起こす。あるいはAGE、ALEそのものが変性したタンパク質となるし、または遺伝子にくっついた場合は正常なタンパク質と機能を変性させてしまうので、これができると生命の場をシックネスフィールドに変えてしまう最大の要因になる。
これを、この途中でビタミンB1やB6といったものが形成を軽減することができる。
15:33
*終末糖化産物(AGE)の形成
終末糖化産物(AGE)は2つの経路がある。
グルコースから「3デオキシグルコース」。あるいは「メチルグライオキサール(MGO)」というマヌカによく含まれてるもの。
このようなものがタンパク質と結合して、タンパク質を変性させる。その変性したものを「AGE」と呼んでる。
16:12
ところが、まずこの反応が非常に遅いということ。
そして、これができる経路→グルコースが解糖系からピルビン酸になりTCA回路に入るが、このTCA回路に入るところをブロックされて解糖系だけになってしまう。この状態の時に初めてAGEができる。
ピルビン酸がTCA回路に入らない状態というのは、プーファの存在でピルビン酸脱水素酵素(PDH)が阻害される。
エストロゲン、コルチゾールといったものも、ピルビン酸からTCA回路に入る関門であるPDHをブロックする。
これは、プーファがあって初めてここがブロックされることでAGEが形成される経路が開くということである。
17:10
プーファがあれば速やかにALE(終末脂質過酸化産物)ができる。
ALEの形成はすごく早い。
AGEは反応が非常に遅い。なので、実際にプーファがあって、終末糖化産物が形成される時にはすでにALEはたくさんできてる状態だということ。
ということなので、形成速度も違う。
したがって、その量も違う。
つまり、実際の炎症を引き起こしたり、タンパク質や遺伝子、リン脂質を変性させるものは実は「ALE」であり、「AGE」ではないということ。
18:04
*ビタミンB1欠乏症
▽脚気
ビタミンB1が欠乏するとTCA回路、ペントースリン酸経路(ペントースホスフェート経路)がブロックされるということ。
実際の臨床症状としては「脚気」。
戦争によって起こる戦死者よりも、実際は低栄養による脚気の発症により多くの兵隊が命を失った、というのは有名な事実。
その時に、サイエンスを知らなかったのか、森鴎外が日露戦争での脚気による大量の死者を出した張本人である。
18:58
《実際に出る症状》
・末梢神経障害:脳や神経が先にやられる。
・脚気の場合は特に下肢に出やすい。下肢の神経が障害され、その後に筋肉の萎縮。それにより歩行困難になり寝たきり?(19:21)になる。
・心不全:心臓の細胞のTCA回路が回らないために、心臓の機能不全が起こり、浮腫が起こる。
これらはいずれにしてもミトコンドリアが多い脳、神経、心臓といったところから先に障害が起こる。
ビタミンB1欠乏症の典型的な形としては『脚気』と言われるものである。
20:00(ビタミンB1欠乏症続き)
▽ワーニッケ脳症/ウェルニッケ脳症
また、「ワーニッケ脳症/ウェルニッケ脳症/Wernicke’s encephalopathy」。
これはアルコール依存症の人。1〜2週間のアルコール過量摂取で症状が出現する。
《症状》
・意識混濁
・失調:協調運動ができなくなる。
・眼振:眼球がピクピク動く。眼球の運動障害も起こる。
これもビタミンB1のアルコール過量摂取による吸収障害でビタミンB1欠乏症になることで脳がやられる。
そういう症状のことをウェルニッケ脳症という。
これも、ビタミンB1欠乏症の一つの症状である。
21:00
そして、それが進行すると次は
・幻覚
・作話:自分で話を作る
が起きる。
これが、「コルサコフシンドローム」と言われるもの。いずれもビタミンB1欠乏症。
21:23
何故、幻覚や作話が起こるのか?
ビタミンB1欠乏では脳でセロトニン合成が高まる。
そして、セロトニンの分解・代謝が低下するので、高セロトニン状態が幻覚・意識混濁・作話(作り話をする)という症状を引き起こす。
21:52
*その他、ビタミンB1欠乏(これだけではないが)によるピルビン酸脱水素酵素の障害で起こる病気とは?
・パーキンソン病
これは、一週間に2回100mgのビタミンB1を注射しただけで、約3ヶ月で完全に歩行障害が改善する(URLあり)。
・甲状腺機能低下:橋本病
・多発性硬化症
・アルツハイマー
・クローン病
これらの自己免疫疾患もピルビン酸脱水素酵素の障害で起こる。
つまり、ビタミンB1が欠乏するとこのような症状が起こるということである。
23:06
クローン病に関しても600mgのサイアミン(ビタミンB1)を投与することで、完全に回復していくということが報告されてる。
23:22
その他、
・自閉症スペクトラム:ビタミンB1欠乏によるピルビン酸脱水素酵素の障害で引き起こされる。
・ガン:これも、ビタミンB1やピルビン酸脱水素酵素の障害で引き起こされる。ガンは約37%以上の人はビタミンB1が低下してるということがわかってる。
23:59
・慢性疲労症候群(正確には→筋痛性脳脊髄炎):これもピルビン酸脱水素酵素といった重要な酵素のブロックによって引き起こされることが報告されてる。
実際に慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎の人は乳酸が蓄積=乳酸の血液濃度が高まることがわかってる。
これでストレスに対するエネルギーが十分にない場合は、コルチゾールやアドレナリンというストレスホルモンが出ることで脂肪とタンパク質が分解されていく。
そのタンパク質分解が過剰に起こるために、痛みが出る。全身の筋肉の痛みが出るため、「線維性筋痛症」という別名もある。
これも、最初のピルビン酸脱水素酵素の障害で引き起こされる。
なので、ビタミンB1欠乏の可能性もあるということ。
25:27
*ビタミンB1の吸収障害
これはアルコールだけではない。
糖尿病治療薬で頻繁に出される「メトホルミン」という薬があるが、これもビタミンB1吸収障害を起こす。
メトホルミンそのものが乳酸を産生させる副作用があるが、ビタミンB1を欠乏させることでピルビン酸脱水素酵素がブロックされ、最終的に乳酸が増える。それにより乳酸アシドーシスを引き起こす危険性がある。
26:06
■ビタミンB2(英名:ライボフレービン/リボフラビン)
活性型:ライボフレービン5リン酸(R5P)、あるいはフラビンモノヌクレオタイド(flavin mononucleotide、FMN)、フラビンアデナインダイヌクレオタイド(flavin adenine dinucleotide、FAD)
*上記のような活性型の作用
作用としては、エネルギー代謝での電子の運搬役。
つまり、糖から引き抜いてきた電子を運ぶ運搬役として働く。なので、エネルギー代謝にとっては必須のもの。
26:52
*ビタミンB2の特徴
光、紫外線で分解されてラジカルを出す。
そして、ビタミンB2を過剰摂取すると尿から排出されるが、オレンジ色の尿が出る。
27:15
*ビタミンB2欠乏症
ビタミンB2の欠乏症では、皮膚炎、口角炎、舌炎が典型的にある。
27:28
*ビタミンB2の効能
・関節炎の軽減
・抗エンドトキシン、感染、敗血症ショックというものに対してビタミンB2が有効
・ビタミンB1と同様にセロトニンを低下させる作用がある
・抗エストロゲン作用(ビタミンB1と同じ)
27:58
トリプトファンというアミノ酸からセロトニンというシックネスサブスタンス(病気の場を作る物質)が出るが、モノアミンオキシデース、アルデヒド脱水素酵素といったものがセロトニンを分解して尿中に排出する。これがセロトニンの分解のほとんどの形。
これは、一部はメラトニンに変わる。
エストロゲン、プーファはトリプトファンハイドロキシレースという酵素を活性化することで、トリプトファンからセロトニンをたくさん作る。
28:43
そして、「モノアミンオキシデース」。
セロトニンを分解して、最終的に尿から排泄する過程でモノアミンオキシデースが働く。
このモノアミンオキシデースが働くのにFAD(ビタミンB2の活性型)が使われる。ということで、セロトニンのデトックスにはビタミンB2が必要だということ。
29:15
*アンチエイジング
リポファッシンの量を低下させ、寿命を延長させることが報告されてる。
29:24
*腸内細菌のバランスを整える
特に、抗生物質の多剤耐性の「クロストリジウム・ディフィシル菌/Clostridium difficile」を抑制して、腸内炎症を防ぐ作用を持ってる。
*体内時計をコントロールする
体内時計は今まで光で調整されてると言われてきたが、実際は体内時計を糖のエネルギー代謝でコントロールしてることが明らかにされてる。
その時にもビタミンB2が必要。
つまり、ビタミンB2欠乏によって体内時計が狂う。そうなると、夜眠れなくなるという状態が起こる。
30:18
■ビタミンB3
これには「ナイアシン」と「ナイアシンアミド」がある。
ナイアシン:植物からとれたビタミンB3。
ナイアシンアミド:動物性のもの。あるいは、植物からとれたナイアシンを体内でナイアシンアミドに変換すると動物性に変えることができる。
30:44
*ビタミンB3の作用
作用が植物性と動物性のビタミンB3では対照的。
・リポリシス
ナイアシン:活性化される。脂肪が分解される。
ナイアシンアミド:リポリシスを抑える作用がある。
・インシュリン感受性
ナイアシンアミド:インシュリン感受性は高まり、糖尿病を改善させる作用がある。
ナイアシン:ナイアシンアミドの逆の作用をする。
31:16
ビタミンB2は電子の運搬役だが、ビタミンB3もB2と同じく糖から引き抜いてきた電子を運ぶ重要なビタミンである。
そのビタミンのNAD+もナイアシンアミドがたくさん作る。
また、ホモシステインという慢性炎症を引き起こす物質(アミノ酸の代謝産物)がある。
これも、ホモシステインの濃度にはナイアシンアミドは直接関与しないが、ナイアシンそのものがホモシステインを上げてしまう。
32:03
このようにビタミンB3を眺めると、ナイアシンアミドが非常に重要だということがわかる。
32:12
問題は、ビタミンB3と書かれたサプリのほとんどが「ナイアシン」であるということ。
あくまでも私たちが必要なのは動物性の「ナイアシンアミド」。
なので、ナイアシンとは区別して考えないといけない。
32:34
*ヌクレオチド
「ヌクレオチド/nucleotide」:遺伝子やATP(エネルギー通貨)、あるいはDNA・RNAという遺伝子を構成する単位でもある。これは窒素原子を含んだ「塩基」というグループ。
それと「糖(グルコース)」と「リン酸」の3つが結合したものを「ヌクレオチド/ヌークレオタイド」という。
33:08〈映像確認〉
*NAD
エネルギー代謝の電子の運搬役であるナイアシンアミドは塩基に「アデナイン」があり、糖とリン酸がくっついてる状態。
その構造が2つある(図示)。
それをナイアシンアミド(NAD)という。
33:34
つまり、「ニコチナマイド/nicotinamide(=ナイアシンアミド)」、「アデナイン/adenine」がある。そして、「ヌクレオチド」という糖と塩基とリン酸の結合した形が2つある。2つ連なってるので「di」がつく(=ダイヌクレオタイド/2つのヌクレオタイド)。
ということで、これは「ニコチナマイドアデナインダイヌクレオタイド/nicotinamide adenine dinucleotide」となり『NAD』と呼ばれる。
・ナイアシンアミド
・アデナインという塩基
これらがくっつく2つのダイヌクレオタイドで上記となる。
このNADが電子を運ぶ重要な物質になる。
34:26
*ナイアシンアミド、トリプトファン
トリプトファンからもNAD+は作れる。
これはセロトニンではなく、ナイアシンからナイアシンアミドを作る経路。
《NAD+》
このNAD+が電子を運ぶ。エネルギー代謝に非常に重要な電子の運搬役である。
糖、脂肪、アミノ酸の異化(分解)。エネルギー代謝にNAD+は必要だということ。
35:00
《NADP+》
NADに、リン酸がくっついたものが「NADP+」。
これも非常に重要な電子の運搬役になるが、これは植物の方。
植物のエネルギー代謝で非常に重要なものである。
動物でもNADP+は使われていて、これはNAD+と逆の作用をする。脂肪酸、アミノ酸の合成(=同化)の方。
35:34
このように、私たちの体の中の代謝にとってナイアシンアミドは非常に重要な物質だということである。
35:47
*NAD+、NADH
太陽は光(エネルギー)を植物に与えることで、植物が光合成でそのエネルギーを炭水化物として蓄積する。
炭水化物の中で蓄積された太陽エネルギーは電子に他ならないが、その電子は動物に利用され、最終的に動物がATP&CO2を作る。
このことで、私たちの体の機能と構造を安定させるのが生命の自然のチェーン。
36:27
NAD+(ナイアシンアミドからできるもの)が電子を運ぶ。
電子を運び、運んだものを「NADH」あるいは「NADPH」という。
要するに、NAD+が電子を運んだ状態をNADHと呼ぶ。
つまりNADHとは→“電子がNADにくっついた形”
37:09
*NAD+とNADHの比
NAD+:電子を運ぶ運搬役。電子がくっついてない状態。
NADH:すでに電子がくっついてる状態。
このNAD+とNADHの比が下がってくることが非常にまずい状態と言える。
それは、糖から電子を引き抜いてミトコンドリアに運ぶ運搬役が少なくなってるということだから。
つまり、これはエネルギー代謝が回らない状態になる。
37:51
《NAD+とNADHの比が下がってくる病態》
・加齢
・糖尿病
・低酸素
・ガン
上記の状態が挙げられる。
このような状態では全て共通してミトコンドリアの呼吸障害による還元ストレスがある。
還元ストレス:電子が運搬できないために、細胞内にどんどん電子が溜まる=アルカリ(還元状態)になる。
これが共通した病態。
38:34
*電子受容体(エレクトロンアクセプター)
電子のフローをさせるために、電子を運ぶ・電子を受け取るものがいる。これを「エレクトロンアクセプター/electron acceptor」という。
電子のフローにはこの電子を運ぶ、電子を受容するアクセプター(受容体)が必要となる。
それがNAD+であったり、ビタミンB2のFAD+である。
つまり、電子を流すためには、すでに電子がくっついたNADHからまたNAD+を再生しないといけない。
そうしないと、電子が滞ってしまうから。
その時に、NADHから電子を受け取るとNAD+になり、空になったNAD+はまた電子を運ぶことができるようになる。
39:32
つまり、NADHから電子を受け取ってくれる「エレクトロンアクセプター」があれば電子がつつがなく流れる、ということになる。
このエレクトロンアクセプターがヘルスネスサブスタンスと言われるもので、以下がある。
・CO2
・アスピリン
・クワイノン(ビタミンK)
・メチレンブルー
これらが電子を受け取って、NAD+を再生してくれる重要な物質になる。
40:16
*ナイアシンの作用/ナイアシンフラッシュ
先述(31:16〜)のナイアシンがホモシステインを増加するというもの。
プーファを酵素代謝して炎症性エイコサノイドを増やす。
リポリシスを促進させる。
なので、ビタミンB3のナイアシンアミドと思って摂取すると、逆にフラッシングやアトピーが出たりする(ナイアシンフラッシュ)。
これもナイアシンの作用であり、ナイアシンアミドの作用ではない。
40:48
*ビタミンB3欠乏症
教科書的に乗ってるのは、「3D」と言われるもの。
英語では「ペラグラ/Pellagra」と呼ばれる。そんな病態がある。
これは、
・皮膚炎
・下痢
・認知症
の3つの特徴的な症状が出る。
41:09
特にトウモロコシを主食にしてる場合。
トウモロコシはナイアシン、トリプトファンというアミノ酸・・・つまりナイアシンアミドの前駆体となるものがない。なので、このようなものばかりを食べてるとペラグラが起こるということがよく言われてる。
激しいアトピー性皮膚炎が起こったりする。
41:36
*ナイアシンアミドの効果
▽緑内障、網膜症に効果があることが報告されてる
網膜のミトコンドリアの代謝を高めることで網膜症にも効果があるということ。
41:53
▽血液中のリン酸を低下させる
リン酸の小腸からの吸収をブロックしたり、腎臓からリンの排泄をUPさせる作用がある。
これは非常に重要な作用である。
というのは、「血液中のリン酸が高まる」というのは現代食の特徴だから。
穀物、豆類、肉類はカルシウムに対してリン酸が高くなる。リン酸が高くなると、副甲状腺ホルモンという炎症を引き起こすホルモンが導引される。
なので、血液中のリン酸を低下させることは非常に重要なナイアシンアミドの作用になる。
42:47
▽“母親のナイアシンアミドの血液濃度が高いほど乳児のアトピー性皮膚炎が低い”ということがわかってる
これは、肥満細胞、白血球からヒスタミンなどの遊離をブロックする作用がナイアシンアミドにあるということも関与してる。
43:07
▽ナイアシンアミドは脂肪の代謝をことごとくブロックする
・リポリシスのブロック
・脂肪の燃焼のブロック:脂肪が燃焼に使われると糖のエネルギー代謝がストップしてしまうが、その脂肪の燃焼をブロックする。
・脂肪の合成のブロック
これは、つまり脂肪の動きを全部止めてしまうということ。これにより、強い抗ガン作用をナイアシンアミドは持つ。
ガンは脂肪中毒なので、ナイアシンアミドによって脂肪の代謝が止まると瞬く間にガンの栄養がなくなってしまうということになる。
43:59
▽免疫低下を防ぐ
B型肝炎、エイズ、結核というような感染症状態=いわゆる免疫低下状態ではウイルスやバクテリアが増殖すると言われてるが、これはビタミンB3(ナイアシンアミド)の投与により防ぐことができる。
44:35
▽抗エンドトキシン
エンドトキシンの効果を低下させる効果もある。
▽抗エストロゲン
ビタミンB1、B2と同じく抗エストロゲン作用を持つ。
▽抗コルチゾール
また、ストレス軽減作用も持つ。
▽アンドロジェンズの効果をUPさせる
抗エストロゲン作用を持ってるので、これは当然。
▽難病の寛解
筋ジストロフィーという原因不明で治療法がない難病でもナイアシンアミドで寛解したということが報告されてる。
▽子癇前症を予防・軽減
それにより妊娠時にもナイアシンアミドは有効ということ。
▽抗パーキンソン病
45:42
▽ガン、緑内障、加齢に伴う様々な慢性病
こういったものにもナイアシンアミドは非常に有効。
▽脳に関して
・抗不安作用
・脱洗脳作用:洗脳は基本的には脳のエネルギー代謝が低下した状態。低下させるために様々な儀式や薬剤の投与をしたりして、脳の糖のエネルギー代謝が下がったところで刷り込みが行われる。それが、様々な宗教であり、様々な組織である。
その脱洗脳に対してもビタミンB3が有効であることが報告されてる。
46:38
■ビタミンB5(英名:パントテン酸)
ビタミンB5は「コエンザイムA」と呼ばれるものの構成成分。
パントテン酸に関しては、人体で欠乏することがほとんどない。
コエンザイムAは代謝で使われるもの。これがないと代謝が進まないので、そもそもこれが欠乏になると人間の生命体の維持ができない。
すなわち、パントテン酸はほとんど欠乏症はない。
つまり、これを「外から入れる必要はない」ということである。
実際にパントテン酸は体内でリサイクルされて作られてるので、外から入れる必要はない。
47:28
*パントテン酸の外部からの投与による作用
このパントテン酸を外から投与するとアルツハイマー病のリスクが高まることが報告されてる。
これは脳にアミロイドが蓄積する。
また、その他にもガンも増大させる。
47:46
このパントテン酸は、ビタミンB3(ナイアシンアミド)と全く逆の作用をする。
脂肪に関して、脂肪の燃焼やβ酸化を促進し、脂肪合成(脂肪の新生)をUPさせる作用がある。
つまり、パントテン酸の外部からの投与はガンにとって非常に有利に働くということ。
なので、ビタミンB5(パントテン酸)を意識して外から摂取する必要は全くない上、摂取すると、むしろ悪い方向に働く。
48:29
■ビタミンB6(英名:ピリドキシン)
ピリドキシンも植物・動物の両方の形があるが、あくまでも活性型は「ピリドキサールホスフェート/ピリドキサールリン酸/Pyridoxal phosphate」という動物性のものである。
48:53
ビタミンB6(ピリドキシン)はアミノ酸の代謝で必須の物質。
アミノ酸から様々なホルモン、神経伝達物質といったものが作られる時にもピリドキシンは必要になる。
49:15
水溶性ビタミンの中で唯一過剰投与で毒性作用があるのはこのビタミンB6だけ。
末梢神経障害が起こるとされてる。
ビタミンB6(ピリドキシン)も欠乏症はほとんどないが、エストロゲン、ピルの常用、あるいは大豆の摂取、環境ホルモンの暴露によって欠乏症が引き起こされることがある。
49:47
トリプトファンからセロトニン、ビタミンB3(ナイアシンアミド)が作られる2つの経路がある。
例えば、エストロゲンが体内に過剰にあると、トリプトファンからセロトニンを作る経路は活性化されて、セロトニンがたくさんできる。
ところが、トリプトファンからナイアシンアミド(ビタミンB3)を作るのにはビタミンB6が必要になる。
つまり、ビタミンB6(ピリドキシン)が欠乏していくとトリプトファンから自然とセロトニン産生に傾くということになる。
50:34
ビタミンB6は後脳?(50:34)に行く。
抗コルチゾール作用があるために、ストレス軽減にピリドキシンが役立つ。
これは、糖質ステロイド、コルチゾールの受容体のブロッカーである。
また、実際にラットの縛り付けストレスで脳内のストレスホルモン(この場合はノルエピネフリン/ノルアドレナリン)を軽減させる。
その他にも、実際に起こる消化性胃潰瘍を軽減することも報告されてる。
51:09
そして、ホモシステイン濃度を低下させることで、抗炎症作用を持つ。
さらに、終末脂質過酸化産物(ALEs)あるいはAGEsの形成をブロックする重要な作用がある。
51:29
そして、セロトニン合成を低下させることでドーパミン作用を持つ。抗プロラクチン作用を持つということが報告されてる。
ピリドキシンも肥満細胞からヒスタミン遊離をブロックすることで、痒みや炎症を止める作用がある。
51:58
■ビタミンB7(英名:ビオチン)
ビオチンも代謝で非常に重要な作用をする。
ビオチンは特に糖のエネルギー代謝を高めるには必須の物質。
52:21
・グルコカイネース(ヘキソカイネースとも呼ばれる)
・アミノ酸からアセチルCoAに変換されるところ
・ピルビン酸からオキサロ酢酸?/Oxaloacetic acid(52:34)
・他のところからサクシニルCoA/succinyl-CoAというTCA回路の一つの代謝産物に変換するところ
つまり、これらは全部糖の代謝。糖新生であったり、解糖系を進めるのに必要な酵素に必須なのがビオチン。
53:01
肝臓や膵臓でグルコカイネースを促進する。
そして、インシュリン感受性も高める。
ということで、ビオチンはエネルギー代謝にとっては必須の物質である。
53:18
*糖新生
ビオチンは肝臓の糖新生を促進する。
糖新生:アミノ酸あるいは脂肪から糖を作って、脳や赤血球に送る作用。
これは十分に糖質がある時は、このような糖新生は起こらない。
しかし、低血糖が起こった場合、あるいは十分な糖質の食事が摂れない時に脂肪やアミノ酸を砕いて肝臓でわざわざ糖に変えて、脳・性腺組織・赤血球など糖しか使えない臓器に糖を持っていく。そのための営みが「糖新生」である。
54:00
*糖新生の流れ
グルコース→ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸になる。
そして、ピルビン酸→ピルビン酸カルボキシレースという重要な酵素がある。これが、ピルビン酸からオキザロ酢酸に変換させるもの。
またこれがホスホエノールピルビン酸になり、グルコースになる。
そして、各臓器へグルコースを配分するという形になる。
つまり、ピルビン酸からTCA回路に入りエネルギーになるのではなく、ピルビン酸から上にバックフローしてグルコースに戻る。それにより各臓器にグルコースを配分させるのが肝臓の糖新生と呼ばれるもの。
54:54
本当はピルビン酸からまっすぐ上に上がれば早いが、ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸になる反応は一方向しかない。
逆方向がないので、ピルビン酸はオキザロ酢酸をバイパスしてホスホエノールピルビン酸に戻り、そこからグルコースになっていく。
この時にもビオチンが非常に重要な働きをする。
55:25
ちなみにプーファは糖新生をブロックする。
55:43
*多発性硬化症とビオチン
多発性硬化症と呼ばれる治療法がないと言われてきた原因不明の脳の自己免疫疾患があるが、ここ数年、これに対してビオチンが根治治療になるという臨床試験が3つくらい出るようになった。
何故、治療法がないと言われてきた自己免疫疾患がビオチンで治癒するのか?
56:15
まず、神経の周りを包む「髄鞘」という脂肪がある。
何故、神経の周りに髄鞘のような脂肪で囲んでるのか?
それは、脂肪は絶縁体だから。電気を通さないので、電気が神経をまっすぐ通るよりも、脂肪を介してポンポンと神経の興奮が伝わる方が早く伝わる。
なので、早い反応を引き起こしたい時は、神経細胞をまっすぐ通るのではなく髄鞘という脂肪の絶縁体があるところを通るともっと早く神経細胞間の情報伝達が伝わるために、髄鞘があると言われてる。
最も最近では、このようなメカニックな説明よりも電磁波を使って細胞自体が瞬時に情報を伝える性質があるということが報告されてる。しかし、現代医学のレベルでは「神経の鞘があり跳躍伝導という、神経の髄鞘という脂肪があるために早く信号が伝わる」という話になってる。
57:57
そして、多発性硬化症は神経を包む脂肪の鞘に炎症が起こって破壊されていく病態である。
なので、神経の伝達が非常に遅い状態が引き起こされる。これが多発性硬化症である。
58:20
そして、ビオチンは上記の通り糖のエネルギー代謝を回したり、糖新生を行うにも重要な物質だが、これは脂肪合成にも重要な物質である。
パルミチン酸を合成して髄鞘を作るにはビオチンが必要。
なので、多発性硬化症で慢性炎症によって破壊された脂肪である髄鞘の部分を再生する意味でもビタミンB7(ビオチン)が必要だということ。
また、TCA回路を回すので、神経細胞のエネルギーを高めるという意味で多発性硬化症が問題となる神経の伝達の髄鞘、あるいは神経細胞の機能低下がビオチンによって回復することが可能ということになる。
59:26
*それ以外の実際の臨床効果
・1型糖尿病でも血糖コントロールを改善する。
・遊離脂肪酸濃度(リポリシス)を低下させる。
・脂肪酸のβ酸化(脂肪の燃焼)を低下させる。
これはつまり、糖の代謝を促進する一方で脂肪酸を本来の役割に定着させるということ。
上記のように髄鞘を作ったりするのにはビオチンは関与するが、脂肪を燃やしたりするところにはビタミンB7は逆に阻害作用を持つ。
なので、糖のエネルギー代謝にとっては非常に重要な物質がビタミンB7(ビオチン)である。
1:00:25
*ビタミンB7での注意
注意するべきことは、「甲状腺ホルモンの値が高く出る」ということ。
これは実際の甲状腺ホルモンの値ではなく、測定値だけが高くなる。
つまり、甲状腺機能低下症がある人は正常値としてマスクされる可能性がある。
なので、ビオチンをサプリとして摂取してるかどうかを甲状腺機能が正常の人でも聞かないといけないということになる。
実際的には“血液検査だけで甲状腺機能を判断しない”というのが一つのルールであるべきこと。それにはこのようなマスクされる事象があるから。
1:01:26
■ビタミンB9(葉酸)
ビタミンB9(葉酸)とビタミンB12はいずれも「DNA合成」と関わってる。
あるいは、「DNAのメチル化」という遺伝子のスイッチをオフにする作用を持つ。
このようなDNAの合成、あるいはDNAのメチル化というエピジェネティクスを持つ。いずれも遺伝子に関係してる重要なビタミンでもある。
1:02:11
また、「メチオニン合成」。
メチオニンが合成されることで、DNAのメチル化(遺伝子のスイッチのオフ)が行われる。そのことからメチオニン合成にも葉酸は関わってる。
1:02:26
食事中の葉酸が「ダイハイドロ葉酸/dihydrofolic」に変わり、「テトラハイドロ葉酸/Tetrahydrofolic acid」に変わり、DNA合成、DNAのメチル化、メチオニン合成として働く。
そして、この途中の酵素をブロックするのが、「メトトレキセート」と言われる抗ガン剤。
この抗ガン剤は葉酸の代謝をブロックすることで、新しい細胞の遺伝子の合成、あるいは遺伝子のメチル化をブロックする。
そういった作用でガンを小さくする。
これはもちろん正常細胞にも働くので、正常細胞の分裂もできなくなるという問題を引き起こす。
1:03:23
*メトトレキセート
これはガンだけではなく、関節リウマチでも使用されてる抗ガン剤。
関節リウマチでは過剰なリンパ球が炎症を引き起こすとされてるので、そのリンパ球の増殖を止めるためにメトトレキセートのような抗ガン剤を使ってる。
これは非常に怖いこと。関節リウマチのような慢性炎症で抗ガン剤を使うのは非常に危ない。
1:03:53
葉酸の問題は、過量摂取で発ガンリスクを高めること。
そして、アスピリンの抗ガン作用の一つとして、葉酸をブロックすることがある。それでアスピリンの抗ガン作用が発揮される。
これはアスピリンの抗ガン作用の内の一つに過ぎないが、葉酸をブロックする。
なので、メトトレキセートのような非常に危ない抗ガン剤を使用しなくても、アスピリンで十分葉酸を低減させることができるので、抗ガン作用が期待できるということになる。
1:04:43〈映像確認〉
葉酸からのDNA合成の図がある。
食事中の葉酸からダイハイドロ葉酸、テトラハイドロ葉酸になる。
そして、「5,10-メチレンテトラハイドロ葉酸/5,10-Methylenetetrahydrofolate」になり、またこれが「ダイハイドロ葉酸」になるという一連のサイクルの中で、DNA合成が同時に起こされる。
この途中でブロックするものがメトトレキセートという抗ガン剤であり、5FUという消化器官で昔よく使われてた抗ガン剤(これも、葉酸からのDNA合成をブロックする抗ガン剤)である。
1:05:43〈映像確認〉
ダイハイドロ葉酸でのサイクルでもDNA合成があるが、さらにこちら側(映像確認)では違う酵素が働き、ホモシステインからメチオニン(メサイオニン)ができて、メチルグループがDNAのメチル化に使われる。
ということで、『DNA合成』と『DNAメチル化』(DNAのスイッチをオフにさせる機構)のどちらもが葉酸からもたらせられるということである。
1:06:28
・DNA合成
・DNAメチル化
・システイン:グルタチオンを作る。還元作用・抗酸化作用とも言われるが、ありすぎると還元ストレスになる。
このように、DNA合成とグルタチオンを作る一連の経路の元になってるものが「葉酸」である。
1:06:58〈映像確認〉
これも葉酸から(図示)。
様々な図があるが、自分がわかりやすい図で理解すると良い。
一つの図で全てが書かれてるわけではないので、様々な図を見比べて自分の中でそれを統合していく作業が必要になる。
1:07:30
葉酸は「DNA合成」と「DNAメチル化」の両輪を持ってる。
そして、システインを作ることで「グルタチオン」を作る。これにも葉酸は必要だということ。
1:07:47
*1カーボン回路(フルクトースのところで話したもの)
1カーボン回路が葉酸回路、メチオニン回路というところに入り、その過程でATPが産生される、というもの。
1:08:11
*DNAのメチル化
これは遺伝子のスイッチをオフにする作用。
最終的には「DNAメチルトランスフェレース/DNA methyltransferase」という酵素が働いて、DNAにメチル基がくっつくという反応を引き起こす。
これも、葉酸が絡んでる。
1:08:45
*葉酸の欠乏
実際に葉酸が欠乏することで起こる病態が以下。
・貧血:血液中のDNA・細胞の分裂ができないということが貧血に繋がってる。
・神経管欠損:脳がない無脳症、または脊椎破裂。
これは二分脊椎という脊椎の骨の一部が欠損して、脊髄が皮膚の下に出てるというような状態(出生児奇形と呼ばれる)。このような状態を葉酸欠乏で引き起こされる。
1:09:29
全く野菜を摂らない人はビタミンB9(葉酸)が欠乏する可能性はあるが、現代人のビタミンB9の欠乏の大きな原因は「メトホルミン」(抗糖尿病薬)。
この抗糖尿病薬の慢性摂取、あるいは「メトトレキセート」(抗ガン剤)の投与によって引き起こされることが非常に多い。
1:10:03
■ビタミンB12(英名:コバラミン)
ビタミンB12(コバラミン)もビタミンB9の葉酸と非常によく似た作用をするもの。
また、それに加えコバラミンは「メチオニン産生」、「アミノ酸・脂肪酸の分解を行う」という作用がある。
1:10:25
*ビタミンB12の欠乏
ビタミンB12は動物性の食品からしか摂れない。
なので、ビーガンのように動物性食品を摂らない場合は必ずビタミンB12欠乏になる。
あるいは、メトホルミン(抗糖尿病薬)を慢性摂取してる人もビタミンB12欠乏が起こる。
そうなると、神経系に異常な脂肪酸が蓄積する。これを分解する力がないので、神経細胞のミトコンドリア内膜に異常な脂肪酸が組み入れられて、末梢神経障害や認知症が引き起こされる。
このようにビタミンB12欠乏によっても神経障害が起こるということが報告されてる。
1:11:23
ただし、ビタミンB12は水溶性のビタミンだが、他の水溶性ビタミンと違い体内蓄積がある。
特に肝臓にビタミンB12は蓄積されてる。
なので、欠乏するまでには数年かかる。
このことからビタミンB12が欠乏することは滅多に起こり得ないと言える。
つまり、ビーガンや糖尿病の薬を慢性摂取していない限りはなかなか欠乏症にはなりにくいということ。
1:12:00
*ビタミンB12の吸収
動物性食品が胃酸で初めて「グライコプロテイン(糖タンパク質)」というものと結合する。つまり、胃酸がないとビタミンB12は吸収されないということ。
そして、小腸で膵臓の酵素によりビタミンB12がリリースされて他のグライコプロテイン(内因子)と結合し、小腸の回腸末端でビタミンB12がタンパク質からリリースされて吸収される、という複雑な吸収経路を辿ってる。
1:12:48
ポイントは「胃酸がないとビタミンB12は吸収されない」ということ。なので、「PPI」と呼ばれる胃酸を抑える胃薬を摂取してるとビタミンB12は欠乏しやすくなる。
1:13:08
甲状腺機能低下では胃酸が少なくなる。
また、ビタミンB12結合タンパク質を作る力が低下するので、ビタミンB12の欠乏になりやすい。
1:13:23
そして、慢性アルコール中毒の人も同じくビタミンB12欠乏症になりやすい。
その理由として・・・
まず、胃でエタノールが代謝されていく。エタノール→アセトアルデヒド→酢酸となり、尿から放出される。
その時に働く「アセトアルデヒド脱水素酵素」と「キサンチンオキシデース」という2つの酵素がある。
この内、キサンチンオキシデースがビタミンB12と関係してる。
アセトアルデヒドから酢酸になる時に、キサンチンオキシデースが反応を媒介すると、活性酸素のスーパーオキサイドがたくさん出るようになる。このスーパーオキサイドがフェリチンから鉄を遊離させる。そして、フェントン反応で脂質過酸化反応を起こす。
そうすると、ビタミンB12を運搬する胃・腸内のグライコプロテイン(糖タンパク質)がアルデヒドとくっつくことで変性する。それにより、ビタミンB12を小腸に運べない。
ということで、ビタミンB12の欠乏が起こる。
1:14:51
それにより、
・神経障害が起こる
・ビタミンB12のDNA合成
・DNAメチル化に関係してるので貧血が起こりやすい
1:15:09
*葉酸のサイクル(葉酸回路)
これは、DNA合成をしたり、遺伝子のスイッチをオフにしたりというビタミンB9の葉酸の働きもビタミンB12とリンクしてる。
ビタミンB12があって初めて葉酸サイクルが回ってDNAの合成やDNAのスイッチのオンオフが可能になるということ。
1:15:43
*グリシン(グライシン)
グリシンは葉酸、ビタミンB12のDNAのメチル化を防ぐ作用がある。
DNAメチル化はガンで非常に起こりやすくなる病態だが、それもグリシンでブロックすることができるということである。
1:16:16
*ビタミンB12の作用
良い作用としては、NO(一酸化窒素)を低下させる作用がある。
しかし、これも葉酸と同じで、ガンでビタミンB12の血液濃度が上昇してる。
・肺ガン
・前立腺ガン
・多発性骨髄炎
・膵癌 など
そして、実際にビタミンB12の血液濃度が高いほどガンの死亡率は高くなる。
なので、やはりガンに関しては、葉酸とビタミンB12の過剰摂取が非常に危険だということになる。
1:16:55
そして、アルコール中毒、アルコール性肝障害でビタミンB12の血液濃度が高くなる。
これは、ストックしてるビタミンB12は肝臓にあるが、これが肝臓の炎症によってリークする。それにより血液濃度が高まるといわれてる。
1:17:20
*大気汚染(PM2.5)
日本でも九州〜関東まで広く中国大陸からのPM2.5の汚染が押し寄せてる。
これが、ビタミンB製剤(ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12、葉酸などを組み合わせたもの)により軽減したという報告もある。
1:17:50
ビタミンB6:ホモシステイン濃度を低下させて、プーファから起こる炎症を低下させる作用がある。
ビタミンB12:NO合成を低下させ、炎症を低下させる作用もある。
なので、このようなもので軽減ができたということになる。
ただし、葉酸やビタミンB12を過剰摂取すると、逆にガンのリスクが高まるため注意しないといけない。
※ビタミンB群はここまで。
1:18:24
【水溶性ビタミンのビタミンB以外のもの】
■ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCは還元作用がある。特に鉄の吸収。
そして、フェリチンからの鉄の遊離を促進する。
ということなので、ビタミンCといえば「鉄」を思い浮かべないといけない。
つまり、体内での鉄の濃度を上げ、鉄の遊離を促進することで最終的にプーファから脂質過酸化反応でアルデヒドを作るのに一役買うということ。
1:19:03
それは非常にまずいことだが、ビタミンCが必須だと言われるのはコラーゲンを作る時にビタミンCが非常に重要になるから。
なので、ビタミンCが完全に欠乏してしまうような状態になると、壊血病(scurvy/スキャビー)が起こる。
これは、コラーゲンの生成が低下することで、様々な結合組織、歯茎などから出血したり、傷がなかなか治らないということが引き起こされる。
1:19:44
ただ、サプリの合成ビタミンCは硫酸を付加して産生するので、非常に重金属の汚染が強度ということがわかってる。
特に、ビタミンCのマーケットはほぼ中国。合成ビタミンCの産生は9割以上が中国で作られてる。
実際に、このようなビタミンCは重金属がたくさん含まれてるために、例えば500mgのビタミンCのタブレットを1ℓの水に溶かした時に発生するフリーラジカル(活性酸素)は放射線の致死線量で生じるフリーラジカルと同等なぐらいの量を出す。
1:20:37
*ビタミンCの高濃度静脈内投与
ビタミンCは低容量ではプーファと脂質過酸化反応を引き起こしてMDAなどのアルデヒドを発生させる。
ただ、高容量の場合。
例えば、静脈に高濃度のビタミンCを注射する。このような場合には脂質過酸化反応は逆に低下する。
なので、タブレットで飲んだり、ビタミンCのカプセルを飲むというのは逆にアルデヒドを作って体内に炎症を引き起こす原因となってしまう。
が、高濃度静脈投与のみビタミンCには抗ガン作用が認められてる、ということ。
1:21:25
これは高濃度で初めて酸化作用をする。
そして、ガンは過酸化水素の処理能力は正常細胞の半分なので、正常細胞にはガンほどの悪影響を与えない。
ということで、ビタミンCの高濃度静脈内注射が唯一のビタミンCの使い方として認められてるもの。
ただし、過酸化水素の処理そのものも糖のエネルギー代謝が担ってるので、糖のエネルギー代謝が極端に低下してる人にビタミンCの高濃度静脈内投与を行うと、正常細胞でもガン細胞と同じように破壊されていく。
つまり、一般の抗ガン剤と変わりがないということになる。
なので、安易にガンだからといって自由診療のクリニックに行って高濃度ビタミンC点滴を受ければ良いというものではなく、やはり糖のエネルギー代謝をしっかり上げた上でないと、ビタミンCの高濃度静脈内投与も非常に危険だということである。
1:22:46(まとめ)
今回は水溶性ビタミンのビタミンB群とビタミンCについて、エネルギー代謝の関連の話でした。
このように、水溶性ビタミン(脂溶性ビタミンもだけど)の抗酸化作用に注目して使用する、という使い方ではなく、エネルギー代謝と関連させて初めてビタミンBやビタミンC、また脂溶性ビタミンの重要性が浮かび上がってくる。
そうなった時に初めて根本治療物質として、この『ビタミン』が有効に使えるということになる。
fin
