生化学

生化学(27)ペントースリン酸経路

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生化学(27)ペントースリン酸経路

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ペントースリン酸経路:糖のエネルギー代謝の一つの経路で、糖のエネルギー代謝がブロックされた時に発動する。

このペントースリン酸経路について、病態や私たちの心身の健康との関係を詳しく見ていきます。

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■フリーの電子の蓄積が全ての病気の原因

全ての病気は、電子のフローがブロックされた時に起こる。これが非常に大事な原則になる。

エネルギー=電子のフローがブロックされる。

この電子のフローがブロックされるということは、つまりフリーの電子が蓄積するということである。フローせずに水たまりのように溜まっていく。

これが全ての病気の原因。

電子の渋滞こそが還元ストレスを招き、そして酸化ストレス、あらゆる病態に繋がっていく。

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■生物と無生物を分けるもの

福岡伸一さんという生物学者の書籍があり、「動的平衡」というホメオスタシスのような定義だが、“動的平衡を保てるのが生物と無生物の差である”ということが書かれてる。

この本は全くサイエンスではないが、生物と無生物を分けることすらナンセンスである。というのは、私たちの生命現象は電子のフローからできるエネルギー。そこから全てが発生するということがサイエンスの重大な事実である。

これさえ押さえておけば、生物と無生物と分けることさえナンセンスだということがしっかりわかるようになる。

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■植物と麻酔

植物も、人間が使うような局所麻酔薬や全身麻酔薬であるリドカインなどの揮発性麻酔薬によって麻酔がかかる。

実際、植物を調べると麻酔薬をかけた時に活動電位やイオンチャンネル(あまりないと思うものだけど)がストップして、通常の刺激に全く反応しなくなるという現象が認められる。

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このことで伝えたいことは、脳神経系がない植物も麻酔がかかるということ。

従来の麻酔は人間の脳の機能を低下させる(脳神経系を低下させる)ことで麻酔がかかるのではないか、意識を失うのではないかという仮説があった。

が、脳神経系のない植物も麻酔がかかるということから、意識というものは脳神経系がもたらしてるものではなく、単に電子のフローがあることで意識も発生するということが植物の麻酔の実験でも間接的に証明されてる。

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植物も太陽エネルギーによって活性化される電子を伝達していく過程で糖質(炭水化物)を作っていく。

なので、電子のエネルギーが糖(炭水化物)という実際の物質に転換されていく。

人間も糖から電子を引き抜いて、その過程で電子のフローをさせることでエネルギーを作っていく。

これにより、機能・構造を維持していくのが動物である。

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つまり、植物も動物も同じく生命の本質が“電子のフロー”ということである。

なので、揮発性の麻酔ガスは電子のフローを止める作用があるからこそ、麻酔作用をもたらしてるということ。

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■電子のフローによるエネルギーのフロー

電子のフローがエネルギーを作る。

そしてエネルギーのフローが私たちの動きや様々な酵素反応、化学反応を可能にする。あるいは体のポジションや、「発生」という私たちの様々な細胞が寄り集まって一つの臓器を作っていく。また、さらにはものを感じたり、あるいはそれを考えたり、動いたりする。またはストレスに対応していく。

これも全て電子のフローが生み出す「エネルギーのフロー」があってこそ上記が可能になる。

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なので、エネルギーがない・電子のフローがない場合にはもちろんストレスに対する対応もできない。その場合には、私たちの体は死んでしまう。

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■カタカムナ

この電子のフロー・エネルギーが機能と構造を作っていく。

これは、日本でいうと「カタカムナ」。

カタカムナの“カム”=見えないもの。潜象。

それが実際の“カタ”=見えるもの、肉体、物質に変わる。

このような世界を描いたものを「カタカムナ」と言われてる。

これはまさしく、電子のフローが私たちの機能と構造を作る=物質・現実を作る(顕象)というのと全く同じことを言ってる。

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また、西洋ではギリシャ哲学のアリストテレスが2000年前に同じことを言ってる。

アリストテレスは「ポテンシャル」と言ってる。

これは、私たちの世界には「ポテンシャル(潜在性)」と「アクチュアリティー(現実)」の2つがある、というもの。

ポテンシャル:物質になる・現実になるものが見えない形で存在するもの。

このポテンシャルが見える形で存在したものが「物質」。

まさしく、エナジー・エネルギー・電子のフロー=カタカムナでいう潜象

それが現実化したもの、また物質になったもの=顕象

これは全て2000年前から言われてることで、日本でもカタカムナという古代の文献でこれを見抜いてたと推測される。

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電子のフローがエネルギーを作る。エネルギーが物質を実際に具体化させる。私たちの見える形として顕在化させるということが、サイエンスの大きな土台となってる。

そして、今流行りの量子力学(クォンタム・フィジックス)というもの。難解で非常に複雑な数式を用いた、私たちが直感的に理解できないような現象(ノンローカリティ(非局所性)、クォンタム・エンタングルメント(量子もつれ)など)があるが、この非常に理解のしにくい量子力学が全くのデタラメで、あれは単にポテンシャルが物質に変化したということさえ押さえれば、この複雑な学問体系も全てがクリアカットに説明できる。

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■今回のペントースリン酸経路で上記の話をした理由

それは、ペントースリン酸経路も究極のエネルギー通貨の電子のフローを見ていくことで非常に理解が進む。

暗記学問に終わらなくて済む、という理由。

10:30【ペントースリン酸経路】

まず、私たちの体は糖のエネルギー代謝が全てである。

何故、私がいつも“糖のエネルギー代謝”というのか。それは、糖からいただいた電子をフローすることで、私たちの機能と構造(=アクチュアリティ/物質)を作り出すから。

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■グルコースの代謝には2つの経路がある

糖のグルコースやフルクトースから私たちがいただく電子のフローの流れが2つある。

①グルコースを徹底的に酸化して自分のものに生かしていく経路:TCA回路、電子伝達系(解糖系からTCA回路、ミトコンドリアで行われる電子伝達系)

『糖の完全燃焼』という言い方をするが、これが「異化」の過程(グルコースを徹底的に酸化していく)。

②①とは逆にグルコースから同化する、様々な物質を作っていく経路:ペントースリン酸経路

つまり、これは電子の流れが糖の異化か同化によってガラッと変わってくるということ。

12:14

*糖の異化

糖の完全燃焼=グルコースの異化では、エネルギーはビタミンB3(ナイアシンアミド)のNAD+によって運ばれてNADHの形になり、電子伝達系に入っていく。このNADHが還元物質。

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*糖の同化

一方のペントースリン酸経路=グルコースの同化では、電子はNADP+に捕獲されて、NADPHになる。これもNADHと同じ立派な還元物質。

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そして、糖の完全燃焼のNADHは電子伝達系に入り、電子伝達系に渡してエネルギーとCO2という重要なホルモンを作る。

一方のペントースリン酸経路では、NADPHに渡した電子が何に使われるのか?

これは、糖の完全燃焼のようなエネルギーやCO2ではなく、糖・アミノ酸・核酸(DNAの構成単位)・脂肪といったものを作るのにこの電子が使われる。これがペントースリン酸経路。

なので、グルコースの流れが2つあるということをまず覚えること。

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■ガン細胞

そして、ガンの病態では「糖の完全燃焼」と「ペントースリン酸経路」=グルコースの異化と同化が同時に進行していく。

ガン細胞がペントースリン酸経路を理解するのには非常に格好のテキストになる。

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《ガン》

①盛んに分裂するために、DNA合成の材料が必要(=核酸が必要)。

②ガンは細胞内で大量に発生する活性酸素、活性窒素種に対して還元剤を必要とする。

つまり、あまり活性酸素などが増えすぎてしまうとガン細胞そのものが死んでしまうということ。なので、通常の健康の細胞よりも細胞内に還元剤が必要になる。

この還元剤がたくさんあるがために抗ガン剤や放射線に対してガンは耐性を持ってるということになる。

③ガンは盛んに分裂するために、DNA以外の細胞材料及びエネルギーも同時に必要とする。

↑この3つが満たされて初めてガンが増殖することができる。

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*①〜③に対応するもの

①DNAの材料→核酸

②還元物質→NADPH(電子の運搬役)、グルタチオン

③DNA以外の合成材料→アミノ酸、脂肪(+これにエネルギーも同時に手に入れる)

この①〜③を手に入れるおいしい方法は存在するのか?

実は、これが『ペントースリン酸経路』に備わってる。

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グルコース(糖)→TCA回路→電子伝達系

↑これが通常の糖の完全燃焼の経路。

しかし、糖が解糖系に行かず、途中でペントースリン酸経路に入ることで上記の①〜③が達成される。

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*ペントースリン酸経路に糖が入った場合(電子のフローが向いた場合)、何が作られるのか?

・還元剤の産生

NADPH(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate/ニコチナマイド・アデナイン・ダイヌクレオタイド・ホスフェートの還元型)

還元型グルタチオン(reduced glutathione/リデュースド・グルータサイオン)

この2つがペントースリン酸経路で生まれる。

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・脂肪新生

脂肪はアセチルCoAから細胞質の中でパルミチン酸まで合成されていく。この時に、NADPHを使うことで脂肪が細胞内にたくさん作られていく。

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・核酸/ペントース

核酸とは、ライボースというRNA、デオキシライボースというDNAの総称。これらの産生にはいずれも糖が必要。2つの糖を中心として核酸が作られていく。

その糖は5つの炭素があるということで「ペントース」と言われてる。

グルコースやフルクトースは6つの炭素があるのでヘキソースと言われており、核酸の糖は炭素(C)が一つ少ない状態である。

この糖はいずれも核酸を合成する重要な糖になる。

このペントースがペントースリン酸経路で得られる。

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・アミノ酸、芳香族アミノ酸、ヒスチジン

これらがペントースリン酸経路からGETできる。

・エネルギー

ガン細胞はエネルギーも同時に必要。なので、解糖系の中間産物である「グリセルアルデハイド3ホスフェート/グリセルアルデヒド3リン酸」、あるいは「フルクトース6ホスフェート/フルクトース6リン酸」というものも産生することで、これをエネルギーとして使うことが可能になる。

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つまり、ペントースリン酸経路は①核酸②NADPH、グルタチオン③アミノ酸、脂肪、エネルギーを同時にをGETできるということ。

・盛んに分裂するためにDNAに合成→GET

・還元剤→GET

・アミノ酸、脂肪、エネルギー→GET

ということで、ペントースリン酸経路をフルに活用するのがガン細胞ということになる。

20:16

詳しい経路は覚える必要はない。外観として見ておくとOK。

20:24〈映像確認〉

グルコースがピルビン酸に変わり、TCA回路に入るのが解糖系。

この解糖系ではなく、グルコースがペントースリン酸経路に向かった場合。その時はグルコースがグルコース6リン酸から右側の経路に入る。

右側の経路に入る最初の酵素が「G6PD」。この酵素がしっかり働いて初めてペントースリン酸経路の方に電子が流れていく。

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そして、脂肪新生、グルタチオンあるいは途中で遺伝子の材料、解糖系の材料、アミノ酸の材料の全てをこのペントースリン酸経路で得られる。

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*グルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)

G6PDはペントースリン酸経路に電子を向かわせるのに非常に大事な酵素。

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■ペントースリン酸経路(PPP)が進まない酵素異常

一番最初に働くG6PDという酵素が欠損してる。そのような酵素異常が見られる人がいてる。

そういう人はペントースリン酸経路に入れない。

そういうパターンの人はガン、動脈硬化、心不全、心筋症になりにくいことがわかってる。

22:19

今度は上記の逆。

G6PDHの過剰発現が起こるとその酵素が効きすぎるということになる。

酵素が効きすぎると、細胞内でNADPH(還元物質)が増えすぎる。これが増えすぎると、NADPHオキシデースというものを活性化する。これを活性化しすぎると過剰な活性酸素・窒素種が発生する。

そうすると、例えば膵臓や胸腺といったところで細胞の障害が起こるということがすでに報告されてる。

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なので、やはりG6PDHが過剰に発現すると非常にまずいということになる。

逆にG6PDHがない場合は慢性病にかかりにくい。

つまり、“ペントースリン酸経路にはあまり電子を流さない方が良いのではないか”という推測が成り立つ。

23:44〈映像確認〉

■電子の異化・同化をミトコンドリアから見た場合

グラフ

左)ペントースリン酸経路

右)糖の完全燃焼

縦軸)酸素分圧

網網)ミトコンドリア

酸素をしっかり利用するのが「糖の完全燃焼」。

ペントースリン酸経路に電子のフローが流れる場合(同化に流れる)は、酸素消費は非常に少ない。

ペントースリン酸経路:不活性化ミトコンドリア

糖の完全燃焼:活性化ミトコンドリア(糖を完全燃焼するにあたり酸素を大量に消費するので)

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《ペントースリン酸経路/同化》

ペントースリン酸経路の場合は、電子をNADPHに渡して遺伝子やアミノ酸合成に使用する。そして、細胞分裂・増殖に傾ける。

《糖の完全燃焼/異化(糖を徹底的に分解・酸化していく方)》

糖の完全燃焼では酸素呼吸によってエネルギーをたくさん産生する。

これにより細胞の成長、分化、機能を達成させる。

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これが、“潜象から顕象へ”と言われるもの。エネルギーのポテンシャルが実際の私たちの細胞の成長、機能、構造を作り上げていく。

こちら(同化?25:32)はポテンシャルが非常に低い。低いがために、細胞が成長したり、あるいは機能を持つことができずに分裂と増殖を繰り返す。

この典型がガンや関節リウマチ、糖尿病の病態。

つまり、ミトコンドリアの酸素消費が多いほど細胞の運命が決定されるということ。

26:07

■ペントースリン酸経路とNADPH

NADPH:還元物質

2分子のNADPHが産生されるが、ペントースリン酸経路ではそれが物質の合成に使われる。

・脂肪新生

特に肝臓、乳汁分泌の乳腺、脂肪組織といったところで脂肪がたくさん作られていく。これが正常作用となる。

ガン細胞では、ガン細胞の中そのものに脂肪が新生されていく。

・ステロイドを作る

また、NADPHがステロイドを作るのにも利用されてる。

精巣、卵巣、胎盤、副腎皮質といったところのステロイド合成にもNADPHは使用される。

27:07

・赤血球内の還元型グルタチオンを作る

それにもNADPHは利用されてる。

・過酸化水素の還元

酸化還元反応にもNADPHは使われてる。

NADPHから電子を受けることで最終的に過酸化水素が水になる。

なので、過酸化水素を無毒化するためにNADPHの電子が使用されてる。

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その他でNADPHの電子の非常に重要な働きとしては、「サイトクロムP450モノオキシゲネースシステム/Cytochrome P450 Monooxygenase System」。

これは、肝臓にある解毒システム=デトックスの酵素のこと。

ミトコンドリアではステロイド新生、胆汁酸産生、ビタミンD3の活性型の変換などにもサイトクロムP450モノオキシゲネースシステムは使われてる。

肝臓では毒性物質を水溶性にして、さらにグルクロン酸抱合して胆汁へ流す。

そのことにもNADPHの電子が使われてる。

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なので、NADPHがたくさんありすぎると問題だけど、正常の生理的条件では非常に重要な働きをする。

・電子をデトックスする

・ステロイド産生などに利用してる

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NADPHがプーファ、エストロゲン、コルチゾールなどの慢性的に出ては困る毒性物質を水溶性に変換して胆汁中に流す。

その時にNADPHの電子が使われていく。

サイトクロムP450モノオキシゲネースシステムとはそういう形になってる。

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■NADPHオキシデース

マクロファージの中にあるNADPHオキシデース。

これは好中球、マクロファージの食作用でNADPHが使用される。

これは、スーパーオキサイドと鉄があればハイドロキシラジカルになるが、このラジカルによって微生物などを殺傷するといわれてる。

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NADPHオキシデースが好中球、マクロファージにない病態を慢性肉芽種症(Chronic Granulomatous Disease,CGD)という。

これは、好中球、マクロファージのNADPHオキシデースがないためにフリーラジカルができない。

そのためにバクテリアが増殖するというもの。

このような、繰り返す感染や炎症によって各組織に肉芽種(膿)が形成されるという病態もある。

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*一酸化窒素

ところが、例えば「一酸化窒素」という非常に毒性の強い物質がある。

この物質はミトコンドリアのサイトクロムCオキシデース、あるいはピルビン酸脱水素酵素という糖の完全燃焼で非常に重要な関門をブロックして、根本的にシックネスフィールドを作っていくとても危ない物質。

さらには、血管をリークさせることで炎症性物質を生命場にばらまく。循環血液量も減らすことで血管を詰まりやすくし、閉塞しやすくなる。

あるいは、組織に血管から水を誘導することで浮腫(浮腫み)をもたらす。

そのようなシックネスサブスタンスが一酸化窒素である。

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その一酸化窒素を合成するのが「アルギニン」というアミノ酸。

アルギニンから一酸化窒素が作られるが、その時にもNADPHの電子が使われる。

一酸化窒素はすぐに酸素やスーパーオキサイドと反応して「硝酸塩/ナイトレート(nitrate)」、「亜硝酸/ナイトライト(nitrite)」、「活性窒素種」ができる。

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一酸化窒素合成酵素がこれに介在し、最終的にアルギニンから一酸化窒素を作る。

この一酸化窒素合成酵素を刺激するのがプーファ、あるいは炎症性物質、エンドトキシン、ビタミンC。これらが一酸化窒素合成酵素を活性化させる。

なので、この一酸化窒素合成にもNADPHは使用されてる。

つまり、正常のデトックス、ステロイド合成の他にもシックネスサブスタンスの合成にもNADPHは使われてるということである。

33:33

一酸化窒素に関しては、

・神経でできるもの

・血管内皮でできるもの

に分けられてる。

しかし、全て作用は同じ。

33:52

■NADPHのペントースリン酸経路以外での産生方法

NADPHはペントースリン酸経路以外でも作られてる。

ペントースリン酸経路が例え遮断された場合でもNADPHが他の経路で作られることで、上記のようなステロイド合成やデトックス、あるいは過酸化水素の水への転化がつつがなく行われる。

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「AMP活性化プロテインカイネース(AMPK)」という酵素があるが、この酵素は低酸素、低血糖、活性酸素・窒素種発生で活性化されるもの。

AMPKの働きとは、同化から異化。→脂肪、アミノ酸をエネルギーの燃料にする時にAMP活性化プロテインカイネースが活性化する。

34:56

ガン細胞では、ペントースリン酸経路を使用したいが、もし低血糖であれば糖に依存するペントースリン酸経路を使用できない。

その場合はAMPKを活性化してNADPHを作る。それによりガンは還元物質を確保する。

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実際に、低血糖のため糖に依存するペントースリン酸経路をブロックして、しかもAMPKをブロックすると、ガンは完全に死滅して転移もできなくなるという現象が報告されてる。

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要するに、このような酵素があり、ペントースリン酸経路以外にもNADPHを作る経路があるということ。

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ガンはペントースリン酸経路がブロックされると、非常に不利な状況になる。それでもガン細胞はたくましく生きていく。

その場合、脂肪新生を中止する。そうすると、NADPHの消費を止めることができる。

そして、脂肪酸のβ酸化・・・脂肪のエネルギー代謝を促進して得たTCA回路の中間産物からNADPHを作れるという非常にたくましい経路を持ってる。

なので、ガンの治療でペントースリン酸経路をブロックすると非常に有効なことは有効だが、時間が経つにつれそれに対してしっかり対応する経路をまた発達させるというのがガン細胞である。

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■ペントースリン酸経路を活性化する病態

これは、核酸・NADPH・脂肪を必要とする場合。

・ガン

・関節リウマチ

・SLE

このような慢性炎症性疾患。こういったものはペントースリン酸経路が非常に活性化してる。

また、活性酸素・窒素種がバンバンできる場合。

この場合も、私たちはそれを防御するためにペントースリン酸経路を活性化し、それに対応する還元物質をたくさん作ろうとする。

37:47

その活性酸素・窒素種がたくさん発生する病態とは、還元ストレス。

還元ストレスは次第に酸化ストレスに変わる。

還元ストレスが始まるような状態とは↓

・プーファ:特に最も酸化されやすいオメガ3のDHAが活性酸素・窒素種を大量に発生させる。プーファもペントースリン酸経路を活性化する。

・抗酸化物質の慢性投与

・放射線:活性酸素・窒素種がたくさん発生する治療法。このラジエーションに当たるとペントースリン酸経路が活性化する。

・抗ガン剤:同じく

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過剰にペントースリン酸経路が発達すると還元物質がどんどん溜まり、細胞増殖・分裂の方に傾いてしまう。そのため、ペントースリン酸経路をブロックするものも必要となる。

*ペントースリン酸経路をブロックするもの

・DHEA、プロゲステロン(崎谷先生が「保護ステロイド」と呼んでるもの)

・パルミチン酸、ステアリン酸などの長鎖の飽和脂肪酸

・クワイノン、ビタミンK、エモジン、テトラサイクリンなどの酸化物質

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*ペントースリン酸経路をどんどん活性化するもの

・エストロゲン

・低酸素

・抗酸化物質:逆説的だが、ペントースリン酸経路を促進する。それは、抗酸化物質を与えると電子伝達系から電子がリークする。そして、たくさん活性窒素・酸素種が発生するためにペントースリン酸経路が活性化して余計私たちの体内の細胞の中で還元物質を大量に産生しようとするから。

40:45

なので、やはりシックネスパターンを作る物質とヘルスネスフィールド、ヘルスネスパターンを作る物質は、ペントースリン酸経路をブロックするのか、または促進するのかで綺麗に2つに別れる。

41:13

■ペントースリン酸経路から見えてくる関節リウマチの根本治療(対処療法ではなく)

*関節リウマチの病態

関節リウマチの主役となってる炎症細胞のTリンパ球の中では、ペントースリン酸経路が活性化してる。

そうすると、Tリンパ球の中ではNADPH、グルタチオンといった還元物質が過剰蓄積して活性酸素・窒素種が減少する。

すると、活性酸素・窒素種で活性化する「ATMプロテインカイネース」という酵素があるが、これは細胞増殖を止めるもの。これが減少することで、リンパ球がどんどん分裂して増えていく。

そして、T細胞が「TH1TH17」と呼ばれる非常に炎症性の高い細胞へ分化・増殖していく。

それにより、炎症性物質がさらに産生され、関節がどんどん破壊されていく。そのような病態が関節リウマチである。

42:52

ATMプロテインカイネースには、必要以上に細胞が増殖しないようにチェックする機能がある。この酵素は活性酸素・窒素種がある程度ないと働かない。

関節リウマチは還元物質・抗酸化物質が多くなりすぎてこの酵素が働かずにTリンパ球がどんどん増加していく、という病態である。

43:21

マクロファージの活性酸素種はT細胞を制御し、自己免疫性の関節炎を防ぐ。

つまり、ある程度活性酸素種がないと炎症性細胞が無秩序に増殖していくということを防げなくなる。

43:48

マクロファージ、好中球の活性酸素発生源であるNADPHオキシデースがない場合には、炎症を止めるようなT細胞から炎症をオンにするT細胞に変化することがわかってる。

つまり、活性酸素が少なくなる・還元物質が多くなるほどバランスが崩れていき、関節リウマチが進む。

44:22

なので、関節リウマチを根本的に治そうとするなら、ペントースリン酸経路の活性化を止めて、これ以上の還元物質が蓄積しないようにしないといけない。

活性酸素種を消去する還元ストレス(NADPH、グルタチオン)の産生を止めることにより、電子のフローを促す。

もちろん、還元ストレスを防ぐために低酸素や低血糖、プーファを除去するのは大前提である。

その上で先述のプロゲステロン、DHEA、クワイノンなどの酸化物質を使って、これ以上還元物質が溜まらないようにペントースリン酸経路の活性化を止める。

45:28

そして、ナイアシンアミドも実はペントースリン酸経路を止める作用がある。

なので、還元物質が過剰に溜まることで電子のフローが止まり、しかもその電子のフローがペントースリン酸経路の方に過剰に流れている。つまり、糖からの電子の流れが同化の方に流れすぎている。

これが、関節リウマチやガン、糖尿病の病態。

なので、この電子のフローを正常の糖の完全燃焼の方に回してあげるために、酸化物質であるエレクトロンアクセプタ(電子受容体)ともいわれるビタミンKなどのクワイノンやDHEA、プロゲステロン、ナイアシンアミドが関節リウマチやガンに非常に有効だということ。

これも、電子のフローを見ていくことで非常にクリアカットに根本治療がわかるようになる。

46:49

ペントースリン酸経路はあくまでも「電子の流れが解糖系から、物質の合成や還元物質の合成の方に過剰に傾いた状態」だということさえわかれば十分と言える。

47:13

実際に、ガンではペントースリン酸経路(PPP経路)が活性化してる。

最初のG6PDという酵素が非常に活性化してる。

なので、臨床的にも現代医学の実験でさえもG6PDをブロックするDHEAを与えるとガンは縮小していくし、その途中の酵素をブロックするビタミンB1(サイアミン)でガンの増殖をストップすることが可能になってると言われてる。

47:54〈映像確認〉

■マクロファージ

赤のマクロファージ:炎症性

一方が炎症を抑えるマクロファージ

これらは場によって変わるだけで、全く同じもの。

これがシックネスフィールドでは、炎症性に働く。

ヘルスネスフィールドでは炎症を止める方に働く。

48:24

《炎症性のマクロファージの特徴》

・マクロファージの中でペントースリン酸経路がやはり活性化してるということ。

・PPP経路でできる中間産物から解糖系でエネルギーを得てる。

・FAS(脂肪新生):ペントースリン酸経路は活性化してるので脂肪がたくさん出てる。

・アルギニンからNO(一酸化窒素)ができる。

これが炎症性のマクロファージの中で起こってる。これはまさにガン、関節リウマチ、糖尿病の細胞で起こってることと全く同じことがマクロファージにも起こってる。

49:21

《抗炎症性のマクロファージの特徴》

・糖の完全燃焼:解糖系、TCA回路、電子伝達系という完全燃焼の方に電子がフローしてる。

・アルギニンがオルニチンに変わる:NOではなく他の物質に変わる。

・ミトコンドリアがたくさんできる:電子のフローが糖のエネルギー代謝の方(異化の方)に回った場合に起こりうること。

49:59

以上のように、病的状態は電子のフローが正常の完全燃焼の方の経路に流れるのではなく、別の方に流れていってしまうということも病態の一つである。それが今回のペントースリン酸経路の内容で明白。

なので、電子のフローが止まることも究極の慢性病(様々な心身の病気)の根本的な状態である。

その電子の流れのブロック、また電子の流れがおかしな方向に行った場合(ペントースリン酸経路)の2つの状態が様々な慢性病の根源である。それを電子の流れというところから理解できると“病気とは何か”、“心身の不調”とは何かが鮮明に浮かび上がってくる。

51:16(まとめ)

今回は電子のフローからペントースリン酸経路を題材にして、様々な慢性病、逆に言うと心身の健康についての内容でした。

今回の内容で暗記学問ではなく、生命の本質とは何かというところからビルドアップしていって、様々な生命現象を捉えることができるようになるのでは。

fin

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