生化学(28)酸化・還元ストレス
生化学(28)酸化・還元ストレス
エネルギー代謝総集編。
0:20
生物は海から発生したという説。ダーウィンの進化論も然り、全ての生命は海で発生し、やがて陸に上がってきたという説がある(あくまでも仮説)。
そして、植物が発生して初めて原始の地球に酸素が発生し、酸化ストレスが始まったという説がある。
つまり、“植物が登場する前は原始の地球は還元状態であった。特に水素が大気中にたくさん存在してた”という説が一般的なサイエンスの通説となってる。
1:24
ところが、実際は原始地球には植物が出現する前から酸素が存在してる。
その理由としては『火山』。
これは1960-70年代にかなり研究された内容。
地球は火山活動が盛んで、生命体そのものが火山活動の中で発生したということが、当時の科学者の中からいくつか提唱されてる。
これはどういうことか?
というと、「アミノ酸が集まってタンパク質になる」という反応が生命の最初のステップで起こるが、このアミノ酸が重合してタンパク質になるという反応はドライな環境で起こりやすい。
つまり、水中では非常に起こりにくい・ほとんど起こらない反応。
なので、おそらく火山活動によってアミノ酸ができ、アミノ酸が重合して複雑な生命体=細胞が最初に発生したのではないか、というもの。
これが1960-70年代の優れた研究で報告されてた。
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しかし、メインストリームのサイエンスではこのような議論は避けられ、ダーウィンの進化論や、通説通りの海で生命体が発生して植物が発生した後初めて酸素ができたという仮説を広めてる。
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実は、火山活動だけでも酸化炭素、二酸化イオン、酸素などの酸化物質を放出する。
原始の地球の大気は火山活動があったおかげで、すでに酸化状態だった。つまり、植物の出現以前にすでに酸化状態であった。
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酸化物質とは、生命のエネルギーのフローである電子の受け渡しに必要。
その逆の還元物質(今でいう抗酸化物質)の存在は電子のフローを止める脅威であったということである。
つまり、原始の地球が酸化状態だったので、還元状態というものが非常に怖かった。
すでに酸化状態で私たちの生命が進化したので、原始の地球当初から還元ストレスには要チェックだったということである。
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二酸化炭素を電子のフローの担い手として利用したのが「植物」。
二酸化炭素も酸化物質である。
二酸化炭素の少ない環境で、酸素を電子のフローの担い手として利用できる要因になったのが「動物」。
ということで、いずれも酸化物質を電子のフローの担い手として使用したのが動植物という生命体である。
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要するに、原始の地球から酸化状態で、その酸化状態に上手く適応していたのが私たち生命体である。
したがって、還元状態が生命体にとってどれだけ恐ろしいことなのか。生命の根源に関わってくるという意味でも『抗酸化作用』や『還元』ということについてもう一度見直しましょう。
5:50【還元ストレス】
“酸化ストレス”という言葉は一般的によく聞く言葉だけど、“還元ストレス”という言葉はあまり聞きなれないと思う。
しかし、ここ10年くらい「還元ストレスが実は酸化ストレスよりももっと根源にあって、還元ストレスからあらゆる慢性病が発生する」という研究が少しずつ報告されるようになってる。
6:34〈映像確認〉
■還元ストレスとは
ミトコンドリアの酸素呼吸で特に電子伝達系がブロックされた場合に、細胞内にNADH、NADPH、GSHという還元物質(抗酸化物質)が過剰になる状態を「還元ストレス」という。
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例えば「ロテノン」という農薬の成分がある。
これは、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体1(コンプレックス1)をブロックする作用を持ってる。
このようなロテノンを細胞に振りかける、あるいは低酸素状態になるというようなストレスをかけると細胞内にNADHというビタミンB3(ナイアシンアミド)の還元型が過剰蓄積する。
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*NAD+、NADHのratio(比)/割合
酸化型のビタミンB3と、還元型のビタミンB3(NADH)の割合が減ってくる。
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*NADHが過剰蓄積すると何故まずいのか?
複合体1(コンプレックス1)というミトコンドリアの電子伝達系からフリーの電子が漏れてくる=漏電が起こる。
一般的に漏電が起こると、火事が起こる。
これは生命体も全く同じ。漏電が起こることで火事が引き起こされる。
具体的には・・・
フリーの電子がすぐ近傍の酸素と反応して、活性酸素を過剰に作る。そして、この活性酸素は鉄と反応し、ハイドロキシラジカルという最も反応性の高い活性酸素を作り出す。これがプーファと反応すると、アルデヒドを作り生命体を壊していく。
こういう一連の流れがある。
今回の内容でこれを詳しく見ていきます。
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ミトコンドリアの電子伝達系の電子運搬役が還元状態(=NADH)の形が非常に多い場合は、電子を最後の酸素まで運べない。
それにより、細胞内にどんどん電子が蓄積していく。
こういう状態も、電子のリークが起こるということになる。
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■還元ストレスによる疾患
還元ストレス=つまり、細胞内が過剰に還元状態あるいはアルカリ性になる。
この、細胞内が還元状態(アルカリ性)になる代表的な疾患が以下。
・心筋症
心臓のガンとも言われてる、心臓移植が最も多い原因。心臓のポンプ機能が有効に機能しない。筋肉そのものがやられてしまう病気。
・肺高血圧症
肺に非常に高い圧がかかるために、肺になかなか血液が行かなくなる。それにより心臓に負担がかかるという病態。
・心筋虚血
・筋ジストロフィー
・神経変性疾患
・パーキンソン病
・アルツハイマー
・メタボリックシンドローム
・糖尿病
・関節リウマチ
・自己免疫疾患
・網膜の病気
・ガン:還元ストレスで起こると言われてる有名な疾患
11:20
■Nアセチルシステイン(NAC)
「Nアセチルシステイン」:抗酸化物質
これは、NADHを細胞内で増加させて還元ストレスを増長する。
すると、ミトコンドリアの電子伝達系のコンプレックス1から電子をリークさせて活性酸素を過剰産生する。
つまり、抗酸化剤は還元ストレスを招くということ。
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■抗酸化剤・抗酸化物質による病気
抗酸化作用を持つような物質を長期間投与すると、実際に起こる病気が以下(今まで報告されてるもののみ)。
●ビタミンE
骨を弱くしたり、肺ガンを形成する。
このように、単独で抗酸化作用だけを期待してビタミンEを飲んでると実際にガンが発生するということ。
●NAC(Nアセチルシステイン):上記のもの(11:20〜)
これは去痰剤という、風邪の時に病院で出される痰を柔らかくする薬と書かれてるもの。これがNACである。このNACも心臓血管疾患あるいは肺ガンを引き起こすことが報告されてる。
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●βカロテン:トマト、人参などに含まれてる色素成分
このような強い抗酸化作用を持つようなファイトケミカル(色素成分)だけを抽出して服用すると、ガンを促進する。
●ビタミンC
DNAのダメージを起こす。あるいは腎臓に結石を作る。ビタミンCの有名な副作用の一つでもある。
ビタミンCは単独で投与する場合は、大量投与でしかも静脈内投与以外はあまり意味がないどころか逆効果になる物質である。
●BHA、BHT:臨床実験でよく使われる抗酸化物質
これもガンを引き起こす。
14:18
●フラボノイド:野菜に含まれる物質
DNAにダメージを起こしたり、高血圧を引き起こす。
●レスベラトロール:赤ワインの成分
心臓血管など血管にダメージを与える。
●クマリン酸
心臓血管疾患。血管の内皮にダメージを与えて、動脈硬化を引き起こす作用がある。
●エストロゲン
抗酸化作用を持ってる。乳ガンや子宮ガン、卵巣ガンを引き起こす有名な物質。
15:12
これらほとんどが還元ストレスを発生させることで、フリーの電子を大量発生させて最終的に鉄・プーファにより酸化ストレスを招く。
それによりガン、心臓血管疾患、糖尿病などの慢性病を引き起こす。
15:37〈映像確認〉
グルコース→ピルビン酸→ミトコンドリア(図示)
ミトコンドリアまで行き、最終的に二酸化炭素とATPを産生する。完全燃焼すれば良いが、ここに低酸素やプーファ、一酸化窒素、エストロゲン、コルチゾール、乳酸といったものが介在していくとミトコンドリアに入ることがまずできない。
それにより酸素呼吸ができなくなる。そうすると、細胞内でNADH(還元型のビタミンB3/グルコースの電子を運ぶ運搬隊)がミトコンドリアに入れないという状態になる(ミトコンドリアがブロックされた場合)。
そうなってしまうと、NADHが過剰蓄積してくる。やがてグルコースの電子も蓄積してくる。これが「還元ストレス」。
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そして、蓄積した電子やNADHを処理するために、ピルビン酸がやむなく乳酸に変わる。
ピルビン酸から乳酸に変わることで、電子を処理することができる。
しかし、この過程でさらにまた細胞内は還元状態が進む。
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さらに、抗酸化物質を長期間内服することで、NADHが蓄積する。
NADHが溜まりすぎると、ミトコンドリアの電子伝達系のコンプレックス1もしくはコンプレックス3で負担を与えて、過剰の電子がフリーとなって出てくる。
これが、還元ストレスを引き起こす。
17:42〈映像確認〉
グラフ
縦軸)活性酸素または活性窒素を起こすレベル
横軸)酸化or還元
右)機能構造障害
まず、私たちの細胞の異常は還元ストレスから発生する。
この還元ストレスが発生すると、機能構造、活性酸素・窒素がたくさんできる。これが次第に鉄やプーファと反応するといよいよ酸化ストレスという、病態の最終像に向かう。
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その酸化ストレスが最終的に起こった場合は、活性酸素・窒素レベルも上がる。また、機能構造もどんどん破壊され変性していく。
なので、この還元ストレスと酸化ストレスの間が一番私たちの生理的条件を規定してるところとなる。それがつまり『弱酸性』の状態である。
細胞がいつでも酸性の状態でキープしておかないと、還元ストレスから酸化ストレスに触れてしまう。
右から左へ大きく触れてしまうということが、全ての病気のパターンに当てはまるということ。
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■酸化ストレスは還元ストレスから起こる
NADHが溜まりすぎるとミトコンドリアのコンプレックス1で負担がかかり、電子が漏れ出てくる。
その漏れ出た電子が近傍の酸素と反応し、たくさんの活性酸素あるいは活性窒素を作る。
それが鉄と反応し、最終的にプーファから酸化ストレスを作るというパターン。
19:51〈映像確認〉
NADHがたくさん溜まる還元状態(アルカリ性)では、電子が漏れ出てくる。
そして、最終的に鉄とフェントン反応でハイドロキシラジカルという最も反応性の高い活性酸素・フリーラジカルが発生し、プーファが脂質過酸化反応を開始する(これはプーファがある限りチェーンリアクションで自動的にどんどん進むので「自動酸化」と言われる)。
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そして、自動酸化の過程でたくさんアルデヒドができる。このアルデヒドがミトコンドリア、遺伝子、タンパク質、脂質を変性させていき、シックネスフィールドを作り上げる。これが、慢性病の根源。
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■NADH蓄積に対する防御反応
*乳酸
私たちの体は還元型のビタミンB3「NADH」が蓄積しないように、あらゆる防御反応を駆使してる。
その例を見ていきます。
まず、NADHが溜まると還元ストレスで病態になっていく。常にこれをNAD+(酸化型のビタミンB3/ナイアシンアミド)に変えて再生しないことには電子のフローが止まってしまう。
電子の受け皿はあくまでも酸化型のビタミンB3(ナイアシンアミド)である「NAD+」、もしくは酸化型のビタミンB2(ライボフラビン)「FAD+」。
これが電子を受けると初めて「NADH」や「FADH」になる。
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低酸素の場合は、ピルビン酸脱水素酵素(PDH)の作用がブロックされるためTCA回路、電子伝達系に入れないという状態になる。
これは、プーファや乳酸、コルチゾール、エストロゲンであっても同じことが起こる。
すると、“NADHとNAD+の反応として、還元型の「NADH」が酸化型の「NAD+」になる”というもの。これは、電子伝達系で行われるが、電子伝達系に入れないためにこの反応が行われなくなる。そうなると、NADHはどんどん溜まっていく。
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それにより、グルコース、もしくはフルクトースの電子の受け皿がなくなってしまう。
そうなると解糖系でさえ止まってしまうという状態になる。
解糖系が止まってしまうと完全にエネルギーがなくなる。
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なので、ピルビン酸を乳酸に変える反応を起こして(発酵)、何とかNAD+を保持して、解糖系だけでも回そうという反応が起こる。
これがガンや糖尿病、関節リウマチという病態ではこのサイクルだけが回ってる、という状態になってる。
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*乳酸以外の防御反応/L2ハイドロキシグルタル酸
乳酸産生以外に還元型ビタミンB3「NADH」の蓄積を防御する反応も備わってる。
例えば、TCA回路がストップした時に、αケトグルタル酸(TCA回路の中間産物)から「L2ハイドロキシグルタル酸」ができる。
《L2ハイドロキシグルタル酸の働き》
解糖系、TCA回路から電子伝達系への電子の運搬をブロックする。
つまり、これ以上のNADHの蓄積を防ぐために電子のフローを全てブロックするということ。
24:07〈映像確認〉
右)低酸素の状態に、TCA回路の中間産物であるL2ハイドロキシグルタル酸ができる。
このL2ハイドロキシグルタル酸は、NADHが電子伝達系に行く回路を全部止めてしまう。つまり、解糖系もTCA回路も止めてしまう。
それにより、電子の運搬をブロックし、それ以上電子が蓄積しないようにしてる。
24:42
これは、一時的には非常に有効な防御反応。
ところが、これが慢性的に起こると完全にエネルギー代謝がブロックされてるという状態になってる。
つまり、L2ハイドロキシグルタル酸はNADHの代わりの電子の貯蔵役となりNADHがそれ以上増えないようにするのは良いが、解糖系もブロックする。
25:20
そうなると、解糖系をブロックした後、糖の電子はどこへ行くのか?それは、ペントースリン酸経路に糖を流す。
《ペントースリン酸経路の働き》
NADHを減らし、NADPHという抗酸化物質をたくさん作る。
このNADPHは、酸化ストレスに対して有効に使われる物質。
特にこのNADPHがたくさんできるパターンが以下。
・ガン
・糖尿病
・関節リウマチ
このような代表的な慢性病。
26:18
*L2ハイドロキシグルタル酸のまとめ
なので、NADHがたくさん溜まりすぎると、防御反応としてL2ハイドロキシグルタル酸ができる。
これが、NADHの代わりに電子を受け取る。
そして、これ以上電子のフローが増えてまたNADHが溜まらないように解糖系・TCA回路・電子伝達系も全て経路をブロックする。
その代わり、糖を解糖系ではなくペントースリン酸経路に流し、還元物質のNADPHをたくさん作る。
その役割を担ってるのがL2ハイドロキシグルタル酸である。
27:02
これは、確かに還元ストレスを回避するために重要な一つの機構であるが、これが長期間続くのは非常にまずい。
実際にL2ハイドロキシグルタル酸はガンを増殖させる作用がある。
なので、長期間これを増やしてしまうと、逆にガンを増殖させてしまうということになる。
27:33
*乳酸&L2ハイドロキシグルタル酸の共通作用
低酸素、プーファなどで糖のエネルギー代謝、電子のフローを長期ストップさせると、「乳酸」あるいは「L2ハイドロキシグルタル酸」の両方ともがガンを発生させたり転移させる作用がある。
27:59
■細胞質でNADH→NADPHに変える機構
低酸素で溜まるミトコンドリアのNADHを細胞質でNADPHに変えるという機構も存在してる。
「アスパレートピルビン酸シャトル」や「リンゴ酸ピルビン酸シャトル」、「クエン酸ピルビン酸シャトル」というものがあり、NADHが溜まらないようにそれを除去するシステムが体内に備わってる。
28:35〈映像確認〉
*リンゴ酸ピルビン酸シャトル(図示)
これは、リンゴ酸をピルビン酸にバックすることで、NADHを処理する。そして、還元物質のNADPHを溜めてNADHが溜まらないようにする機構。
29:00
■ミトコンドリア内でNADH→NADPHに変える酵素
また、細胞質ではなく、ミトコンドリア内でNADHをNADPHに変える重要な酵素がある。
それが「NAD(P)+トランスハイドロジェネース(トランスヒドロゲナーゼ)/NAD(P)+transhydrogenase,NNT」という酵素。
この酵素がないと、NADHがたくさん溜まり、還元ストレスが増強する。
29:33
ガンではこのNNTの酵素が活性化し、たくさんNADPHが溜まる(NADHの方は溜まらない)。
NADPHは強い抗酸化作用を持ってるので、ガンが少々の酸化ストレスには耐えられる。正常の細胞よりもがん細胞は酸化ストレスに強いと言われるが、こういったところにその原因がある。
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■活性酸素・活性窒素種の発生と抗活性酸素・抗活性窒素種のバランス
*活性酸素・窒素種の発生源
活性酸素と活性窒素の発生源はミトコンドリア。そして細胞質ではNADPHオキシデースという酵素。
この2つ、
・ミトコンドリア
・NADPHオキシデース
が主な活性酸素・窒素種の発生源である。
いずれも、プーファがあると活性酸素・窒素種の発生は促進する。
30:50
それに対し、活性酸素・窒素種が過剰に増えた時にそれを抑えるシステムが体の中で備わってる。
*抗活性酸素・抗活性窒素種の物質
・NADPH:NADHから作られる還元物質
・GSH(還元型のグルタチオン/グルートサイオン):グルタチオンはサプリでよくある
・スーパーオキサイドディスミューテース(Superoxide Dismutase)
・キャタレース/キャタラーゼ(catalase)
・グルタチオンペルオキシデース(glutathione peroxidase)
・サイオレドキシン(thioredoxin)
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上記のものたちが私たちの細胞内に備わってる元々のシステム。
過剰に活性酸素・窒素種が増えないように、こういったものを備えてる。
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■NADPHオキシデース
これは、マクロファージなどの食細胞が持ってる。これは有名。
また、心筋細胞、神経細胞など多種類の細胞も実は持ってる。
NADPHオキシデースとは:NADPHから電子を受け取ってスーパーオキサイドを発生させる酵素。
マクロファージを例にすると、ここに鉄が介在するとバクテリアに脂質過酸化反応を引き起こし、殺傷することができる。
ところが、過剰にNADPHが発現すると、例えば心筋細胞、神経細胞では細胞障害を引き起こす。
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NADPHオキシデースはそういったバクテリアを殺傷する時に有用に使われたりするが、これを完全にブロックしてしまうと逆に還元ストレスを招くということが報告されてる。
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*プーファがある場合
この場合はNADPHオキシデースからのスーパーオキサイドの発生が過剰発生してしまう。それによりバランスを崩してしまう。
*高プーファ食
これも、遊離脂肪酸を上昇させてNADPHオキシデースを過剰に活性化し、スーパーオキサイドを過剰発生させてしまう。
これも逆にバランスを崩し、神経細胞障害、認知症を起こすことも報告されてる。
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高プーファ食、プーファ:遊離脂肪酸が活性酸素・窒素種を発生。そして、それに対する抗酸化物質のバランスを崩して還元ストレス→酸化ストレスのパターンを作り出す物質。
せっかくのバランスもプーファでそのバランスが崩れてしまうということである。
34:22〈映像確認〉
■プーファ、オメガ3、オメガ6を与えた細胞実験(図示)
左・縦軸)活性酸素の発生率
右)アルデヒドの発生率
スーパーオキサイドが過剰に発生して、脂質過酸化反応も増えるということがわかる。
○で囲んでるところが、リノール酸、アラキドン酸、リノレイン酸、EPAといったプーファ。
この時に活性酸素が増え、脂質過酸化反応も増えるということが明確になってる。
35:07
つまり、プーファはまず還元ストレスを与えて活性酸素を増やしてしまう。そして、最終的に脂質過酸化反応でアルデヒドをたくさん作る。
それがこの実験からも明確になってる。
35:24
■電子伝達系とプーファ
特にプーファは電子伝達系をブロックする。
電子伝達系のコンプレックス1でNADHがたくさんできて電子が渋滞し、リークする。
これは、コンプレックス3からもプーファは過剰に活性酸素を発生させてしまう。
さらに、コンプレックス4「サイトクロムCオキシデース」という重要な酵素があるが、プーファがここにダメージを与えてしまう。それによっても最終的に電子の渋滞が起こり、活性酸素をたくさん作ることになる。
36:05
あるいは、ミトコンドリアの内膜(電子伝達系の内膜)にDHAという最も酸化されやすいオメガ3(長鎖の多価不飽和脂肪酸)が膜構造として組み入れられると、膜そのものから電子がリークするという最悪の状況になる。
36:37
■セラミド
セラミドという物質も遊離脂肪酸と同じく電子伝達系のコンプレックス1、3で電子を渋滞させて活性酸素をたくさん作り、還元ストレスを招くという物質。
36:59
■リポリシス
リポリシスでは遊離脂肪酸が血液中に放出される。
そして、それが細胞内に取り込まれる。
遊離脂肪酸の血液内、組織内の絶対量が増える。これはどのような状態で起こるのか?
これは、NAC(Nアセチルシステイン)という抗酸化物質を動物に与えた実験がある。
これの慢性投与により、リポリシスが促進されて遊離脂肪酸が増加することがすでにわかってる。
つまり、細胞が還元状態になると脂肪組織で活性酸素がたくさん産出され、それが引き金となりリポリシスが起こりやすくなることがわかってる。
要するに、還元状態(還元ストレスを与えられた状態)では、脂肪が分解されどんどんリポリシスが起こる。これが、慢性病の大きな原因の一つ。
38:15
つまり、還元ストレスから酸化ストレスになるというのももちろん慢性病の根源に関わることだけど、脂肪組織からリポリシスが起こり、遊離脂肪酸が血液中(生命場)にばら撒かれるというのも非常に危ない一つの還元状態の怖い副作用である。
38:39
ミトコンドリアの酸素呼吸が障害される。
そして、電子のリークが起こる。
最終的に酸化ストレスが起こる。
その結果、細胞内に抗酸化物質がたくさんできる。
それにより、また還元ストレスが助長することになる。
これが悪循環である。
39:06
“細胞内にグルタチオンなどの還元物質が蓄積する。”
例えばダイオキシン(=エストロゲン物質)
このダイオキシンに暴露すると、細胞内にグルタチオンなどの還元物質が蓄積する。これによっても還元ストレスが引き起こされる。
つまり、還元型のグルタチオン、あるいは様々なフラボノイドなどのサプリをわざわざ摂取しなくても、エストロゲン物質に暴露しただけでも十分同じ還元物質が体内に蓄積する、という現象が起こるということである。
39:54
電子伝達系でNADHの量を増やして電子の渋滞を引き起こし、電子のリークを引き起こす現象が起こる。
40:08〈映像確認〉
非常に重要な図(図示)
糖や酸素の不足、あるいはプーファ、エストロゲン、コルチゾール、一酸化窒素、乳酸といったシックネスサブスタンスが存在するとグルコース→ピルビン酸の先のTCA回路、電子伝達系に行けず、糖の完全燃焼がブロックされてしまう。
40:37
NADHが蓄積し、NAD+という電子を運ぶ形がなくなるために、どうしてもNADを再生産しないといけない。そうしないと解糖系でさえ止まってしまう。
なので、乳酸を作ってわざわざNADを作り、最低でもその解糖系を回すという努力を細胞はする。
それにより乳酸がどんどん溜まっていくので、この乳酸が細胞内にたくさんできればできるほど徐々にリークして細胞外に出ていく(濃度依存)。
細胞外に出ていく時に、水素イオンを引き連れて乳酸が出ていく。そのためにますます細胞内は電子が溜まる=アルカリ性が強くなっていく。
41:34
乳酸が溜まると、何故細胞内がどんどんアルカリ性になっていくのか?
それは、乳酸が濃度勾配で細胞の外に出るから。
なので、細胞内はアルカリ性になり、細胞の外は酸性になっていく。
これが、糖のエネルギー代謝が最初に障害された時に起こる反応。
すると、細胞内でNADHなどの電子がどんどん溜まっていくことになる。この溜まった電子は非常に危ない。
というのは、フリーの電子はすぐに酸素と反応して、活性酸素や活性窒素を作るから。
なので、このフリーの電子を処理するために、脂肪が合成される。
42:26
アセチルCoAというTCA回路の中間産物がある。
これは糖を利用できないために、タンパク質を砕いたグルタミン酸からアセチルCoAが作られ、これによりNADP+に電子が吸収されて、NADPHができる。
それにより脂肪酸のパルミチン酸がたくさん作られていく。これを「脂肪新生」という。
これは、あくまでも電子を処理するために脂肪がたくさん作られる。
なので、細胞内に脂肪摘がたくさんできてる、というのはシックネスメタボリズム。つまり、糖の完全燃焼がブロックされてる重要なサインである。
43:43
■還元ストレスから酸化ストレスになっていく
これが、病気の本体である。
アルツハイマー病では長年の還元ストレスがまずあり、認知機能障害が起こってくる。
そして、最終的にアルツハイマー病が発症する時にはプーファの自動酸化が進んでいて、酸化ストレスが起こってるという状態になる。
44:12
抗酸化物質による還元ストレスによって脳のバリア機能がやられてしまう。あるいは脳のミトコンドリアにダメージを与えるということも報告されてる。
これはいずれも還元ストレスから酸化ストレスが起こってるということである。
44:33
■酸化ストレスが危険な理由
最終的に酸化ストレスはアルデヒドを作り、それが生命場を変性させていく。
また、もう一つまずいのは転写因子の「NRF2(Nuclear factor erythroid-derived 2-related factor 2)」というもの。
これは、日本語では正確には「赤血球系転写因子2関連転写因子」という。
酸化ストレスがかかると、この転写因子(遺伝子のスイッチをオンにするタンパク質)ができて、抗酸化物質をたくさん産生する。例えば還元型グルタチオンなど。このようなものが細胞内にたくさん産生される状態を引き起こす。
45:39
実は、この転写因子NRF2ができる=抗酸化物質をたくさん産生するスイッチがオンになる状態というのは、肺ガンの転移が促進されるということが報告されてる。
つまり、抗酸化物質(還元物質)がたくさん細胞内にできる状態はガンを増大・転移させやすいということである。
46:07
*転写因子NRF2を誘導する抗酸化物質
●Nアセチルシステイン:去痰剤として風邪薬でよく出されるもの
これは、マウスの実験でもNアセチルシステインを投与すると、メラノーマ(悪性黒色腫)の転移が促進することがわかってる。
●一酸化窒素:WiFiなどの電磁波で誘導されるもの
一酸化窒素も転写因子NRF2を誘導して、還元ストレスを引き起こすことで様々な病態を作り上げていく。これが、3G、4G、5Gの恐ろしさ。携帯電話あるいはWiFiによって脳腫瘍、または様々な病気が引き起こされるということが、すでに動物実験で明らかになってる。
47:09
このような病態のメカニズムそのものも還元と酸化についての基礎知識があると、より理解が深まる。
47:24
転写因子NRF2は還元型グルタチオンをたくさん細胞内で作り、還元ストレスを助長してしまう。
《WiFiの他にもNRF2を活性化する物質》
・αリポ酸
・スルフォラフェン(sulforaphane):ブロッコリーに含まれる
・レスベラトロール(resveratrol)
このようなファイトケミカルを抽出してサプリで飲むというのは非常に危険。これは還元型ストレスを助長してしまう。
47:56
元々このようなサプリを飲む人は病態の人、あるいは体の調子がすでに悪い人が多いはず。そのような状態ではすでに細胞内が還元状態になってるので、そこにさらに還元状態を促進するような物質を摂取することは非常に危ないと言える。
レスベラトロール、スルフォラフェン、αリポ酸も現代医学あるいは代替医療の分野でもまだ“ガンに効く”、“様々な慢性病に効く”というようなデータばかり研究報告が出てる。
しかし、これはサイエンスの基礎をしっかり勉強してると、それは間違いであるということがはっきりする。
48:46
■抗酸化物質を慢性摂取するとどうなるか?
例えば、脂肪細胞を用いてNアセチルシステイン、ビタミンE、グルタチオンといった抗酸化物質を投与した実験がある。
すると、脂肪細胞内のミトコンドリアで過剰に活性酸素が増加する=還元ストレスが発生することがわかった。
この脂肪細胞の組織周辺の酸素濃度を低下させた。
つまり、電子が酸素を消費して活性酸素になった。すると、周囲の脂肪細胞は低酸素状態になり、さらに乳酸を過剰産生してシックネスメタボリズムになる。
49:48
こういった抗酸化物質は脂肪細胞において、ミトコンドリアで活性酸素を過剰に産生するだけでなく、低酸素を招いて周囲の細胞にも悪影響を与えていく。
そして、これがどんどん悪循環で広がっていくパターンになる。
すると、最終的に鉄と活性酸素、およびプーファの脂質過酸化反応が進み酸化ストレスに変わり、脂肪細胞を完全に死滅させる。あるいはリポリシスをたくさん引き起こす反応に終わる。
50:36
■システイン
最近報告されたが、システインというアミノ酸について。
システイン:甲状腺障害物質でもあるもの
このシステインをブロックするとガンが縮小するということが報告されてる。
実は、システインは細胞内のグルタチオンの一つの成分。
つまり、システインをブロックすると、細胞内の還元状態が少し和らぐためにガンが縮小していくといことになる。
要するに、『細胞内の正常の“弱酸性”の方にいかに持っていくか』ということに全てがかかってるということ。
51:22
■小胞体
還元ストレスにおいて、切り離せない問題が「小胞体」。
小胞体はミトコンドリアと同じく、細胞内の小器官でタンパク質の構造を整えて機能的なタンパク質に変える。
あるいは、異常たんぱく質を正常化する重要な機能を持ってる。
または、脂肪もそう。機能を持つ脂肪に形を整えていくことも小胞体の作用。
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この小胞体は、細胞質よりもさらに酸化状態でないと働かない小機関である。
例えば、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオンの比。
細胞質→100:1の割合でキープする(これでも弱酸性の状態)。
小胞体→1:1〜3:1。なので、100倍くらい酸性度が高い。
つまり、細胞質より非常に酸性度が高い酸化状態が、小胞体の初期設定ということになる。
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グルタチオンは、還元型グルタチオンが上昇しても還元ストレスを招きミトコンドリア障害(細胞障害)を引き起こす。
小胞体は極めて強い酸化状態でタンパク質の折りたたみや結合を行い機能性を与える小胞機関。
その小胞体に還元ストレスが加わる。
つまり、例えば転写因子NRF2が高まるような刺激があると、抗酸化物質がたくさん作られる。これにより、小胞体の酸化状態がアルカリに傾く。そうなると、非折りたたみタンパク質など異常タンパク質が小胞体に蓄積する。
これにより小胞体自体にストレスが与えられて、これがERストレス(小胞体ストレス)を招く。
ここからも、たくさんのタンパク質の折りたたみ異常の病気が起こる。神経の変性疾患や糖尿病を引き起こす重要な原因になる。
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転写因子NRF2がUPする状況では、小胞体ストレスを与える以外にもシステインの結合を変化させていく。
これによってタンパク質の凝集が起こる。例えば心筋細胞、筋肉、神経細胞にタンパク質が凝集し心筋肥大症(心筋症)、あるいは筋ジストロフィー(決して遺伝病ではない)、アルツハイマーといった病気が引き起こされる。
いずれも、還元ストレスが最初に起こることが根本原因である。
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■還元ストレスの指標
NAD+(酸化型のビタミンB3)が少なくなる。
NADH(還元型のビタミンB3)が増える。
これが、細胞内還元状態。
あらゆる病態の初期でこのような変化が認められるということ。
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例えば低酸素。
低酸素が起こると、NAD+、NADHの比が下がる。
糖尿病や加齢でもNAD+とNADHの割合は低下していく。これらは低酸素と同じ。
なので、「偽低酸素状態/pseudohypoxia」と英語では呼ばれる。
つまり、糖尿病や加齢は偽低酸素状態ということで、細胞内は低酸素と同じ状態になってる。
これに共通してるのは還元ストレス状態に置かれてる、ということ。
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なので、NAD+を供給するナイアシンアミドが究極の若返り物質と言われるのも、NAD+、NADHの比を改善させる作用があるからである。
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■糖尿病
糖尿病もアルツハイマーと同じく、還元ストレスから酸化ストレスに変わっていくわかりやすい病態。
脂肪のエネルギー代謝になると、過剰なNADHが蓄積するために還元ストレスを与える。
これでミトコンドリアで電子が渋滞していく。
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*ATPとADPの比
脂肪をエネルギーにするとたくさんのATPができる。
これにより、電子が渋滞してくる。
これは、ATPがどんどん消費される分には電子が流れてたくさんATPが作られていくが、ATPがたくさんあってエネルギーがたくさん脂肪から作られてる場合は、ATPは必要なくなるので渋滞が起こる。
そして、電子が渋滞し、フリーの電子から電子伝達系の最後ではなく途中で酸素と反応してしまい、活性酸素・窒素種を作る。
これが、最終的にアルデヒドを生成し、膵臓を破壊していく。
という、これが糖尿病のパターンとなる。
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■還元ストレスで起こる変化
*脂肪について
・トリアシルグリセライド、つまり脂肪新生が盛んになる。
細胞内にどんどん脂肪がたまっていく、というこれがまず変化の一つ。
これは、乳酸が外に出て行って、さらに電子が溜まった状態。その細胞の過剰のフリーの電子を処理するために、脂肪が作られるということ。
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・リポリシスが還元ストレスでは起こる。
つまり、遊離脂肪酸、プーファがたくさん血液中に溢れるという状況を引き起こす。
・PPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性型受容体)
このような受容体があり、この活性化で同じ現象が起こる。
例えば、脂肪新生、脂肪のエネルギー代謝(脂肪のβ酸化)、糖代謝異常という還元ストレスと同じ状態が起こってくる。
これは、PPARαの活性化と還元ストレスのいずれもプーファに同時に引き起こされる。
つまり、還元ストレスを引き起こす主犯はやはりプーファである。
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そして、脂肪組織においては、脂肪新生で細胞内に脂肪がどんどん溜まっていく。さらにリポリシスも引き起こされる。
私たちのシックネスフィールドを作るプーファの問題を一気に引き起こすのも還元ストレスということである。
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■還元ストレスの問題
*フェリチン
フェリチン:フリーの鉄をキレートしてる(結合してる)状態。
これが、還元状態ではフェリチンから鉄が遊離していく。この遊離した鉄はフェントン反応で最終的にプーファと反応する。
なので、フリーの鉄をたくさん作ってしまうという意味でも還元ストレスは非常にまずい。
フェントン反応でたくさんできるハイドロキシラジカルにより、脂質過酸化反応が進む。
なので、鉄のキレート剤である「デスフェリオキサミン」でハイドロキシラジカルによるダメージを軽減すると、病態を止めることができる、ということが昔から報告されてる。
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上記では、「フェリチンというタンパク質に格納されてる鉄がフリーの鉄になる」という話だったが、還元状態でなくてもキレート状態の鉄(=サプリの鉄や鉄剤と呼ばれるもの)でもプーファの脂質過酸化反応は進む。これがミトコンドリア障害を持つ。
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そのようなキレート剤は大腸ガンを増殖、浸潤、転移させる。
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鉄強化食品も非常にまずい。
このようなフリーの鉄をたくさん蓄積させるというのも、一度還元状態になると非常にまずいということ。
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*フェリチンから鉄を遊離させる物質
・スーパーオキサイド
・パラコート
・アルデヒド
・ビタミンC
・キサンチンオキシデース
・尿酸
・アロマテース
など、様々な物質が報告されてるが、基本は還元ストレスが加わると、フェリチンからフリーの鉄が遊離し、これがフェントン反応からプーファの脂質過酸化反応、あるいはバクテリアの餌となりエンドトキシンを産生する大きな原因となる。
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*電子伝達系は鉄、硫黄(sulfur)の複合体があるが、ここからも鉄を遊離させて電子伝達系を狂わせる。
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■低血糖、低酸素、ミトコンドリア機能障害を起こすもの
・細胞内アルカリ性
・電子の渋滞
という還元ストレス。これが全てを表してる。
1:03:31〈映像確認〉
■還元ストレスから酸化ストレス(図示)
これが病態の基本。
1:03:43
■ガン細胞とペントースリン酸経路
ガンはDNAが欲しい。あるいは還元ストレスになるが、抗酸化物質をたくさん備える。
そのためにペントースリン酸経路を利用して、自ら細胞内でたくさんの還元物質を作る。
それがガン細胞の特徴。
1:04:15
■酸化ストレスの根本治療
根本治療は実は「酸化物質」。
というのは、酸化ストレスとは元々還元ストレスから発生してるから。
なので、酸化物質を使い、その根元を止めてしまえば酸化ストレスは起こらないということになる。
1:04:37
酸化したフィッシュオイルに「エモジン」と言われるクワイノン(酸化物質)を投与する。
そうすると、フィッシュオイルによる酸化ストレスを低下させたということがわかってる。
還元ストレスの軽減で酸化ストレスが軽減する。
ということで、なぜ酸化ストレスの根本治療が酸化物質なのか、というところがこの実験からも理解できる。
1:05:10
■低酸素誘導因子(HIF)
低酸素になると、低酸素誘導因子(HIF)というタンパク質が生産されるが、低酸素誘導因子そのものがピルビン酸脱水素酵素をブロックし、還元ストレスを招く。
ところが、他の要因で還元ストレスが起こって活性酸素が増えた場合にも低酸素因子が誘導され、さらに還元ストレスを招くという悪循環を引き起こす。
1:05:44
■細胞内が還元状態、低酸素で起こること
*低酸素因子が誘導されていくと何が起こるのか?
・アロマテース:エストロゲン産生が増える。
・サイクロオキシゲネース(cyclooxygenase)という酵素が増え、プロスタグランジンが増えてくる。
・アンジオテンシン転換酵素(変換酵素)が増え、アルドステロンがたくさんできる。
・脱炭酸水素酵素が活性化され、細胞内CO2が減る。
・グルタミン酸の神経興奮性が高まる。
・グルタミンの異化が始まり、アンモニアが増えてくる。
・グルタチオンの産生も増え、さらに還元状態が増える。
ということで、低酸素因子そのものが増えただけでもこれだけのシックネスパターンを引き起こすということである。
1:06:46
*細胞内が還元状態で起こること
ミトコンドリアのエネルギー代謝が止まり、解糖系、グリコーゲンの合成が促進されるという状態になる。
まさに、これが糖尿病、ガン、他の慢性病のパターンである。
1:07:06
■細胞内が還元状態で起こること(脂肪以外の細胞)
・活性酸素のシグナルをブロックする。
これは、逆に活性酸素をUPし、最終的にアルデヒドを作る。
・ミトコンドリアのエネルギー代謝をブロックし、ATP、CO2の産生を低下させる。
・タンパク質の結合を変え、タンパク質の形を変える(小胞体)。
それにより異常タンパク質を蓄積させてしまう。
1:07:46
■その他、細胞内が還元状態で起こること
・甲状腺ホルモンの減少
ディアイオディネース3(deiodinase3):甲状腺ホルモンT3活性型という活性型甲状腺を分解する酵素を活性化することで、活性型甲状腺ホルモンが減少していく。
・先述のサイクルオキシゲネースが増えて、プロスタグランジンが増える。
・炎症性のエイコサノイドが増える。
・アロマテースが増える。
・一酸化窒素が増える。
つまり、シックネスフィールドを産生するあらゆるシックネスサブスタンスが勢ぞろいしていくということである。
1:08:36
■アルカリ状態で起こること
・脱炭酸酵素の活性化
これでCO2が減っていく。CO2が減っていくと、さらに細胞内がアルカリ性になり、細胞分裂・細胞増殖が起こっていく。
これが普通の細胞に起こったものが「ガン」。
そして、それがリンパ球に起こったものが「関節リウマチ」という自己免疫疾患。
1:09:06(まとめ)
このように、『酸化・還元』と簡単にいうが、私たちの細胞の初期設定がまず「弱酸性」状態であること。
そして、歴史的に生命の発生の頃から私たちは原始地球の酸化状態に適応してきたわけであり、常に還元・アルカリ性というものに対して危険信号を持っていた。
そして、還元ストレスが全ての慢性病のベースにあり、最終的にこれが酸化ストレスになる。
酸化ストレスとは、あくまでもアルデヒドが発生するということになるが、酸化ストレスに変わることで最終的には病態へと発展していく。
1:10:03
この流れをしっかり頭に入れて復習すること。
そうすると、さらに自分の体で起こってること、あるいはどういった物質、ライフスタイルを選択すれば今の状態をより良くすることができるのか、ということの大きなヒントになるはず。
fin
