生化学17ナトリウム・カリウムとエネルギー代謝
エネルギー代謝とミネラル、重金属
ナトリウム・カリウムとエネルギー代謝
●概要
・塩分制限の危険!
・塩分制限とセロトニン、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系
・ナトリウムの効用
・低ナトリウムで精神症状が出る理由
・塩(ナトリウム)が糖のエネルギー代謝をアップさせる機構
・塩分摂取が多いほど、喉の渇きが少なくなる
・塩分摂取が多いほど、お腹が減るのはなぜか?
・塩と糖は同時に摂取する!
・リチウム(Li)の健康効果
・なぜ排卵時、生理前に塩(糖)が欲しくなるのか?
・なぜ塩をなめるとよく眠れるのか?
・塩の抗ガン作用
・甲状腺機能とナトリウム(Na)
・細胞は、ジェル状Gel -like
・PMウォーターとは何か?
・糖のエネルギ―代謝の回っている細胞内はPMウォーター
・低カリウム、高カリウムいずれも細胞内機能変調
・カリウム、リンのサプリがない理由
生化学(17)ナトリウムとカリウム
今回は『ミネラルとエネルギー代謝』の中でナトリウムとカリウムというアルカリ金属である2つのミネラルについて。
今回は特に細胞の中の水の構造を決定するのに重要なミネラル。細胞の水・細胞の膜の話を生化学(16)でし、そのようなものは実際にはないということだったが、それに関連して細胞の中の水は一体どうなってるのかも含め、ミネラルとエネルギー代謝の関係についてを。
0:56
昔から岩塩などの塩はナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム(その他の微量元素が混じってるが)という重要なミネラルがたくさん含まれてる。
なので、金よりも希少価値があったと言われ、金と塩の交換がなされたくらい重要な物質だった。
1:34(前回のおさらい)
ナトリウム、カリウムは周期表の一番左の縦列。そこの水素、ナトリウム、カリウムなど全て最も外側の軌道に電子が一つだけあるというもの。
この電子一つを放出して、自らは水中では陽イオンになる。電子を与えるのでアルカリということだったが、実際は電子を受け入れる力がある。
なので、「ルイスアシッド/ Lewis acid(ルイス酸)」という話を生化学(16)でしたが、実際はナトリウムは電子を放出することもできれば電子を受け取ることもできる。
2:24【ナトリウム】
■ナトリウム
元素の周期表の一番左に位置する。縦列の水素、リチウム、ナトリウム、カリウムという形になってる。
そして、塩化ナトリウムとして海水中に約2.9%、人体には約0.9%。
なので、人体中の塩化ナトリウムの量と濃度は海水中では大きく違う(2%も違う)。
3:00
よく、ダーウィンの進化論で生命体(人間)は元々海で発生し、そこから陸に上がってきて哺乳類となったというような思想がある。
その根拠となってるのが塩が含まれてるということだが、あまりにも海水と塩の濃度が違いすぎる。これを見ただけでも「生命体は海から発生した」というのは嘘だとすぐわかる。
海水を飲めば私たちは塩辛く感じるし、脱水を起こす。このような高濃度の塩化ナトリウム溶液を健康な人が飲んでもあまり良いことはない。
ただ、海水ぐらいの濃い濃度の塩化ナトリウムを摂取したり点滴したりすると、実は慢性病やガンの人にとっては非常に良い効果をもたらす。
それは後述の細胞の中の水に関係してる。
4:31
■塩分制限
“塩分制限”というのはメインストリームの医学でずっと言われ続けてきたこと。
未だに塩が体に悪いということをずっと主張し続けてる。特に塩分をたくさん摂ると高血圧になると言われてきた。
その理屈とは、“塩を摂りすぎると、辛くなって水をたくさん飲む。水をたくさん飲んだことによって血流量が高くなり血圧が上がる”というようなもの。
だけどこれは、私たちの生命体の中で起こってることと全く逆のことを言ってる。
5:35
*では、実際に塩分制限を行うとどうなるか?
塩分制限をすると血管が詰まる。つまり、脳梗塞あるいは心筋梗塞が起こる。そして血圧も高くなる。
これが「ナトリウムパラドックス」と言われるもの。
塩を制限すると逆に血圧は高くなるということ。
6:02
●低ナトリウムの問題
低ナトリウムで「renin-angiotensin-aldosterone system/レニン-アンジオテンシン-アルドステロンシステム」というものが活性化する。
これはどういうことか?
血液中のナトリウムが低下してくると、尿の方でナトリウムを回収(おしっこにナトリウムを出さないようにする)し、ナトリウムを溜め込む方向で働くシステム。
6:32
《このシステムが活性化しすぎることで困ること》
・ナトリウムの代わりにカリウムとマグネシウムという細胞の中でリラックスされた状態では保持されてる重要なアルカリが失われていく。
・ナトリウムがおしっこから回収するために働くアンジオテンシンあるいはアルドステロンというストレスホルモンが血管を硬くしたり(線維化)、炎症を引き起こす物質となる。または、血管を収縮させる血管平滑筋を興奮させて収縮させる。そのために高血圧を引き起こす。
このような「RAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロンシステム)」が常時活性化してるというのはストレス状態にあるということである。
7:48
・さらに、低ナトリウムでセロトニンの合成がUPする。
セロトニンはシックネスサブスタンスの王様と呼ばれるくらい様々な悪影響を及ぼす一つの物質。
・また「plasminogen activator/プラスミノーゲンアクチベーター」という、血栓が出来たとしてもそれを溶かす酵素がある。その酵素をブロックする。つまり、血栓を引き起こす。
8:22
*低ナトリウムで起こることのおさらい
・ナトリウムを尿から再回収するために、カリウムとマグネシウムというリラックスの状態で私たちの細胞の中で保持されてる重要なミネラルが失われる。
・アンジオテンシン、アルドステロンそのものが炎症を引き起こす。あるいは線維化(組織を硬くする)していく。
・血管を収縮させて高血圧を引き起こす。
・セロトニンやプラスミノーゲンアクチベーター阻害物質を出して血管を詰まらせる(セロトニンも線維化と血管を詰まらせる重要な因子)。
9:19
ちなみに、プラスミノーゲンアクチベーターという血栓を溶かす物質をブロックするのはプーファ。プーファでもこれがブロックされていく。
つまり、プーファで血栓傾向が起こるということ。
9:47
塩分制限は血圧に関係なく、心臓血管死のリスクを高めることがすでに数年前に報告されてる。
特にナトリウム濃度が1日に4〜6g以下・・・食塩に換算すると12〜15g/日以下になるとセロトニンやレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系というストレス系(ストレスを受けた時に低下するシステム)がUPして、血栓や線維化が起こったり血圧が高くなったりする。
しかも、カリウム、マグネシウムがどんどん失われていく。
10:40
●病院での塩分制限の量
これは厚生労働省の推奨してる目標値に基づいたもの。
男性:1日9g
女性:1日7.5g未満
●日本高血圧学会による高血圧患者の減塩目標値
これは男女共に上記よりもさらに低い。
男女:1日6g
12g以下でセロトニン、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)が活性化してカリウム、マグネシウムが失われるということがわかってるので、厚生労働省・日本高血圧学会ともに目標とする塩分摂取量ではセロトニンとRAASは常時活性化するということになる。
なので、これはとんでもない推奨値ということ。
11:59
●ナトリウムパラドックス
“塩分制限で細胞内ナトリウムが増加”
塩分制限をするとナトリウムが少なくなるので、尿からナトリウムを回収して血液濃度を上げる。それにより最終的にアルドステロンというステロイドホルモンが放出される。
このアルドステロンは尿から回収したナトリウムを細胞内に入れる。つまり、細胞内は興奮状態になる。
しかも、中のマグネシウムを放出して尿から出すので、細胞内浮腫(細胞にバルクの水が入ってくる)や、細胞が分裂するしかなくなってしまう。もちろん、細胞内がアルカリ(還元状態)という極めて危険な状態に陥る。
13:17
ということなので、ナトリウムが少なくなるほど私たちの体内で非常に危ないことが起こる。
つまり、血圧も高くなるし、炎症も引き起こされる。また、下手をすると最終的にガンになってしまう。
これがナトリウムパラドックス。
13:40
“水を保持するのはポジティブ・ネガティブ(=プラスとマイナスのチャージ)による”
私たちの生命現象は細胞内外のミネラルの出し入れをCO2が担当してる。
だいたいプラスとマイナスの引き合い、あるいはプラスとプラス、マイナスとマイナスの反発によって体内の様々な反応が引き起こされてる。
14:22
ナトリウム:プラスイオン。
アルブミン(肝臓で作られる重要なタンパク質):マイナスチャージ
なので、血液的に電気的に結合してナトリウムとアルブミンでしっかりと水(血液)を保持してる状態(=浸透圧)。
14:50
水分が細胞内組織から血管内へちゃんと移動するのは、血管内にしっかりとアルブミンとナトリウムの結合体があるから。
これが水を引くので細胞が浮腫むことはない。
15:07
なので、塩分制限などで血液中のナトリウムが低下したり、肝機能障害でアルブミンが低下すると水分は細胞内から血管に移行することができなくなり、細胞内あるいは血管の外の間質といった組織に水を貯留してしまう。
これがいわゆる「浮腫み(医学用語:浮腫)」。
なので、塩分制限をすればするほど浮腫む。これも一つのナトリウムパラドックスと言えるかもしれない。
15:52
●抗利尿ホルモン
ストレスが加わった時、あるいは糖のエネルギー代謝や甲状腺機能が低下した場合では脳の脳下垂体から抗利尿ホルモンが過剰分泌される。
抗利尿ホルモンとは:尿を出さないようにするホルモン
このホルモンの具体的な名前は「Vasopressin/バゾプレッシン」、「Oxytocin/オキシトーシン」。これらが尿を出さないようにするストレスホルモン。
これは、ナトリウムを尿から喪失し、体内に水分だけ貯留する働きを持ってる。
つまり、ナトリウムはどんどん失われていき低ナトリウムになっていくが、体内に水だけ残すという作用を持ってる。
なのでどんどん薄まっていく。
16:56
実際に脳の外傷などで抗利尿ホルモンであるバゾプレッシンやオキシトーシンというストレスホルモンが過剰に分泌されるという病態が起こることがある。
この病態は「抗利尿ホルモン過剰分泌症候群(SIADH)」と呼ばれてる。
このホルモンが過剰に分泌されるとどんどん浮腫む。おしっこが出なくなるという状態が起こる。
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*上記の状態に対する治療は?
この抗利尿ホルモン過剰分泌症候群はナトリウムがどんどん尿に流出して、体内に水分だけ貯留するという病態。
なので、治療としては「水分制限」。あるいはナトリウム(食塩)をしっかり摂ること。
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●低ナトリウムと精神症状
低ナトリウムになると様々な精神症状(幻覚、不穏、うつ病など)が出てくる。
これは、何故低ナトリウムで精神症状が出るのか。
低ナトリウムと関係してるのはセロトニン。塩分制限でセロトニンが分泌促進する。
このセロトニンで暴力、不安、抑うつ、学習性無力症というような様々な精神症状が出る。
実際にセロトニンの産生を高めると言われる抗うつ剤(SSRI)があるが、これを投与すると低ナトリウム血症になり、このような精神症状が出てくるということになる。
19:32
●ナトリウムの効用
ナトリウムの効用は多岐に及んでる。
・免疫機能の改善
・一酸化窒素(NO)で起こるような血管のリーク、炎症を抑制する
・糖のエネルギー代謝を高めて、深部体温も上げてくれる:ミトコンドリアの電子伝達系の中で体温を上げるシステム(アンカップリング)をナトリウムはUPさせてくれる
・脂肪の蓄積を防ぐ:ガンにナトリウムは有効
20:24
●リチウムとナトリウム
低ナトリウム血症で躁鬱病になる。
昔から躁鬱病の治療にリチウムが使われてる。
リチウムとナトリウムは性格が非常に似てる。
最外殻に電子が一つあるので、同じアルカリの金属。
なので、低ナトリウムで躁鬱病になった時にナトリウムを血中で回復すればそれで良いが、この時にリチウムを使っても躁鬱病を改善させることは可能。
その他リチウムはナトリウムと同じく抗炎症効果を持ってる。ミトコンドリアにとって非常に良い作用をもたらす。
21:25
■ナトリウムは糖のエネルギー代謝をUPさせる
塩(ナトリウム)が糖のエネルギー代謝をUPさせるメカニズムとして今考えられてるのは、細胞内にナトリウムが流入すると「ナトリウムカリウムATP分解酵素」という酵素が活性化するというもの。
これはATP分解酵素なので、細胞内のATPが減少する。そうすると、細胞は「ATPがなくなった」ということで、また糖から電子を引き抜いてATPを作るという作業を活性化させる。
これが、糖のエネルギー代謝を活性化させる機構。
22:10
この時に二酸化炭素の産生量も同時にUPする。
そうすると、カルシウムの細胞内への流入による悪影響を二酸化炭素が緩和してくれる。
つまり一石二鳥。エネルギー代謝をUPさせて、CO2をたくさん産生させることによりナトリウム、カルシウムを細胞内流入からまた外に汲み出すということを行ってくれるということ。
なので、ナトリウムは糖のエネルギー代謝をUPさせるということになる。
22:52〈映像確認〉
■塩分摂取量が多いことによる効果
そして、実は塩分摂取が多いほど喉の渇きが少ない。
つまり、水分摂取量は低下して、且つ尿量も増加することがはっきり臨床試験で確かめられてる。
これは、健康人に食事以外に余分な塩分量を6g・9g・12gと1日に追加して経過を見た試験。
そして、これが1日12g余分な塩の摂取をしたグループの方が水分摂取量は低下し、喉の渇きも少ない。且つ尿量も増加してる。
つまり、今まで唱えられてきた“塩の摂取量が多いほど水分摂取量が増えて血圧も上がる。また尿量も少なくなる”というのは間違いで、逆だということ。
実際には塩分摂取量が多いほど水分摂取量は低下し、且つ尿の量は増加するということ。
24:05
なので、塩が体重を低下させる効果は体温を上げたり、糖のエネルギー代謝を高めるという中心的な作用があるが、尿量を増加させて余分な水を排出するということも一つの体重減少効果をもたらす原因となってる。
24:29
塩分摂取量が多いほどお腹が減るということがわかってる。
塩分摂取量が増えるほど、尿素回路(肝臓のアンモニアデトックス回路)が活性化する。
この尿素回路は非常にエネルギーを消費する回路である。また、CO2も必要とする。
なので、エネルギーを消費すると低血糖になるということ。それは、どんどん糖のエネルギー代謝で糖が消費されるから。
これによりすごくお腹が減る。
25:21
塩分摂取量が増えるほど、ミトコンドリアのアンカップリングタンパクとして甲状腺ホルモンの分泌が上昇する。
ミトコンドリアのアンカップリングタンパクが活性化するほど深部体温が上がる。また、甲状腺ホルモンが上がるほど、これも同じように低血糖になってくる。
つまり、糖を摂取するということが大事。体温が高くなる&糖を摂取しないと低血糖になってコルチゾールが分泌されるということになる。
26:03
なので、必ず塩と糖は同時に摂取することで完璧になるということである。
ということなので、体を最低限維持するのに何とか塩と糖があればギリギリ回していける。
あとは、タンパク質(これは体内にアミノ酸のプールがないので)。
なので、塩・糖・タンパク質の中でもコラーゲン、あるいは乳製品。これで私たちの体はギリギリ維持できる。
26:52
■リチウム
先述(20:24〜)のリチウム。これはナトリウムと同じ作用のあるもの↓
ミトコンドリアのエネルギー代謝、産生を促し、セロトニンをブロックする作用。
このセロトニンをブロックするというのは、周期表の第一グループである縦列のアルカリ金属はほぼ同じようにセロトニンをブロックする作用を持ってる。
その中でもカリウムやナトリウムよりもリチウムはセロトニンをブロックする作用が強いことがわかってる。
27:27
昔セブンアップという炭酸飲料があったが、1950年まではこのセブンアップにはナトリウムではなくリチウムが使われていた。
今はリチウム電池など工業的なイメージのあるリチウムだが、昔は炭酸飲料に含まれていて代謝を上げる作用を持っていた。
なので、近代から現代にかけて私たちの食べ物はどんどん悪化してるということである。今のセブンアップに含まれてるのはハイフルクトース・コーンシロップ。リチウムやナトリウムは使われなくなってる。
28:19
●リチウムの問題点
ただ、リチウムがナトリウム(塩)のように治療として使われにくい理由がある。
それは、トキシックドーズ(toxic dose)といい、リチウムの場合は少し過剰になると毒性をもたらすから。
なので、リチウムはその点注意して使わなければいけない。適正な量がある。
ナトリウムは少々多くても尿で調整するという私たちの力がある。
ところが、リチウムやまたこれはカリウム(後述56:59〜)も難しい。こういったものは治療領域と毒性領域が非常に狭い。なので、投与量に注意しないといけない。
29:19
■“排卵時、生理前に糖や塩が欲しくなる”というもの
排卵、生理時には唯一「エストロゲン・ドミナンス/estrogen dominance(エストロゲン優勢)」といい、プロゲステロンよりもエストロゲンがかなり高くなる。
この時以外はプロゲステロンがエストロゲンを上回る「プロゲステロン・ドミナンス」にならないとヘルスネスフィールドではない。
しかし、排卵と生理の時にはエストロゲンが急上昇するが、現代女性のほとんどがそれ以外の時でもエストロゲン・ドミナンスというプロゲステロンよりもエストロゲンが非常に高い状態になってる。
30:21
エストロゲンが急上昇するような排卵時と生理時にはエストロゲンは一酸化窒素を誘導し血管をリークさせる。
そうすると、血管から血液が漏れていくので、循環血液量あるいは血漿タンパク質・血漿浸透圧(アルブミンとナトリウムがくっついて水をしっかり保持する)のアルブミンでさえ血管から漏れていく。そうなると、血管内の水がどんどん押し流れていくということになる。
31:11
そうすると、循環する血(液体)の水分量が減ってくるので、これはピンチだということでレニン-アンジオテンシン-アルドステロンシステムが活性化する。
そしてレニン-アンジオテンシン-アルドステロンはナトリウムを再吸収し尿から汲み出して、カリウムとマグネシウムを捨てる作用をする。
なので、ナトリウムがどんどん必要になってくる。それは、血液中の水を保持するためにナトリウムを必要とする。
したがって、“塩が欲しくなる”ということになる。
これが、生理前や排卵時に女性が塩気のあるものを欲しくなる理由である。
なので、エストロゲンの作用が普段はあまり強くないのでそれほど欲しないが、エストロゲンが急上昇するような場面では特に塩気が欲しくなるということになる。
32:36
■不眠にも塩は効果的
どうしても眠れない時・・・
・睡眠薬ではなく、塩と糖を寝る前にしっかり摂る
・日中に日光に当たる
・適度な身体活動をする
ということを勧めてる。
特に塩と糖を寝る前に摂取するようにと伝えてるが、その理由について。
33:13
塩分の減少は、“夜”と同じ効果を持ってる。
つまり、塩の摂取量が少ない状態では体は“夜の状態”と同じになってると勘違いをする。
要するに、昼と夜という覚醒リズムがある。英語では「サーカディアンリズム/circadian rhythm」という。
塩分の減少によりそのリズムが狂ってくる。昼なのに夜だと勘違いしてしまう。
しかも、夜(暗闇)は私たちの体にとって多大なストレスである。
なので、覚醒リズムを狂わせることと塩分の減少そのものが多大なストレスを引き起こす。
これにより夜も眠れなくなる。つまり、覚醒リズムがないということと常時ストレスがかかってる状態で夜を迎えることになる。
34:24
また、塩分の減少は交感神経系を過剰刺激することも一つの問題。
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を活性化させるが、実は交感神経も過剰刺激する。
副交感神経よりは交感神経は安全。安全だけど、過剰刺激するとアドレナリンが出てくる。
アドレナリンが出ると寝汗をかいたり、悪夢を見たりする。これがアドレナリン。アドレナリンは覚醒作用を持ってる。
これにより不眠になる。
なので、塩分の減少が不眠を引き起こす複数のメカニズムがある。
35:17
■塩はガンにも有効
①塩はミトコンドリアのエネルギー代謝を高める。
②ガンは脂肪中毒だが、そのガンのエネルギーの元になる脂肪の合成をブロックする。
この2つだけでも十分塩は抗ガン作用を持ってるが、さらに「オピオイド麻薬拮抗作用」を持ってる。
35:47
*オピオイド
オピオイド:痛みを抑える作用があるもの
例えばアルコール、モルヒネ、ヘロインなど。
だけど、これは深部体温をすごく下げる。
しかも、このオピオイド(モルヒネ系)は特にガンを増大させる作用がある。
36:12
塩がそのアルコール、モルヒネ、ヘロインに対して拮抗作用を持ってる。また、深部体温を上昇させ、ガンの増殖を止める。
36:26
*ナルトレキソン
実際にナトリウムと同じく「ナルトレキソン」という物質がある。
これは、オピオイドをブロックする物質。
昔からこのナルトレキソンがガン、自己免疫疾患、パーキンソン、アルツハイマー病の慢性疾患に非常に有効であるということがわかってる。
36:52
こういう作用物質を使えば安価に治療ができるはず。あるいは塩そのものを用いても良いはず。
このようなことをせず、健康保険行政を破綻させるような高価な抗ガン剤ばかりを開発しては失敗に終わってるというのが現状。
塩やナルトレキソンを使えばガンはかなり縮小していくはずである。
37:33
■甲状腺機能とナトリウム
甲状腺機能とナトリウムは非常に密接な関係がある。
甲状腺機能が低下すると、ナトリウムが尿からどんどん失われていく。
ということで血液中から失われていき、尿中に失われたナトリウムが再吸収できない状態になる。
そして、どんどん低ナトリウム血症になっていく。
このメカニズムの最も大事な点は「CO2」。
CO2がたくさんできることで、腎臓でナトリウムを保持することができる。
つまり、腎臓でエネルギー代謝が低下するとナトリウムがおしっこに失われていくということになる。
なので、現代人はほとんどが甲状腺機能低下なので低ナトリウム血症に傾いてるということである。
38:39
■鮭の遡上
鮭の海、川への遡上でもナトリウムの出し入れにホルモンとミネラルの関係が非常に関与してる。
鮭が川で孵化をして海へ戻っていく。海へ戻った鮭は産卵のためにまた川へ戻ってくる。
その時にナトリウムの出し入れが非常に大事になってくる。
というのは、海水中は2.9%の塩化ナトリウム濃度。つまり濃い塩水。
川は真水なのでほとんど塩分はない。
なので、川で生まれた鮭は海に入っていく時には、体内にナトリウムをしっかり保持しておかないと海水によって水分が全て脱水状態になってしまう。
ということなので、甲状腺ホルモンをしっかり作動させ、ナトリウムを体内に保持する。
39:54
次に、川に遡上する時は逆にナトリウムをこのままたくさん保持したまま真水に入ると水を全部引いて完全に浮腫になってしまう。
そうすると、瞬く間に細胞分裂が起こり死んでしまう。
なので、この時にはナトリウムを喪失しないといけない。
ナトリウムを喪失するのが「プロラクチン」というシックネスホルモンと呼ぶホルモンの一つ。
プロラクチン=乳汁分泌ホルモンとも呼ばれる。
40:35
母乳を出す時にプロラクチンが働いて、乳汁分泌をする(=ミルクを出す)。この時には生理的に働く量のプロラクチンが出る。これは大丈夫。これは生理の時にエストロゲンが上がる、あるいは排卵時にエストロゲンが上がるという時にはこのようなものが使われるということ。
ところが、プロラクチンが常時出てるというのが問題。
プロラクチンはナトリウムを失ってしまう。低ナトリウム血症を起こしストレスを引き起こす物質である。
41:25
ただし、鮭は海から川に戻る時には必要なホルモンになる。
このように川から海、海から川といった塩分濃度が変わる時にこのようなホルモンが作用してナトリウムの出し入れを行なってる。
41:49【カリウム】
■カリウム
周期表で見るとナトリウムの一つ下。カリウムはナトリウムより分子量が大きい。
“カリウムは細胞内タンパク質に結合した状態で偏在”とあるが、ほとんど細胞内にあるミネラルである。
血液中にあまり見られないのが特徴。
また、カリウムは多くの食材に含まれてるため欠乏症になることはあまりない。
そして、リチウムと同じく過剰になると非常に危ない。なので、単独のカリウムのサプリなんてものはないはず。
42:49〈映像確認〉
カリウムについて非常に大事なこと:細胞内の状態
左)興奮状態
右)リラックス状態
43:11〈映像確認〉
●リラックス状態
波の図はタンパク質を表してる。
ここにアミノ基とカルボキシル基がある(これは、アミノ酸の一つの構造)。
カルボキシル基がマイナスチャージ。ここにカリウムのプラスチャージ(1+)が強く結合してる。
つまり、細胞内のタンパク質はアミノ酸にカリウムが結合してるということ。
43:53
そして、タンパク質にATP(ミトコンドリアで産生されたエネルギー)が結合してる。
このATPにさらに結合してるものがマグネシウム(→Mg2+)。こういう構造になってる。
この状態が実はリラックス状態である。
この時にプラス・マイナスの綺麗な層になって水が整列する。
こういったタンパク質(アミノ酸)に電気的に引かれて綺麗にプラス・マイナス・プラス・マイナス・・・と層になって水が整列するという、これを「ポラライズド・マルチレイヤー・ウォーター(PMウォーター)」という。
44:56
●興奮状態
興奮状態になるとATPを失う。
というのは、ストレスに対してそれを適用するためにエネルギーを必要とするから。
そうするとATPが失われる。つまり、ATPがアミノ酸から外れるということ。
そうなると、ATPと結合したマグネシウムも細胞外に出てしまう。
ATPとマグネシウムが外れると、波型のアミノ酸が折り畳まった形になってくる。つまり、アミノ酸が変形する。
これが興奮状態。
45:49
タンパク質が螺旋状に変形してしまう。
そうなると、元々これが引き伸ばされた形で水が整列して細胞内のリラックス状態を作るわけだが、この整列した水の整列がなくなってしまう。
つまり、水の整列がなくなりプラス・マイナスがぐちゃぐちゃになった状態で、細胞内の水が散乱してしまうという状態が起こる。
46:28
まず、リラックス状態はタンパク質と整列した水の結合(ここにはカリウムとマグネシウムも結合してる)の状態。この状態の時の細胞はジェル状になってる。
そして、興奮状態になると水も抜けATPもなくなり、タンパク質が折り畳まった形になる。この状態の時の細胞は非常に硬くなる(ソリッドライク/固形状)。
なので、リラックス状態は柔らかい細胞だけど、これが興奮すると非常に硬くなる。細胞自体が生理化を起こして硬くなる。
47:30
細胞がストレスや過剰興奮を受けると細胞はジェル状から固形状(ソリッドライク)になる。
その時には細胞内からATPが失われる。
ATPが分解されると、「ATPがなくなった」ということでまた糖のエネルギー代謝を進める(この時にAMPカイネースが活性化する)。
ここまでは良いが、この時にグルコースと酸素がしっかりない場合は低血糖が引き起こされる。
48:16
これが追いつかなくなると脂肪、タンパク質を分解してエネルギー源にするシックネスパターンの代謝になっていく。
なので、ストレスが与えられた時や過剰興奮してる時こそ糖をしっかり摂取しないと、リポリシスやプロテオリシスが起こる。
そして、脂肪とタンパク質がエネルギー源として使われ、シックネスフィールド(病気の場)を作る、ということになる。
48:55
●カリウムとナトリウム
カリウムとナトリウムは同じ一価の陽イオン。
アミノ酸のカルボキシル基(COO-)に結合するのは、カリウムはナトリウムより強く結合する。
そのため、いくらナトリウムが入ってきたとしてもカリウムの結合は揺るがない(量が増えてくれば一部は置換される)。
なので、カリウムはなかなか細胞外に出にくい。
ナトリウムよりもカリウムの方が細胞内のアミノ酸(タンパク質)に結合する力が強いということである。
49:41
■PMウォーター
リラックス状態で作られるポラライズド・マルチレイヤー・ウォーターは極性がある。プラス・マイナスが綺麗に整列する。
このような状態をPMウォーターというが、この時は私たちの細胞内に水がバルクで入ってくることはない。
この状態であればプラス・マイナス・プラス・マイナスで水を弾くことができる。
入ってくる水もプラスとマイナスの極性を持ってるので、整列した極性を持った水の電荷と反発し合う。そのためにバルクで細胞内に水が入ってくることはない。
50:34
なので、“細胞膜”というような仮説を持ってきて、“そこに水の通るような穴(アクアポリン)がある。それが、ATPのモーターで働く”というような作り話をしなくても、エネルギーがあれば勝手に水同士が反発して余計な水がバルクで入るということはない。
なので、エネルギー代謝がしっかり回り、リラックスしてる状態であれば私たちの細胞内にバルクの水が入ることはない。また、膜も必要がない。そういう無駄な設計は私たちの生命体では行なっていない。
51:20
●PMウォーターの特徴
プラス・マイナスの極性に綺麗に並んだ細胞内の水はジェル状で安定してる。
安定していて、流動性がない。流動性がないということは水分ではないということ。
51:40
MRI(核磁気共鳴)という検査があるが、ガンをMRIで識別するには何を見てるのか?
これは、検査技師や医師でもわかってなかったと思うが、ガンというのはジェル状ではなく固形状の細胞になってる。
つまり、PMウォーターがないということ。水が綺麗にプラス・マイナスの極性で構成されていない水になる。
そういう時にMRIの波動が変わってくる(=磁場が変わる)。
その水の違いでガンと正常な細胞の違いをMRIは見分けてる。
なので、ガンは細胞の中の水の磁場を見てる。
つまり、「PMウォーターであるか、PMウォーターでないか」。「ジェル状で細胞が安定してるのか、細胞が固まってるか」ということでガンを識別してる機械がMRI。
53:13
PMウォーターは低温でも凍らないという特殊な性質を持ってる。これは液体窒素の-196度でも凍らない。
そして、バルクの水(ちゃんと構造化されてない水)を弾く。
その他、極性を持った水以外の溶質も弾く。
なので、“出し入れをするために細胞膜がある”というような作り話をしなくても、PMウォーターがあるだけで必要なものが入ってきて、他のものは弾くという形になってる。
53:55
さらに、バルクウォーター(構造化されていない(プラス・マイナスの極性が綺麗に整列していない)水)よりも共鳴エネルギーを遠くまで伝達できる。
つまり、波動(情報)を遠くまで伝えることが瞬時にできる。
なので、細胞内のPMウォーター(エネルギー代謝がしっかり周り、ジェル状で極性がしっかりできてる状態)がある状態では、エネルギー伝達、情報伝達が速やかにされるということである。
54:38
●PMウォーターの構造が崩れる時
これは興奮した時。
元々はカリウムと結合しやすい形になってるが、ナトリウム・カルシウムが細胞内にたくさん流入してくることでPMウォーターが結合してるカリウムが一部失われると、PMウォーターの構造はガラガラと崩れバルクウォーターになってしまう。
そうなると、細胞内にバルクウォーターが入ってくる。そして弾くものがなくなってしまう。
つまり、電気的に弾くものがなくなり、バルクウォーターが細胞内に流入することになる。細胞自体はタンパク質がホールディング(螺旋構造)になり硬くなる。
55:43
細胞内カリウム、あるいはATP、CO2が減少することで細胞内のタンパク質の折りたたみが始まる。
そして、PMウォーターがなくなるということで、水や様々な物質を電気的に弾いていたものがなくなる。
で、細胞内にバルクの水、あるいは今まで弾いていた物質の塊が入ってくる。
これにより細胞内の環境がガラッと変わる。細胞内浮腫が起こったり、細胞のアルカリ化(還元状態)が進んでくる。つまり機能と構造が破壊されていく。
これによって細胞は分裂するしかなくなる。=成長がなくなる。
また、血管が収縮し、その結果高血圧になるが、心臓だと心機能低下、腎臓も機能低下する。あるいは、この状態が続くと最終的にはガンを形成するということになる。
56:59
■カリウムの濃度
カリウムの居場所はほとんど細胞内だが、血液中のカリウムが少なくなっても高くなっても細胞内機能が変調することがわかってる。
●高カリウム
細胞内がリラックスしすぎて、逆に収縮できなくなる副作用をもたらす。
そうなると、拡張して収縮するというリズムができなくなる。それにより、私たちの体の隅々まで血液を送ることができなくなる。これが心停止。
57:48
昔、病院でカリウムの製剤を点滴に注射すると心停止を招いた。それで合法的に殺すことができた。安楽死などの時に昔はカリウムを入れてたことがあったらしい。
58:12
●低カリウム
これも問題。低カリウムになると、細胞がリラックスしない状態。つまり、いつも固まった状態。
これがいわゆる拡張型心筋症という硬くなり血液を受け入れることができなくなる病態。心不全になる。
58:34
これらはいずれも高カリウム、低カリウムの状態では筋肉や神経系が動かない。なので、私たちにとっては命に関わる状態になる。
カリウムは元々細胞内にあるミネラル。ちょっとした濃度の変化で細胞の機能が変化する。
なので、カリウムのサプリもないし、カリウムを操作することも非常に危ないということになる。
基本はエネルギー代謝をしっかり回していれば細胞内にカリウムがしっかり保持され、リラックス状態を作り、次の興奮状態になった時にまた収縮してすぐにまたリラックス状態に戻ることができる。
59:33
カリウムを私たちが排出する機構は無い。
塩は過剰に摂取した場合(必要以上のものがある場合)は、腎臓から尿に上手く排出できる。でも、カリウムはなかなか排出することができない。
それは、細胞の中にしっかりと結合してるから。
なので、カリウムをサプリとして与えたりすると、高カリウムになり心臓が停止したりする。
ということなので、カリウムのサプリは無い。
1:00:18【まとめ】
今回は『ナトリウム、カリウム』を中心にエネルギー代謝との関係についてでした。
特にナトリウムはエネルギー代謝を高める作用を持ってるということで、塩分制限がいかに危険であるかということ。
カリウムではPMウォーターを細胞内に作り、細胞をジェル化(柔らかくする)するという重要な作用がある。
そのPMウォーターによりバルクの水や不必要な溶質が電気的に細胞から弾かれ、細胞を守ることができる。
それがあることにより、細胞膜あるいはイオンポンプや○○チャンネルというようなものを細胞に配列して無駄なエネルギーを使うというような仮説が全く必要なく、エネルギー代謝が回ってしっかりカリウムが細胞内に保持されてる状態で起こる、ということを頭に入れてください。
1:01:48
もう一度ナトリウム、カリウムを学び直すだけで生命の本質にかなり近づけるという話でした。
fin
