生化学18カルシム・マグネシウムとエネルギー代謝
エネルギー代謝とミネラル、重金属
カルシウム&マグネシウムとエネルギー代謝
●概要
・リンとエネルギー&遺伝情報
・リン過剰と慢性病
・アンチエイジング・タンパクとリン
・リン濃度高くなると組織の委縮(細胞死)、線維化、ガン
・二酸化炭素(重炭酸:HCO3-)はリン酸の尿の排泄を促進
・過呼吸でリンが高くなると・・・・
・リンを低下させる物質
・牛乳を飲むとなぜ痩せるのか?
・カルシウム・パラドックス
・カルシウム異所性沈着
・血清マグネシウム値と副甲状腺ホルモン
・副甲状腺ホルモン=骨粗鬆症
・副甲状腺を外科的に切除すると糖尿病が治癒する
・副甲状腺ホルモンを低下させる二酸化炭素
・副甲状腺ホルモンを低下させるものと上昇させるもの
・朝のこわばりが起こる理由
・腎臓・尿路結石の原因
・1940年代以降食品中のマグネシウム含有量が激減
・エネルギー代謝酵素で必須のマグネシウム
・食事中のアルミニウムに留意
・マグネシウムはATPの産生・保持に必須
・エネルギー代謝を回さないでマグネシウムだけ摂取するのは無意味!
・エストロゲンとマグネシウムは逆相関関係
・電磁波対策にマグネシウム
・マグネシウムの腸管からの吸収率は40%程度と低い
・ミネラルはお互いに補い合う
・セシウム対策にはカリウムを土壌へ&カリウムリッチな食材
・ストロンチウム90対策にはカルシウムリッチな食材
生化学(18)カルシウムとマグネシウム
今回は『ミネラルとエネルギー代謝』のカルシウムとマグネシウムについてを。
カルシウムについてはリンという元素とも密接に関係してるため、カルシウム、リン、マグネシウムという重要な元素とエネルギー代謝の関係を見ていきます。
0:35【リン】
■リンとカルシウム
《これらがセットになる理由》
リンとカルシウムのバランスによって私たちのあるホルモンが分泌される。それは、リンを下げたりカルシウムを上げたりというバランスを取るためにそのホルモンが放出されてる。
1:07
■リン
リンは海水中にほとんど含まれていない元素で、全ての生命体はリンを利用してる。
1:23〈映像確認〉
エネルギー、遺伝情報(DNA、RNA)は全てリン(P)を含む物質。
下はRNAとAMP。
AMP:ATPから2つリン酸が取れた形
ATP:リン酸が3つ連なってる形
AMPもATPもほとんど構造は同じ。
このように、私たちの体は無駄なく、同じような構造を少し変えてエネルギーとして使ったり、遺伝情報として使用したりする。
2:17〈映像確認〉
左)RNAの構造
右)DNAの構造
赤丸で囲んでるが、いずれもリン酸が構成要素になってる。
2:42
炎症、組織の萎縮、細胞死、線維化というセット。
そして、炎症の終末?(2:50)であるガン、認知症、動脈硬化、老化。
こういったものはリンの過剰で引き起こされる。
3:06
●アンチエイジングタンパク質
「クロッソ/Klotho」と呼ばれるタンパク質の研究が20世紀末に熱心にされた。
これはマウスの実験でわかったことだが、このクロッソと言われるタンパク質がないと早老症と同じ変化(早く老化してしまう)があることがわかった。
このアンチエイジングタンパクの作用を調べると、このタンパク質は腎臓からリンの排泄をUPさせるのが主作用。これによってエネルギー産生や熱産生もUPさせていたということ。
なので、この『リンの排泄』が非常に大切になってくる。
4:06
リンを低濃度でキープしておく。必要以上のものを溜めない。
リンは遺伝子やATPなどエネルギーも含め様々な生体物質の構成元素として利用されてるが、これがたくさんありすぎると逆に老化につながるということである。
4:33〈映像確認〉
●エネルギー代謝とリン濃度
特にエネルギー代謝が低下するとリン濃度が高くなる。
それは何故か?
生化学(17)のカリウム・ナトリウムで「ポラライズド・マルチレイヤー・ウォーター」の話をしたが、リラックス状態が右の状態でATPにマグネシウム(Mg2+)がくっついた状態。
これが過剰な細胞の刺激を受け興奮状態になった時にATPが放出されADPとなり、リン酸が放出される。
つまり、リラックス状態から興奮状態になるほどATPが分解されて1つのリン酸が細胞内から放出される。
そして、ATPと結合したマグネシウムも細胞外に放出される。
なので、過剰な刺激がある(ストレス化にある)程、リン酸の濃度が高くなる。
5:51
*リン濃度が高くなるとエネルギー代謝は低下する
これは、リン酸そのものの存在が細胞外のカルシウム、ナトリウムを細胞内に引き込み(興奮状態で起こる)、そして細胞内にあるマグネシウム、カリウムが細胞外に失われていく、ということになる。
リン濃度が高くなることで、このような細胞の過剰刺激の状態でミネラルの細胞の内外の位置が入れ替わってしまうということが起こる。
6:42
リン濃度が高くなると、実際にミトコンドリアのエネルギー代謝が低下する。そして、ミトコンドリアのエネルギー代謝が低下するとリン濃度も高くなる。
このような悪循環を引き起こしてしまう。
そして、プーファの脂質過酸化(アルデヒド)をたくさん産生するようになる。
炎症反応や線維化が進む。
さらには、「アロマテース」(テストステロンからエストロゲンを作るストレス酵素)。
このような反応が連鎖反応で起こっていき、最終的に組織の萎縮、線維化、ガンまでをも引き起こす。
7:38
●リン酸の調整
過剰なリンが蓄積しないように、私たちは非常にセンシティブにリン酸の濃度をモニターしてる。
そして、モニターして少しでも高ければ尿から排泄する。
この排泄を促進するものはやはり「CO2」。
なので、その二酸化炭素の産生量が下がる・・・つまり糖のエネルギー代謝が低下することでリン酸が蓄積していく。
リン酸が蓄積するとまたエネルギー代謝が低下することになる。
8:25
●過呼吸
過呼吸でリン、副甲状腺ホルモンが上がることがわかってる。
これは、過呼吸ではCO2は飛んでしまう。CO2濃度がどんどん下がっていく。
そうすると、リンが溜まってきて尿で排泄できなくなる。
さらに、リンが上がると副甲状腺ホルモンというストレスホルモンが分泌される。これは、リンの尿からの排泄を進めるためにストレスホルモンが出てくる。
9:07
ところが、副甲状腺ホルモンが出てしまうと、リンを排泄してくれるのは良いことだけど、今度はカルシウムを骨から引き抜いてくる。そして、そのカルシウムを細胞内に入れてしまう。
つまり、興奮状態にさせてしまうという副作用が起こる。
なので、過呼吸では細胞自体はすごくストレス状態に置かれるということになる。
9:37
実際はエネルギー代謝が回ってると、いくらリンが上がっていても副甲状腺ホルモンが分泌されることはない。
何故か?
それは、CO2がたくさんできるから。
CO2ができるとリンが高くなってもそれを尿から排泄することができる。
なので、副甲状腺ホルモンという緊急のストレスホルモンを出す必要はない。
ところが、糖のエネルギー代謝が低下してる人(ほとんどの現代人)、あるいはパニック障害などで過呼吸が起きると、リンが上がった時にCO2がないということになる。それにより副甲状腺ホルモンが慢性的に出ると、甚大な悪影響を及ぼすストレスホルモンが分泌されるということになる。
10:32
●スーパーの肉が何故危険なのか
スーパーの肉はカサ増しするためにリン酸塩に漬けて水分を引き込みボリュームを上げてる。
肉そのものがリンが多い食材ではあるが、さらにリン酸塩に漬け込むことでリンがかなり過剰に食材の中に入り込むことになる。
なので、スーパーの肉を食べるとリン過剰になる。
11:15
●リンの低下に有効な方法
リンをきっちりモニターして低下させる。また、必要以上に溜めないということがすごく大事。
リンを低下させるのに最も有効なものは『糖のエネルギー代謝を高めてCO2を産生する』ということ。
11:37
《それ以外の有効な方法》
・フルクトース:ハチミツの主作用とも言える果糖
果糖は消化管でのリンの吸収を低下する。細胞内のリン濃度を低下させる作用がある。
・ナイアシンアミド:ビタミンB3の動物性食品に含まれるもの
フルクトースと同じ働きをする。
これは「ナイアシン」とは違う。ナイアシンは植物性。
この植物性のものをナイアシンアミドに変換しないことには逆に悪影響が出る。こういったことからも、私たちは動物性の食品が中心にならないといけないということがよくわかる。
・プーファフリー
・フルクトースの入ったスクロース(サクロース)
12:36
以上のものたちがリンを低下させるのに有効だと報告されてる。
なので、私がいつも伝えてる原始人食のアップデート版だが、基本はプーファフリー。その上でフルクトースを含んだ糖質をしっかり摂取することがあらゆる病態を改善する土台となる。
13:10【カルシウム】
■カルシウム
リンとセットで語られるカルシウムについて。
元素の周期表で見るとカルシウムは第二列。マグネシウムの下に位置するアルカリ土類金属。
ちなみにカルシウムの下には放射性物質で取り沙汰されるストロンチウムという元素がある。これらは同じアルカリ土類金属。
13:38
●カルシウムの基本
ミトコンドリアのTCA回路の代謝酵素に必須。
また、細胞内で最初にカルシウムが異常沈着するのがミトコンドリア。そうすると、ミトコンドリアの機能が変性してエネルギー代謝にダメージが起こる。
そうなってしまうと、いくら糖が入ってもミトコンドリアが作用しないので発酵(解糖系)で乳酸が蓄積していく。
14:17
●ミルクを飲むと痩せる
カルシウムリッチのミルクを飲むと痩せるということがわかってる。
これは何故ミルクを飲むことで痩せるのか?
カルシウムはミトコンドリアのアンカップリングプロテイン。いわゆる熱産生をするというタンパク質。
電子伝達系上にあるアンカップリングタンパク質を活性化する。
ということで、ATP産生を熱産生に切り替え、熱でエネルギーをどんどん放出する。
14:57
そして、ミトコンドリアの脂肪合成酵素というもの。これが最終的には細胞質で脂肪合成されるが、その脂肪合成酵素をブロックする。
なので、代謝が上がり、且つ脂肪を蓄積しないということでミルクのダイエット効果が証明されてる。
15:25
しかし、ストレス、炎症、低酸素といった状態にある時。つまり、糖の完全燃焼(エネルギー代謝)がブロックされてるような時。
この時には細胞内のタンパク質がマイナスチャージになってる。
そこでカルシウムやナトリウムが細胞内に流入する、というのが基本。
カルシウムが流入すると、過剰興奮が始まりバルクの水が入ってくる。そして、細胞の正常な機能が失われ、細胞が分裂していく。
16:15
カルシウムがこのように細胞内に入り、速やかにCO2によって細胞外にまた汲み出され、リラックス状態にならない。
そのような状態が連鎖すると、引きつり、こむら返り、痙攣が筋肉に起こる。
これは腹痛もそう。差し込み、生理痛、激しい腹痛なども実は消化管の筋肉のリラックスが保てない状態。つまり、収縮したままの状態が生理痛に繋がってるということ。このように子宮や消化管、筋肉(引きつり、こむら返り、痙攣)で起こる。
また、これが脳で起こると、てんかん発作ということになる。
17:10
これは動脈でも同じ。
動脈でも血管が収縮したままだということで、カルシウムが血管内皮細胞や血管の平滑筋という筋肉の中に入り、そのまま興奮したままだと収縮したままで血圧は上がる。
17:30
さらに、カルシウムの沈着が起こる。
炎症により線維化が起こる最終段階としてカルシウムが沈着してくる。
それにより、動脈がカチカチに硬くなる。それは動脈だけでなく、組織の脳や腎臓であっても硬くなる。
さらには結石。それが一部分解してカケラとなった結石もできる。
18:00
●動脈のカルシウムの量
これは20代と90代の人で比べると、90代の人は約35倍のカルシウム量が沈着してると言われてる。
18:17
●異所性沈着
カルシウムは基本は「歯」と「骨」の2つの組織に沈着するのが正常な形。
それ以外は少量が酵素の補酵素 (保因子)として、ミトコンドリアのエネルギー代謝などに使われる。
ということで、基本はカルシウムが向かうところは歯と骨。
18:51〈映像確認〉
ところが、CTの真ん中の白いところは大動脈だが、この大動脈の周りが白くなってる。
これはカルシウム異所性沈着(カルシウムの石灰化)。
動脈の周りにこのような硬いものが取り巻いてる(異所性沈着)と、動脈が広がらない。
このように、カルシウムが向かうべきところへ向かわないと、動脈や脳、腎臓、肝臓など様々なところにカルシウムが沈着する。これを『異所性の沈着』という。
これは、もちろんミトコンドリアに沈着してしまうと全ての臓器に機能障害が出る。
19:55
●コルチゾール
細胞内へカルシウム流入を高める物質のストレスホルモンとしてはコルチゾール。
“コルチゾールがエネルギー代謝障害を起こす。”
これは、PDH(ピルビン酸脱水素酵素)をブロックする作用もある。
しかし、細胞内にカルシウムの流入をUPさせてミトコンドリアを石灰化させる、ということによってもコルチゾールがエネルギー代謝(特にミトコンドリアのエネルギー代謝)をブロックするという作用を持つ。
20:38
●異所性の沈着をブロックするために
18:51〜の写真のように、動脈を囲むように石が取り巻いてしまうと、いくら動脈を広げようとするような薬や物質を摂取しても、もはや物理的には広がらない。
なので、異所性にカルシウムが沈着するというのは最終的に組織の機能障害をも引き起こすので、異所性の沈着をブロックすることが大事。
(具体的にいうと)骨と歯にカルシウムを持っていくというのが、糖のエネルギー代謝がしっかり回ってる証拠。
なので、骨と歯にカルシウムを持っていく。そして、動脈や心臓といったところにカルシウムを沈着させない。
そのための物質でまず必要なのはビタミンK2。
《歯と骨以外にカルシウムを沈着させないための物質》
・ビタミンK2:動物性の食品から摂れるもの
・カフェイン
・マグネシウム
・甲状腺ホルモン
これらがカルシウムを正常に歯と骨に持っていく物質。
22:06
●ビタミンDと副甲状腺ホルモン
“リンとカルシウムはセットでコントロールされてる”というもの。
この2つの重要な要素は、
・ビタミンD
・副甲状腺ホルモン
副甲状腺ホルモン:甲状腺の横についてる小さな組織
22:26
*ビタミンDと副甲状腺ホルモンがどのような作用をするのか?
・ビタミンD:カルシウムが低下した時にカルシウムとリンの両方を小腸から吸収をUPさせる物質。
・副甲状腺ホルモン:カルシウムは腸から吸収するが、リンは吸収しない。リンを下げる。これは尿からもリンを排泄するホルモン。
23:04
なので、ビタミンDだけ働いた場合はリンが上昇するということになる。
この時にリンを下げようとして副甲状腺ホルモンが出た場合は、カルシウムはUPしてリンは下がっていくが、またカルシウムはUPしていく。そのことにより、どんどん血液内のカルシウム濃度は高くなる。
23:28
*カルシウムが低下した場合
この場合は、ビタミンDも副甲状腺ホルモンも両方が働くことになる。
これでビタミンDはリンの吸収をUPさせるが、副甲状腺ホルモンは尿からリンを出すのでリンの過剰蓄積は相殺される。そして、カルシウムがUPする。
23:52
*リンが過剰になった場合
この時はビタミンDは働かない。
副甲状腺ホルモンだけが働いてリンを下げてカルシウムを上げようとする。
*何故、これだけリンを下げるのか(ビタミンD以外は下げる)
実は、リンはほとんど欠乏しないから。リンは遺伝子にも含まれるくらい生命体にとって全ての構造に必須の元素。
リンが欠乏するのは、生命体を食べない光合成をする植物だけ。
なので、植物にリンやカリウムを与えたりする。
しかし、その植物を食べたり、他の生命体を食べる生命体はリンが欠乏することはない。
ということなので、リンの低下は全く気にすることはない。
だけど、リンの上昇に対してはすごくセンシティブであるということである。
25:05
●副甲状腺ホルモン
非常に重要なホルモン。
《副甲状腺ホルモンが作動する条件》
・カルシウムが低下した時やリンの過剰
また、その他にも
・マグネシウムの低下した時
25:28
*血清マグネシウム値と副甲状腺ホルモン
血液中のマグネシウム濃度が高い→大腿骨近位部骨折のリスクが低く、血清マグネシウム濃度の上昇に比例して骨折をする割合が低くなっていくと報告されてる。
これは何故か?
というと、血清のマグネシウム(血液中のマグネシウム)が低下すると副甲状腺ホルモンが作動する。
▽副甲状腺ホルモンがすること:骨を砕いてカルシウムを骨から血液中に出す。そしてカルシウム濃度を上げる。そういうホルモン。
なので、骨をどんどん砕かれることで骨折のリスクが高くなる。
26:25
ということなので、カルシウムだけでなくマグネシウムが低下しても骨折しやすくなるということ。
26:38
カルシウムの最低必要量は1日2g以上と言われてる。
それは、1日2g以下のカルシウム摂取量では副甲状腺ホルモンがオンになるから。
副甲状腺ホルモンがオンになると骨がどんどん溶かされていくということになる。
リンとカルシウムの比は大体1:1〜2以上。つまり、リンよりもカルシウムが多くないと副甲状腺ホルモンがオンになる。
27:14
*骨を溶かして血液中に出たカルシウムの行き先
副甲状腺ホルモンは骨を溶かして血液中のカルシウム濃度を高める作用を持ってるので、骨粗鬆症の最大の原因だと言われてる。
そして、骨を溶かして血液中に出たカルシウムはどこに行くのか?
カルシウムの本来の沈着場所は歯と骨。
ところが、副甲状腺ホルモンがオンになる状態では異所性の沈着となる。先述の動脈の周囲や脳や心臓や膵臓といった組織。そのような、通常はカルシウムが沈着しないような場所に沈着していく。
もちろん、様々な細胞の中に入っていき、細胞の中のミトコンドリアにカルシウムが沈着していくということになる。
28:14
*カルシウムパラドックス
低カルシウムの食事=乳製品をしっかり摂らない状態では血液中のカルシウム濃度が低い。
それにより副甲状腺ホルモンがオンになる。
そうすると、動脈硬化、腎臓、尿路結石、胆石、変形性関節症ができる。
これを本当の『カルシウムパラドックス』という。
カルシウムを摂取しなければしないほど動脈硬化や結石が出来る、というのがパラドックス。
一般健康常識ではこのような結石や石灰化を防ぐのにカルシウム摂取制限をすると一部言われてる。でも、それは逆効果である。
それをすればするほど副甲状腺ホルモンが骨を砕いて血液中のカルシウムをキープしようとする。
そして、そのカルシウムがまた異所性に沈着し、逆に動脈硬化や結石というカルシウムの異所性沈着を進めるということになる。
29:39
*副甲状腺ホルモンの慢性化の危険性
副甲状腺ホルモンはストレスホルモン。
このような急性ストレスで出るものが慢性化することが非常に危ない。
副甲状腺ホルモンの作用はカルシウムをミトコンドリアに沈着させ、それによりミトコンドリアのエネルギー代謝が低下していく。
そして、乳酸がどんどん溜まっていくということになる。
30:04
また、副甲状腺ホルモンそのものが炎症をオンにしていく。
セロトニン、ヒスタミンといったものの肥満細胞からの遊離。アレルギーに多い。こういったものも副甲状腺ホルモンによってもたらされる。
30:21
そして、リポリシスも引き起こす。
このような急性ストレスホルモンはほとんどが脂肪を分解してくる。
つまり、遊離脂肪酸が血液に浮く状態になるので、これによってもミトコンドリアのエネルギー代謝はブロックされていく。
30:38
そして、血小板・血豆。血液を固めるかさぶたの主要因。
この中にカルシウム沈着をして血栓を作る。
これは、セロトニンも血栓の形成には関与してる。
31:00
*副甲状腺の分泌を低下させるには
副甲状腺を外科的に切除すると糖尿病が治癒することが以前から知られてる。また、その他に高血圧や不眠症といったものも消失することが報告されてる。
これは、副甲状腺をわざわざ外科的に切除しなくても、副甲状腺ホルモンの分泌を抑えることが大事。
この副甲状腺ホルモンの分泌を抑えるのがなんといっても糖のエネルギー代謝。特にCO2。これが副甲状腺ホルモンの本当のアンタゴニスト(副甲状腺ホルモンの作用をブロックする物質)。
31:55
*副甲状腺ホルモンを低下させる最大のもの=CO2。
これは、何故二酸化炭素が低下させるのか?
まず、CO2は細胞の中を弱酸性にするので、細胞内の初期設定状態を作る重要な物質。
そして、ストレスがかかると糖のエネルギー代謝がブロックされ、糖から抜いてきた電子がどんどん細胞内に蓄積して「還元ストレス」という状態が引き起こされる。
この還元ストレスの状態では特にセロトニン、エストロゲン、コルチゾールといったストレスホルモンが上昇することがわかってる。
また、トリプトファンハイドロキシレース、アロマテースといった酵素が還元ストレスでUPする。
33:12
セロトニンやエストロゲンが上がると乳汁分泌ホルモンというプロラクチンが上昇する。
このプロラクチンの作用が副甲状腺ホルモンの作用をUPさせることである。
副甲状腺ホルモンをUPさせることで、骨からカルシウムを流出させる。
このような一連の流れになってる。
つまり、還元ストレスを抑えるCO2が副甲状腺ホルモンの分泌を抑える、ということになる。
33:43
ちなみに、子宮内ではCO2が高濃度だということがわかってる。
そして、赤ちゃんは出生時に副甲状腺ホルモンを測ると、これがゼロである。というのは、高濃度のCO2に晒されるから。
そして、出生時から成長するに従い副甲状腺ホルモンの値が徐々に上がっていくということになる。
34:15
*副甲状腺ホルモンを低下させる食べ物&物質
「カルシウム&マグネシウムリッチで且つリンが低い」という食材が副甲状腺ホルモンの分泌を低下させるもの。
となると、
・ミルクなど乳製品
・フルーツ
・緑色の葉もの
これらがカルシウム&マグネシウムリッチで且つリンが少ないという食材。
34:48
緑の葉ものに関しては、プーファリッチなので私はあまり勧めない。
が、この葉ものからスープなどにしてカルシウムとマグネシウムだけを出すというような食べ方。つまり、スープだけ飲んで葉は食べない。ということであれば、使いようはある。
35:15
また、
・カフェイン
・アスピリン
・ナイアシンアミド
これらも副甲状腺ホルモンを低下させる重要な物質。
35:26
*その他、副甲状腺ホルモンの分泌を抑える重要なもの
副甲状腺ホルモンと逆の作用をするのが「ビタミンK」。
特に「ビタミンK2」が大事。
これは、動脈ではなく骨と歯にカルシウムを沈着させるのがビタミンK。
なので、ビタミンDでいくらカルシウムやリンの吸収をUPさせたとしても、ビタミンKがないと骨にカルシウムやリンが沈着しないということになる。
そして、やはり私たちの体に働くビタミンK2が含まれる食べ物というと、乳製品や卵になる。
36:17
*副甲状腺ホルモンを上昇させるもの
これは、リンの含有量が多いもの。
となると、
・穀物
・豆類
・魚
・肉
これらは副甲状腺ホルモンを上昇させる。
さらに、エストロゲン、セロトニン、プロラクチン、コルチゾールといったものもUPさせると副甲状腺ホルモンは上昇する。
36:47
●その他に注意しないといけないもの
・タンパク質:ファスティングなどをすると低タンパク質になる。そうなると、副甲状腺ホルモンが上昇して骨粗鬆症、動脈硬化になることがわかってる。
これは、酸の中和のためにミネラルが使われる。ミネラルがない場合にタンパク質からアンモニウムイオンが使われる。ところが、低タンパク質ではそもそもアンモニウムイオンができないので、いよいよ骨からタンパク質を導入して酸を中和しようとする。これが「骨粗鬆症」。
37:34
●動物性のタンパク質が骨粗鬆症を防ぐ
これもすでに報告されてる。
いつも、私がする「原始人食」の話で、「筋肉部位」をたくさん食べると勘違いしてる人が多い。
むしろ、コラーゲンだけで良い。
例えば、動物の血液、皮膚、骨髄、腱。
これらはビタミンADEKと呼ばれる脂溶性のビタミン。
特に、カルシウムの関係でいうとビタミンDとKが大事ということだが、それが含まれてる。且つ、カルシウムも入ってる。
そして、ゲラチン(gelatin)。コラーゲンのゲラチンの中に含まれるグリシンが炎症を抑える。
38:40
このようなコラーゲン性のタンパク質である、間質や皮膚に含まれるタンパク質の方が筋肉よりもむしろ良い効果をもたらす。
39:00
●関節の朝のこわばり
リウマチ、変形性関節症など関節に炎症のある人。
あるいは、普段そういうのがなくてもストレスが重なる状態で指や肩、首などの関節が痛くなる場合。
このような人は特に朝の方がこわばりを感じる。朝の方が関節が動かない。それがだんだん日中になるに従い、だんだん関節が動きやすくなるという現象がユニバーサルに認められる。
39:40
この、「モーニング・スティッフネス(朝のこわばり)」が起こるのは何故?
副甲状腺ホルモンとプロラクチン(副甲状腺ホルモンを分泌させるストレスホルモン)はコルチゾール、アドレナリン、セロトニン、エストロゲンと同じように夜間に分泌量が増える。
そうすると、こういったホルモンは骨を溶かしカルシウムの血液濃度を上げるという作用をするので、骨が溶かされ、溶かされた部分が「骨棘(こっきょく)」という棘のようになってしまう。つまり、変形してしまう。
あるいは、溶かされた骨が、しっかりと骨の基質に沈着せずに関節や変なところに沈着する。そして、滑膜炎が起こる。
これが夜間に形成されやすい。なので、朝起きた時に関節の動きが悪くなるということが起こる。
40:48
つまり、「モーニング・スティッフネス/morning stiffness」という関節リウマチに特有の「朝のこわばり現象」が出るということ。
これも、副甲状腺ホルモン、あるいはプロラクチンというストレスホルモンに関係してる。
41:07
●腎臓尿路結石は何故できるか
これは、最新の医学研究を見てもほとんど明らかにされてない。
メカニズムはそこそこ書いてる論文はあるが、何故それができるのかということを書いてる研究は全くない。教科書には原因不明と記載されてる。
41:37
腎臓結石:腎臓にカルシウムが異所性に沈着すること
尿路結石:腎臓結石が尿に排出されたり、他の組織の異所性の石灰化の物質が尿に排出された、というものを総称して「尿路結石」という
41:59
これは、ズバリ副甲状腺ホルモン過剰分泌による異所性石灰化の結果が「腎臓尿路結石」である。
糖のエネルギー代謝、つまりCO2産生量の低下によってリンが蓄積してくるが、その他副甲状腺ホルモンが糖のエネルギー代謝の低下によって過剰分泌されることで骨が砕かれ異所性にカルシウムが沈着する。
42:32
そして、2つ目はカルシウムパラドックス。
乳製品などのカルシウム摂取量の慢性的な低下により副甲状腺ホルモンがオンになる。
さらに、悪性腫瘍。
ガンの細胞から副甲状腺ホルモン関連蛋白の産生。
これは、副甲状腺ホルモンと同じ作用を持つ物質を分泌するガン細胞が出てくる。
このような腫瘍では常時、副甲状腺ホルモン作用を持つ物質を放出する。これにより異所性の石灰化が進み、腎臓結石または尿路結石が進行する。
43:26
カルシウムの濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンがスイッチオンになるが、このカルシウム濃度が低下したとしても例えば糖のエネルギー代謝が回っていれば全く問題ない。
副甲状腺ホルモンは出動しない。
43:47
そして、ビタミンDとK。
これは、ナイアシンアミドあるいはビタミンAと競合して、カルシウム濃度を一定に保つことが可能。
もちろん、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムはしっかり摂取するとカルシウムの血液濃度がキープできて、副甲状腺ホルモンの出番はなくなる。
44:19
■復習
糖のエネルギー代謝が低下してる人にビタミンDを投与する。
この治療はどうか?
ビタミンDはカルシウムとリンの吸収をUPさせる作用がある。
そして、カルシウムの流入がUPしたとしても、糖のエネルギー代謝が回っていないと歯と骨にカルシウムを持っていけない。それはCO2ができてないから。
CO2があって初めてカルシウムカーボネート(炭酸カルシウム)という形で骨のコラーゲンにカルシウムを沈着させ、その後にハイドロキシアパタイトになる。
なので、糖のエネルギー代謝の低下でCO2ができない状態では骨と歯にカルシウムが沈着せず、異所性に沈着するということになる。
45:35
ということなので、ビタミンDだけを投与するという治療・・・特に日本ではエネルギー代謝のことを深く理解してない医師がたくさんいてビタミンDだけを出したりするが、ビタミンDを出す条件としては必ず糖のエネルギー代謝が回ってることが大前提。
なので、糖のエネルギー代謝が回ってない人にビタミンDを処方してはいけない。
どうしてもビタミンDを処方したい場合は、必ずビタミンK2を一緒に投与する。つまり、ビタミンKとDをセットにしないといけない。
ビタミンK2は歯と骨にカルシウムを持っていく役割をしてるから。
これももちろんCO2を増やす糖のエネルギー代謝を回してることが大前提。
46:38【マグネシウム】
■マグネシウムは現代人が最も欠乏してるミネラル
不眠、痙攣、筋肉の痛み、過酸化脂質の形成、不整脈、動脈硬化、血管?(46:51)。
また精神症状で、うつ病、幻覚、焦燥感、疲労まで引き起こす。
という、現代人が最も欠乏してるミネラルが『マグネシウム』。
マグネシウムはアルカリ土類金属。
周期表で見るとカルシウムの一つ上。
47:16
マグネシウムはストレス反応。
・HPA系と言われるACTH・コルチゾール。
・さらには、RAAS系(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)。
この両方のストレス反応を抑えるミラクルなミネラルと言える。
47:40
*現代食のマグネシウム含有量
残念ながら、現代食におけるマグネシウム含有量は激減してる。
1986年、2007年のイギリスでの報告だが、牛肉・ベーコン・鶏肉・チーズ・牛乳・野菜の全てマグネシウム量が低下していってる。
小麦・白米・でんぷん質・砂糖といったものは、マグネシウム量が半分くらいになってる。
48:19
作物は化学肥料が非常に影響してる。
化学肥料にはリン酸カリウムが必ず入ってる。これは、植物が土壌からマグネシウムを吸収する作用をブロックする。
リン酸カルシウムばかり植物に吸収され、マグネシウムは植物から吸収されないということになる。
これにより、マグネシウム濃度が低い作物ができる。
それを食べた草食動物ももちろんマグネシウムが低下するので、牛乳や乳製品までもマグネシウム濃度がだんだん低下するという悪循環になってるということ。
49:11
マグネシウムのほとんどは骨と筋肉に存在してる。
カリウムと同じように、その中でも細胞内に存在してる。
なので、“血液中のマグネシウムどうのこうのー”というのは実はあまり意味がない。
本当は細胞内をしっかり見ないといけないが、現代の検査方法ではそれを知る余地はない。
49:40
そして、血液中のマグネシウムのある一定の値を維持するためには、骨・筋肉・内臓の細胞からマグネシウムが放出される。←これはカルシウムと全く同じ。
49:54
それなのに、実際は細胞内がマグネシウム欠乏症になってるという状態。
これは血液を測ると、血液検査では正常。それは、骨や筋肉のマグネシウムが放出され、血液中の濃度を保ってるから。
だけど、実際は細胞内のマグネシウムは著しく欠乏してる。
50:23
また、加工食品は非常にまずい。
食品加工の過程でマグネシウムは最も失われやすいミネラル。
50:34
マグネシウムの1日の摂取推奨量は約300〜420mg/日。
実際は慢性病を防ぐ、健康をキープするためには上記の倍くらいが必要になってくる。
51:01
これは、日本のデータでも、15〜49歳の若い人口でマグネシウムが1日の推奨量を下回ってる状況が続いてる。
51:16
*マグネシウムの重要性
これは、たくさんの酵素が作用するために必要とされる保因子だから。
特に重要な酵素は「ピルビン酸脱水素酵素」。これは、解糖系からミトコンドリアのエネルギー生産の関門になってる重要な酵素。
そして、電子伝達系でATPを合成するのが、「ATP合成酵素」。これもマグネシウムが必要。
さらには、血液中のATP運搬もマグネシウムが担ってる。
そして、細胞内のATPをを保持してるのもマグネシウムなのである。
52:10
さらに、マグネシウムはシグナル伝達でも重要な働きをしてる。
例えばGABA、NMDA(これらは逆の作用をするもの)、HPA系(ストレス系/視床下部・脳下垂体・副腎系)。
このようなところでマグネシウムがないと、正常にこれが働かない。
《これらの働き》
GABA:脳の過剰興奮を抑える
NMDA:脳を興奮させる
HPA系:急性ストレスに対してストレスを抑える
これら全てにもマグネシウムが必要ということ。
52:50
また、カルシウムチャンネル(こういうものはないとは思ってるが)
などのチャンネル、Na-K,ATPase(ナトリウム・カルシウムに関係するATPを分解する酵素)といったものにもマグネシウムは使われる。
53:07
マグネシウム欠乏で細胞内カリウムが失われ、細胞内にカルシウムとナトリウムが流入してくる。
つまり、興奮とリラックスが入れ替わるというミネラルの入れ替わり。
これにより、動脈だけでなく静脈も収縮してくる。=静脈さえ硬くなってくる。
そして、糖尿病も引き起こされてくる。
53:37
カルシウム、リン、ビタミンDの過剰摂取はマグネシウムの欠乏を引き起こす。
ビタミンDとは:カルシウムとリンを小腸から入れるもの。
しかし、カルシウムとリンがありすぎると、逆にカルシウムが細胞内に入ることでマグネシウムが細胞内から失われていく(エネルギー代謝が回ってない場合は特に)。
54:11
さらに、マグネシウムとカルシウムは小腸・大腸での吸収の段階で競合する。
まず、食品から吸収される時に競合してしまう。つまり、カルシウムが多すぎるとマグネシウムが入れない。逆にマグネシウムが多すぎるとカルシウムが入れない。
これは実は細胞内でもそう。カルシウムとマグネシウムが入るところでは細胞の外から中に入る時にカルシウム・マグネシウムは競合する。
それは、周期表で同じアルカリ土類金属だから。同じような性質を持ってるということ。
54:51
*カルシウムとマグネシウムの割合
カルシウム:マグネシウムは2:1が理想と言われてる。
これが、現代ではカルシウムとマグネシウムの比率が5:1。
また、リンとマグネシウムの比率は7:1というような状況になってる。
なので、現代人はマグネシウムがかなり欠乏してることがわかる。
55:20
*食事中のアルミに注意が必要
アルミニウムはマグネシウムの腸からの吸収を5倍も低下させる物質。
なので、アルミの鍋などの調理器具や消臭剤、またベーキングパウダーのアルミが含まれてるもの(ホットケーキミックスとか)で作ったお菓子類がマグネシウムの腸からの吸収を低下させる。
実際に、アルミの工場近くで暮らしてる人はマグネシウム値(赤血球を測る)が低いということが報告されてる。
なので、食事中のアルミニウムにも留意しないといけない。
56:27
*甲状腺機能低下症とマグネシウム欠乏症
甲状腺機能低下症とマグネシウム欠乏症は非常によく似てる。
何故、甲状腺機能低下症はマグネシウム欠乏になるのか。
ATPはマグネシウムがないと細胞内にしっかり保持されない。
しかも、マグネシウムがあることでATP産生に関わる重要な酵素が動く。
なので、マグネシウムはATP産生の保持両方に必須のもので、ほぼATPと同等というくらいの作用を持ってる。
57:16
もっと詳しくいうと・・・エネルギー代謝とマグネシウムは共役といい、両方がセットで初めて動くというもの。
甲状腺ホルモンがしっかり回ってると、ATP産生が上がる。
そうすると、細胞内ATPとマグネシウムはしっかり結合し、細胞内の構造を安定させる。
ポラライズド・マルチレイヤー・ウォーター(プラス・マイナスのしっかり構造化した水)が細胞内に維持できる。これが、細胞膜がなくても細胞内に必要なものしか入れないようになってる状況。
58:01
そして、細胞内にマグネシウムがしっかり結合し保持してるとカルシウムが入ることはない。
というのは、マグネシウムとカルシウムは競合するから。
これが、自然のカルシウムブロッカー。
高血圧を治療する降圧剤で「カルシウムブロッカー」というものが出されるが、そのように副作用が伴うような薬品を飲まなくてもマグネシウムがあればカルシウムの流入をブロックする作用で血管を広げることができる。
58:35
ということなので、エネルギー代謝が低下するとATPもできないということで、マグネシウムが失われていくということになる。
58:46
“エネルギー代謝を回さないで、マグネシウムだけを摂取する”
これも、よくマグネシウムが重要だということを聞けば、サプリでマグネシウムを摂る人がいる。
甲状腺機能低下(糖のエネルギー代謝が回ってない)の状況、CO2の産生量が低下した状態では、ATPとマグネシウムが結合しないことによりマグネシウムがもし細胞内に入ってきたとしても失われていく。
なので、マグネシウムが細胞内で重要な働きをすることができなくなる。
ということになるので、やはり糖のエネルギー代謝をしっかり回すということが前提でマグネシウムを摂取しないといけない。
59:40
マグネシウムは細胞内でしっかりATPと結合することで、カリウムと同じく細胞の中の水の構造を安定させる重要な物質。
59:54
また、DNAとも非常に関係してる。
細胞内のカリウム、マグネシウムがしっかり細胞内の特にDNAを修復する酵素、あるいはDNAを合成する酵素の触媒となる。
ということで、遺伝子を安定させる。
遺伝子は私たちの情報の役割を担ってるが、その遺伝子を安定させるにもマグネシウムが非常に重要。
1:00:34
そして、TCAサイクルやPDHなど重要な酵素や、また電子伝達系のサイトクロムオキシデーズもマグネシウムが必要。
このようなエネルギー代謝に関する酵素を含め、マグネシウムは300以上の酵素を媒介する重要なミネラルになる。
1:01:01
エストロゲンとマグネシウムは逆相関してる。
エストロゲン:ストレス反応をオンにする
マグネシウム:逆にストレス反応をオフにする
マグネシウムによってACTH(HPA系の脳下垂体から放出されるストレスホルモン)や、副腎によって産生されるコルチゾールを低下させる。
さらに、エストロゲンが細胞内に入ってくると、エネルギーが低下し還元ストレスになり、マグネシウムがATPから外れて失われていく。
1:01:50
逆にアンドロゲン(保護ホルモンと呼んでる)。
これは、マグネシウムがアンドロゲンの濃度を高める。
1:02:06
*電磁波対策
電磁波が活性化して最終的に一酸化窒素、セロトニンを生命場にばらまくことが電磁波の問題だった。
なので、カルシウムの流入をブロックするという意味でもマグネシウムは非常に有効なミネラルになる。
自然のカルシウムブロッカーである。
1:02:31
■マグネシウムの問題
問題はマグネシウムの腸管からの吸収が非常に低いこと。吸収率が40%と半分以下にも関わらず、しかもそこから吸収されて血液中に入ったとしても細胞内に入るのはその内の10%ということになるため、非常に吸収が難しいミネラルと言える。
なので、現代社会では特に食品のマグネシウムの含有量も激減してるし、しかもマグネシウムの吸収は腸管からは非常に難しいということがわかってるので、やはり経皮(皮膚)からマグネシウムを吸収するのがこの現代社会では最も理想的になる。
1:03:19
ということなので、エプソムソルトというマグネシウムを含んだお風呂に入る。
あるいは、経皮型のマグネシウムを皮膚に付けるというのもマグネシウムの吸収では最も理想的ということになる。
1:03:36
マグネシウムとカルシウムは周期表で同じ縦列でアルカリ土類金属に分類される。そのため、カルシウムとマグネシウムが拮抗してカルシウムの細胞内組織沈着を防ぐことがマグネシウムで可能になる。
1:03:59
ミネラルは互いに補う性格を持ってる。
“こむら返りがカルシウム、マグネシウム”・・・
こむら返りはカルシウムの過剰流入であったり、マグネシウム欠乏で筋肉の痙攣が起こる。
これを、例えばベーキングソーダ(CO2が含まれてる)、あるいはソルティウォーター(ナトリウム)、カルシウム、カリウムといったものでもマグネシウム欠乏を補うことができる。
1:04:35
これは、副甲状腺を切除して血液中のカルシウムが低下したとしても、マグネシウム、カリウム、ナトリウムをしっかり摂取すればある程度カルシウムの作用を代用することは可能になる。
1:04:56
実際に臨床の現場で高カリウム血症(カリウムの血液中の濃度が高くなりすぎる)の場合には、心停止が起こる。
この時にもカルシウム、ナトリウム、マグネシウム投与により、高カリウムによって起こる症状を軽減することが可能になる。
1:05:27
特に、甲状腺機能が回ってない(=糖のエネルギー代謝が低い)人はマグネシウムを細胞内にしっかり保持することができない。
つまり、マグネシウムがどんどん失われていく。
なので、やはりマグネシウムを細胞内にしっかり保持するためにも、あるいは酵素の保因子として酵素を活性化するという重要な働きを担うためにも糖のエネルギー代謝を回すことが先決。
そして、すぐに糖のエネルギー代謝が回らないという状態でもマグネシウムの代用として他の3つのアルカリのミネラルがある程度代用してくれるので、それが入ったミルクやフルーツをしっかり摂取すると良い。
そうすると、ある程度マグネシウムの代用が可能になる。
1:06:28〈映像確認〉
2ℓのミルク、あるいは1ℓのオレンジジュースの中に入ってる4つのミネラルがある。
・カルシウム:2.5g
・マグネシウム:330mg
・カリウム:5g
・ナトリウム:900mg
ということで、ミルクやフルーツはミネラルの宝庫である。
1:06:53
■自然の浄化作用
特に今は福島の問題により土壌の放射能汚染が日本では深刻化してる。
植物を調べると根より葉の方がストロンチウムが多い。
カルシウムとストロンチウムの比を見ると、ストロンチウムの値は根が多くなる。そして、葉っぱの方がストロンチウムの値が低い。
また、さらに、牛乳はこのような植物や野菜よりもストロンチウム、カルシウム比が低い。つまり、ストロンチウムが低くてカルシウムが高くなる。
それは、放射能というのは植物の根の部分が一番高く、その次が葉。そして、それをデトックスする牛乳が一番放射線汚染が低い。
1:08:01
カルシウムとストロンチウムは周期表で同じ第二列。アルカリ土類金属。
そして周期表でカリウムの下にセシウムがある。
なので、セシウム対策にはカリウムリッチな食材を。すると、カリウムとセシウムが競合する。
そして、カルシウムにはストロンチウムが競合する。なので、ストロンチウム対策にはカルシウムリッチな食材を摂る。
それを食べることである程度放射能の吸収や細胞内の蓄積を防ぐことが可能になる。
1:08:37
■植物、農作物のセシウム対策
土壌からセシウムを吸収しないために、むしろカリウムを土壌に入れた方が良い。
そうすると、セシウムとカリウムが競合してカリウムを土壌に吸い込み、セシウムを吸い込まないということになる。
1:09:02
ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムのいずれも甲状腺機能、糖のエネルギー代謝が回ってることが大前提になる。
これがミネラルのバランスを決定する。
逆に糖のエネルギー代謝さえ回っていれば、取り立ててミネラルのバランスを気にする必要はないということである。
あとは、ミルクやフルーツをしっかり摂取してるとミネラルバランスを気にする必要は全くない。
1:09:50
【まとめ】
糖のエネルギー代謝で生産されるミラクル物質であるCO2が、ミネラルのバランスでは最も重要な物質である。
その他としては、保護ホルモンもミネラルバランスを整える。
逆にコルチゾールやエストロゲンなどのホルモンはミネラルバランスを崩すシックネスホルモンである。
1:10:30
今回は細胞内の水の構造、細胞膜は必要ではないという重要な話もしました。
これは他の三大栄養素、ビタミン、遺伝子など全ての領域に関する重要な内容となってる。
fin
