生化学(37)コルチゾール
生化学(37)コルチゾール
今回は、『エネルギー代謝とホルモン』の「コルチゾール」について。
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ケニアで30年間、ヒヒのフィールドワークをしたスポルスキー教授の実験で興味深いことがわかった。
これは、ヒエラルキー下位のヒヒほどコルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンが高いという結果がわかった。
それにより下位のヒヒには高血圧、傷の治癒遅延、生殖能力の低下などの健康状態の低下が認められた。
しかし、それより興味深かったのは、最もストレスホルモンが高値なのがヒエラルキーにさえ入っていない孤独ヒヒだったという現実。
このように、特に霊長類は“孤独”が最も強いストレスになる。これが、人間の疫学的調査でもはっきりしてる。
つまり、“孤独”によりコルチゾール、アドレナリン、セロトニンなどのストレスホルモンが上昇するということである。
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猿の血管の断面図がある(図示)
左)下位の猿
右)上位の猿
これによると、下位の猿の血管の内腔が狭まってる。その周囲に血栓、動脈硬化のサインが出てるという図。
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そして、上記のスポルスキー教授の著書が『何故シマウマは胃潰瘍にならないか』というもの。
“魚・鳥・爬虫類・シマウマなど急性のストレス反応は起こるが、そのストレス反応は一過性ですぐ無くなってしまう”と言われてる。
ところが、それが霊長類・象・クジラになると急性ストレスから動脈硬化が起こるまでストレスを抱えるという、いわゆる「慢性ストレス」状態。それを抱え込むようになるというもの。
その差が霊長類には胃潰瘍が起き、シマウマ・鳥・魚・爬虫類といった生命体には胃潰瘍がないというもの。これがこの本の趣旨。
これが本当かどうかは私も詳しくはわからないが、霊長類・象・クジラも人間と同じく胃潰瘍が起こるほどストレスを抱える動物であるということは間違いないようである。
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「ホワイト・ホール・スタディ」というイギリスの有名な疫学的調査がある。
これは、イギリスの公務員を対象とし、彼らの社会的地位&経済的地位を合わせた「社会経済的地位」と心臓血管疾患の関係を調査した研究。
その結果、社会経済的地位が低いほど死亡率(中でも特に心臓血管疾患)が高いということがこの疫学的調査で分かった。
つまり、役所に勤めてる管理職の人よりも最下層の地位の雑用係やトイレ掃除、またはドアマンをしてる公務員たちの方が死亡率(心臓血管疾患)が高いという結果が出たということ。
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では、その社会経済的地位が低い人たちに何が起こってるのか?
それは、血液中のコルチゾールの濃度が高い。つまり、慢性ストレスをずっと抱え込んでるということが示されてる。
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上記についてのグラフの図示。
【左図】
横軸)調査年月
縦軸)死亡率
管理職やプロフェッショナルの仕事、あるいはクラークの仕事よりも、それ以外のドアマンや清掃係の人の死亡率が優位に高くなるという結果が出てる。
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■感情・情動ストレスと全身疾患
感情と情動のストレスは実際にコルチゾールを血液中に高めることにより糖尿病を引き起こすことがすでにわかってる。
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■コルチゾールとは
コルチゾールとは視床下部・下垂体・副腎系(HPA系)と言われるストレス対応をするシステムの最終産物として、特に副腎の皮質から放出されるステロイドホルモン。
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*急性ストレス
急性のストレスでは私たちはそれに対応し、アドレナリンが出て頭が冴え渡る。
困難に力強く立ち向かう必要があり、場合によっては「火事場の馬鹿力」と言われるように燃え盛る火事の中にも入っていける、痛みを感じないといった急性ストレス対応はエネルギー代謝が十分にあれば可能。
その時にもアドレナリンだけでなくコルチゾール(急性ストレス反応物質)が出てる。
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ストレッサーというのは、一般的なストレスを引き起こすもの。
例えば現代社会では、
・低血糖:これは糖質制限やケトン食、ファスティングといった極端な食事法をすることによるストレス。
・プーファ過剰
・エストロゲン:特に日本人は大豆製品に気をつけなければいけない。
こういったものが全てストレスを引き起こす物質として、私たちの体内では認識されてる。
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具体的にストレッサーが働いてる場所としては→脳の視床下部に作用し、そこから脳下垂体に指令がいく。そして、脳下垂体からACTHというホルモンが出る。
ACTHとは、「副腎皮質刺激ホルモン」。つまり、副腎の皮質(外の皮の部分)を刺激することで、皮質にあるホルモン産生細胞を刺激する。その一部がコルチゾールという部分。
このコルチゾールが胃に働けば胃潰瘍を起こし、胸腺に働けば免疫異常・免疫抑制を引き起こす大きな原因となる。
ただし、これは急性ストレス反応物質であり、短期的にこのように免疫を止めるということは決して害ではない。
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上記を詳しい図にしたものがある。
ストレッサーがかかり、脳の視床下部からまずCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が出ることで、脳下垂体の前葉にCRHが働いてACTH(副腎皮質刺激ホルモン)という副腎皮質を刺激するホルモンを放出させる。
すると、ACTHは腎臓の上にある副腎(そら豆のような見た目の小さな器官)の皮の部分に働き、コルチゾールあるいはアルドステロンというストレスホルモンを放出させる。
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ちなみに、副腎の皮の部分の中を「髄質」というが、この副腎髄質は副腎皮質刺激ホルモンでは刺激されない。
副腎髄質には、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンといったホルモン(神経伝達物質)を産生する細胞が存在してる。
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このように、視床下部・下垂体・副腎系(HPA系)は急性ストレスには実は適応的。火事場の馬鹿力を出す。
問題は慢性のストレス。
急性ストレスではコルチゾール(HPA系)は何を行うのか?
それは、サバイバルのために資源をシフトする。体の資源である糖質、酸素、ミネラルといったものを再分布する。これは、脳、心臓、肺という非常に重要な器官、そして大きな筋肉群にこの資源を振り分ける作用がある。
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では、それをするためにどこが犠牲になるのか?
→それは、消化管(胃や十二指腸)、生殖器、四肢末端、胸腺。
したがって、急性ストレスでは資源シフトが起こり、生存のために非常に有用な働きをするが、慢性的にこの状態がダラダラと続くとやがて以下が起こる。
・消化管がやられ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる。
・生殖器がやられ、不妊になる。
・四肢末端がやられ、最終的に免疫系もやられることで、自己免疫疾患やガンが引き起こされる。
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*コルチゾールの抗炎症作用
コルチゾールは強力な抗炎症作用を持ち合わせてることは、現代医学・医師でも知ってる事実。
これが働くのは、まず「ホスホライペースA2/phospholipase A2」という重要なストレス酵素(崎谷先生が呼んでる/『病はリポリシスから』という本に詳しく述べてる)。
このホスホライペースA2は細胞内のリン脂質に含まれてるプーファをフリーにし、細胞内に出してしまう。特にアラキドン酸(オメガ6系)を放出させ、このアラキドン酸が酵素で代謝され炎症性物質に変わるというもの。
コルチゾールは炎症のその上の段階のこのホスホライペースA2そのものをブロックする。
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一般的によく知られてる消炎鎮痛剤。これは、アラキドン酸より下の部分のプロスタグランジン、リュウコトライエン(leukotriene)といった炎症を引き起こす物質(サイトカイン、エイコサノイド)をブロックする非ステロイド性の抗炎症薬(「NSAIDs」と呼ばれる)。
コルチゾールは、それのまだ上の段階でブロックするので強力な抗炎症作用を持つ。
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あるいは、炎症性物質の産生を遺伝子レベルでブロックすることも報告されてる。
例えば、「Nuclear factor kappa-light-chain-enhancer of activated B cells,NF-KB(NFカッパーβ)」という炎症を引き起こす物質を作る指令を出す転写因子。
大抵の炎症性疾患ではこのNFカッパーβというタンパク質(転写因子)が活性化してたくさんできてる。これができると、炎症をオンにするような物質をどんどん作るようになる。
このNFカッパーβの産生そのものをコルチゾールはブロックする作用がある。
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さらに、炎症性物質である「サイトカイン」や「インターロイキン」(たくさん種類がある)、あるいは「インターフェロンガンマ(γ)」と言われる炎症を促進するような、炎症性物質を遺伝子レベルでブロックするというような強力な抗炎症作用をコルチゾールは持ってる。
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■ステロイドの強力な抗炎症作用(まとめ)
・リンパ球の増殖を抑制し、細胞障害能力をブロックする。
・TNFα、インターロイキン6という炎症を引き起こすサイトカイン(ホルモンのようなもの)を減少させ、逆に抗炎症性のサイトカインと呼ばれる物質を高める。
・炎症性物質を誘導する転写因子(タンパク質)であるNFカッパーβを抑制し、炎症性物質の産生を止める。
・一方ではマクロファージ、好中球などの食作用を活性化する。なので、ゴミ掃除にも非常に有用だと言える。
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■ステロイドの炎症作用
これだけを見ると、ステロイドは素晴らしい薬だと思うかもしれないが、ところがステロイドには裏の面がある。
実はステロイドは反対の炎症作用も持ってる。
ステロイドが外部から投与されたり、慢性的にコルチゾールが高い状態にあると、食細胞の中にある「インフラマソーム」というアンテナを活性化し、炎症を促進することがわかってる。
実際にコルチゾールの体内産生を促す酵素をブロックし、コルチゾールの産生を抑えるとインフラマソーム(食細胞の中にある危険を察知するアンテナ)を抑制し、炎症が抑えられることがわかってる。
つまり、長期ステロイドを使用してると逆に炎症をオンにしてしまうことになる。
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ステロイド以外にも炎症を促進させる転写因子「NFカッパーβ」を意図的にブロックする治療が他にもある。
このような治療でもインフラマソーム(食細胞の中にある危険を察知するアンテナ)を活性化し、炎症を引き起こすことがわかってる。
このように転写因子「NFカッパーβ」も陰陽(インヤン)の関係で場によって炎症を引き起こしたり、炎症を止める作用をする。
どんな物質でも陰陽の関係である。場によって働きが変わる。
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■胸腺のダメージ
慢性的にコルチゾールが高い状態では胸腺が萎縮し、特にT細胞系が障害される。
“エイズはHIVウイルスで引き起こされる”とされてるが、実際は高コルチゾール状態でT細胞が機能しない状態になる。これがエイズ、またはガンの状態である。
T細胞が障害されることで、B細胞(抗体を作るBリンパ球)でさえコントロールが効かなくなり、ガンや自己免疫疾患を引き起こすことになる。
つまり、長期的にコルチゾールを外部から投与したり、ストレス状態で慢性的にコルチゾールの血液濃度が高い状態では、必ず免疫の要である胸腺にダメージを与え、自己免疫疾患やガンを引き起こす原因になる。
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コルチゾールはそもそも「カタボリックホルモン」と言われ、体を分解していく作用がある。
特にタンパク質、脂肪を分解し、ミトコンドリアのエネルギーにしていく。なので、常時ストレス状態にある人はどんどん痩せていく。
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■急性ストレスでコルチゾールが出ないとどうなるか
今までの話では、急性のストレスではコルチゾールは非常に有用であるが、慢性的にストレスがある状態でコルチゾールが高いと免疫系の抑制や体を分解していく(遊離脂肪酸が出て糖尿病になっていく)ことになる、ということだったが、急性ストレスの場合でもコルチゾールが出ない時がある。
この病態とは、「副腎不全(adrenal insufficiency)」と現代医学で呼ばれてるもの。
副腎不全は色素沈着、低血糖、起立性低血圧、体重減少、ショックが引き起こされる病態。別名「アジソン病」。
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ジョン・F・ケネディが副腎不全だったと言われてるが、極めて糖のエネルギー代謝の低下がかなり進んだ状態がこの副腎不全である。
現代医学では「自己免疫疾患で副腎が自分のリンパ球・白血球に攻撃されて機能を失った」というような珍説があるが、基本的には私たちの糖のエネルギー代謝の低下により細胞の機能が低下していく、あるいは細胞の機能が変調して実際に炎症を引き起こし、見た目には自己免疫疾患のように見えるということになる。
副腎不全は急性ストレスがかかった時でさえコルチゾールが出ない状態。
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コルチゾールはあくまでも急性期には必要だが、慢性的には不適応だということ。
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■慢性的にコルチゾールが高い「クッシング症候群」
慢性的にコルチゾールが高いという症候群がある。これを「クッシング症候群」という。
このクッシング症候群を見ると、「慢性的にストレスを抱えるとどうなるか」というのに非常に良い例になる。
クッシング症候群の典型的な体の形はお腹が出て、ストレッチマークという妊娠線のようなものが出たり、あるいは出血しやすい、脂肪、毛が生えるなど様々な典型的な兆候がある。
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*クッシング症候群に共通してる兆候
・血圧が高くなる
・骨が異常に弱くなる
→コルチゾール、ステロイドを皮膚に塗ったり、皮膚から吸入したり、または関節リウマチなどで長期間ステロイドの錠剤を飲んでる場合は著明に骨折しやすくなる。
・免疫不全(わかりやすくいうと免疫抑制)
→免疫が抑制されるために、私たちの生命場がゴミだらけになる。その結果、自己免疫疾患とガンが引き起こされるということになる。
・筋力低下
→コルチゾールそのものが筋肉を分解してタンパク質を糖に変えていくため。
・ムーンフェイス、中心性肥満
→お腹の内臓脂肪が溜まり顔がむくんでいく。これは、ステロイドを使用してる人はみんな同じような顔貌になる。
そして、お腹の内臓脂肪がコルチゾールによりダイレクトに脂肪滴そのものがどんどん大きくなっていく(脂肪細胞そのものが分裂もするし、一つ一つの脂肪細胞が肥大していく)。それによりお腹が出る。
・コラーゲンの新生・低下
→皮膚にシワができやすくなる。
・ミトコンドリア障害
→ミトコンドリアが障害されると、まずミトコンドリアが最も多い器官である「脳」の症状が出てくる。
具体的な症状:抑うつ(うつ病)、様々な精神症状
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また、その他にも
・月経異常
→コルチゾールが慢性的に高いと、プーファの遊離脂肪酸が出る。この遊離脂肪酸はエストロゲンを上昇させるので、常時エストロゲンが高い状態になる。つまり、慢性ストレスでコルチゾールが高い状態であると、エストロゲンもずっと高い状態になる。
エストロゲンは生理周期で見ると、排卵前と月経前に非常に高くなるというのが生理的なリズム。しかし、慢性的にエストロゲンが高い状態では月経がきちんと来ない。当然、不妊の状態も引き起こす。
・白内障、緑内障
ステロイドの副作用でも有名な兆候。
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上記のようなクッシング症候群と言われる兆候を見ると、「コルチゾールが高い」というのがどのような症状を具体的に引き起こすかというのが一目瞭然。
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*クッシング症候群の主な原因
ステロイドの慢性投与からコルチゾールを産生する腫瘍ができることがある。その腫瘍を「副腎腫瘍」という。
副腎のコルチゾールを産生する細胞がどんどん増殖し、たくさんコルチゾールを産生するようになるという稀な腫瘍。
そういったものが主なクッシング症候群の原因。
また、これに付け加えて現代人に多いのは様々なストレスによってコルチゾールが出るということ。
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放射線、重金属汚染、エストロゲン、大気汚染、食事中のプーファ、レスベラトロールのような抗酸化物質を濃縮したカプセル(サプリ)といったものたちは著明にコルチゾールをUPさせる。
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■ストレス耐性の低下
ストレス耐性の低下とは、ある人は同じストレスを与えても何ともないどころか元気なくらいだが、一方の人は倒れてしまったり潰瘍ができたり湿疹ができたりなどの体のストレス反応が起きてしまう。
このようなストレスに対しての耐性の低下は何故起こるのか?
それは、糖のエネルギー代謝の低下に集約される。
実際にストレス耐性の低い人の血液を調べると、慢性的にコルチゾールが上昇してることがわかる。
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私たちは急性ストレスを与えられた時、コルチゾールやドーパミンのような物質が出て急性ストレスに対応し、対応が終わればこのようなホルモンも分泌されなくなる。
しかし、慢性的にコルチゾールがダラダラと出てる状態の人は急性のストレスがかかった時に、ここ一番でコルチゾールやドーパミンが出ない。これにより急性ストレスに対応できない。
それがストレス耐性の低下となって現れる。なので、急性ストレスに対してコルチゾールが出ないということも私たちの健康を損なうことになる。
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■何故、ステロイド投与で慢性病は注意しないのか
これは最も医師に知ってもらいたい内容。
アレルギー疾患(アトピーや喘息)、自己免疫疾患、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、SLEなどの様々な自己免疫疾患と呼ばれるもの、またさらに医者は重症感染症にもステロイドを使う。
そして、事もあろうにガンでよく起こる組織浮腫・・・特に脳が腫れるということは危険。余裕があまりないスペースに脳があるので、少し脳が腫れただけで脳ヘルニアとなり命を落とす危険がある。なので、ガンができた周りに浮腫が起こるとどんどん脳が腫れる。
その脳の腫れを止めるために、ステロイドを崎谷先生の先輩医師がよく使ってた。ステロイドを投与すると浮腫は一時的に取れるかもしれないけど、それをすることでさらにガンを大きくすることになる。
ステロイド投与では全ての慢性病は治癒しない。そのメカニズムとは↓
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副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(コルチコトロピン放出ホルモン/CRH)がストレスがかかった時に視床下部から出る。
このCRHは脳下垂体に働き、副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)を放出させるが、CRH自体が実は炎症物質。
《HPA系の仕組み》
①ストレスがかかってCRHが視床下部から出る。
②そして、脳下垂体からACTHが出て、それが腎臓の上にある副腎(副腎皮質)に働く。
③副腎皮質からコルチゾールが出る。
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このコルチゾールは強力な抗炎症作用を持ってる。
しかし、コルチゾールはCRHの炎症を抑制することができない。
ストレスがかかる→CRHが出る→脳下垂体からACTHが出る→副腎皮質からコルチゾールが出るという一連のシステムはCRHの炎症効果がコルチゾールの抗炎症効果を上回ってしまう。
なので、持続的にストレス系が活性化した場合、CRHという視床下部から出るホルモンの炎症作用はコルチゾールの抗炎症作用を上回るため、差し引きでこれは炎症をオンにしてしまう。
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また、もう一つ大事なこと。
それは、「グルココルチコイド抵抗性」という言葉がある。
このメカニズムは・・・
CRHという視床下部から出るホルモンが脳下垂体の前葉に働き、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を出す、というシステムだけど・・・
その視床下部(脳の真ん中にあたる部分)には、実際には血液中にコルチゾールが高くなるとCRHを止める=HPA系(ストレス系)を止める(十分コルチゾールが出たからこのシステムを遮断する)という「負のフィードバック」が働く。
ところが、外部からステロイドホルモン(コルチゾール)を持続的に投与したり、あるいは体内にエストロゲンが高いと、「コルチゾールが高い」という信号を視床下部はキャッチできなくなる。
これを『グルココルチコイド抵抗性』という。
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つまり、外部のコルチゾール、体内のエストロゲンがコルチゾールの信号をブロックし、持続的にCRHやACTHが出てどんどんコルチゾールが産生される状態になる。
実際に、加齢を重ねるごとに上記のようにフィードバックが効かなくなり慢性的にコルチゾールが高い状態になる。
コルチゾール分泌量が加齢で増加する理由としては、体内にはプーファがたくさん溜まるから。プーファはエストロゲンやコルチゾールもUPさせるためにストレス系を持続的に刺激することになる。
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*ステロイドを外部から投与する
これは、喘息のように吸引のステロイドでも、アトピーのように皮膚に塗るステロイドでも、口から飲むステロイドでも何であっても同じ。
ただし、吸引あるいは皮膚から塗るステロイドが一番強力な作用となる。何故なら、ダイレクトに血管に入り全身に循環するから。高濃度のステロイドが全身に回ることになる。
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こういった状態で外部からステロイドを投与すると、グルココルチコイド受容体抵抗性が起こる。
すると、視床下部でグルココルチコイド受容体抵抗性の受容体(アンテナ)が狂ってしまう。そうなると、CRHが際限なく放出されてしまうためCRHそのものが炎症をオンにする。
CRHがコルチゾールを出す作用が最終的にはあるが、コルチゾールの抗炎症作用よりもCRHの炎症作用が上回る。
つまり、実際は外部からステロイドを慢性的に投与すればするほど炎症がひどくなる。
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なので、炎症が止まらないからといってステロイドをどんどん増量する医師が後を絶たないが、ステロイドをいくら増量しても炎症をどんどんひどくしていくということになる。
これは最終的にうつ病にし、自殺を招くところまでステロイドを投与する(ステロイド中毒)。あるいはガンを発生させ、そこで放射線や化学療法をして患者を医原病で亡くしてしまうというところまでステロイドを使い込む無知な医師が後を絶たない。
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*CRHの炎症作用を止めるのは保護ホルモン
CRHが持ってる炎症作用を止められるのはコルチゾールではなく、実際にはプレグネノロン、プロゲステロン、DHEAなどの保護ホルモン。
糖からLDLコレステロールが作られ、そのLDLコレステロールから甲状腺ホルモンとビタミンAの働きで作られるという保護ホルモンがCRHの炎症作用を止めるものである。
なので、どうしても炎症を止めたい場合。今まで現代医療が「困った時にはステロイド」という形で盲目的に使用してたコルチゾールは非常に危険な物質のため、メカニズムをしっかり知って患者の症状を少しでも軽減したいのであれば保護ホルモンを使うべき。
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■長期のステロイド投与の問題(まとめ)
・糖のエネルギー代謝をストップさせる。
・インシュリンシグナルもストップさせる。
・ミトコンドリアのピルビン酸の取り込みをブロックする。
→具体的にはピルビン酸脱水素酵素をブロックする作用がコルチゾールにあるということ。
・ミトコンドリアの電子伝達系もブロックする。
・エネルギーシフト
→筋肉・消化管・胸腺を犠牲にし、脳・心臓という重要臓器へエネルギーをシフトする。
・慢性的にリポリシス(脂肪分解)、プロテオリシス(タンパク質分解)の作用がある。
→これにより遊離脂肪酸あるいは遊離アミノ酸が炎症を引き起こす。特に、血液中のリポリシスによって放出された遊離脂肪酸により炎症を引き起こされることを「メタ炎症」という(『慢性病は現代食から』の本に詳しく書いてる)。
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・胸腺へのダメージ
→これにより、T細胞・B細胞いずれのリンパ球もコントロールが効かなくなり、これらが暴走し始めるということが自己免疫疾患の本当の病態である。胸腺のダメージを引き起こすのはコルチゾールの特徴であるが、その他にも放射線、鉄、プーファ、エストロゲンも胸腺のダメージを引き起こし、コルチゾールと同じような病態を引き起こしていく。
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・甲状腺機能低下
→また、肝臓で不活性型の甲状腺ホルモンを活性型の甲状腺ホルモンに変換させ、活性型甲状腺ホルモン「T3」がミトコンドリアのエネルギー代謝や保護ホルモンの合成に働く。が、この活性型の甲状腺ホルモンの合成をブロックするのもコルチゾールの有名な作用。つまり、甲状腺機能低下を引き起こす。それにより、炎症のコントロールが不能になっていく。
炎症を止めるために使用してるステロイドで、炎症のコントロールが不能になるというのは皮肉でしかない。
42:21
コルチゾールの分泌リズムが私たちにある。
朝方は高く、夜に少なくなり、そしてまた朝方にどんどん増えてくるというリズム。
しかし、それ以外にステロイドを塗り込んだり、吸ったり、錠剤として経口摂取するというような外部から上乗せをすると、運動学習能力が低下することが報告されてる。
さらに、性腺ホルモンを抑制することも知られていて、これが不妊や月経異常を引き起こすことにつながる。
なので、ステロイドを長期投与してる女性は生理不順(月経異常)になるし、また様々な月経に伴う症状が出てくると言える。
43:19
■コルチゾールとプーファの関係
実は、私たちがプーファを摂取しただけでストレスと認識され、コルチゾールの産生が高まる。
メカニズムとしては・・・
特に植物油脂。このオメガ6のアルデヒド(過酸化脂質)はコルチゾール、アルドステロンという副腎皮質から出てくる2つのストレスホルモンの産生を高める。
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■コルチゾールとアルコール中毒
コルチゾールとアルコール中毒も密接に関係してる。
アルコール依存症は基本的にはストレスから引き起こされるもの。コルチゾール分泌が非常に高い状態。
アルコールは短期的にコルチゾールの分泌を低下させる作用がある。
なので、ストレスが溜まるとアルコールに走る人がかなりいる。
それの作用としては、アルコールそのものがアルデヒドを発生させ、糖のエネルギー代謝を低下させる作用がある。
代謝が低下してくると、コルチゾールさえ分泌できなくなる。その状態を作り出したものが「アルコール依存症」。
なので、この全体の代謝を下げた上にコルチゾールを下げるというのは非常に体にとっては負担のあるやり方。
ということなので、コルチゾールの分泌を低下させればアルコールに走ることもないということ。
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ラットのアルコール中毒の実験があるが、これによるとコルチゾールの受容体をブロックする薬剤、あるいは保護ホルモンでコルチゾールを低下させることでアルコール中毒が解消することがわかってる。
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■コルチゾールのタンパク質分解
胸腺、皮膚、筋肉をメインにしてタンパク質を分解していく。
・胸腺を分解していくことで免疫系のコントロールが効かなくなる。
・また、皮膚のコラーゲンの分解によりしわ、たるみ、皮膚の菲薄化(ひはくか)が起こる。
・そして、筋肉が問題。
筋肉を分解していくと「廃用性症候群」が起こる。これは高齢者に多いと言われるが、高齢者でなくても寝たきりになると筋肉がほとんど萎縮してしまう状態になる(廃用性症候群)。
あるいは、「嚥下性肺炎」。これは、物を飲み込んだり痰を吐き出したりするなどの胸の周囲の筋肉(嚥下に関わる筋肉)が弱ってくる。通常は異物が入ってくると咳き込んで出すが、その筋肉が弱くなりどんどん異物が肺に入っていき肺炎になる。これを嚥下性肺炎という。
これは、高齢者あるいは病院での死亡のおそらくトップになるのでは、というくらい高齢者は嚥下性肺炎で亡くなる確率が非常に高い。
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*筋肉を分解すると何故まずいのか?
それは、筋肉というのはシステイン、メチオニン、トリプトファンという3つのアミノ酸トリオが非常に多い臓器。
筋肉のタンパク質からシステイン、メチオニン、トリプトファンと呼ばれるアミノ酸が放出されると、この3つのアミノ酸トリオが全て甲状腺をやっつけてしまう。3つのアミノ酸トリオは遊離アミノ酸。
つまり、システイン、メチオニン、トリプトファンという遊離アミノ酸も、プーファの遊離脂肪酸と同じように甲状腺をやっつけてしまうということ。
さらに、遊離脂肪酸も高める作用を持ってる。
したがって、一般的にコルチゾールが高くなり、血液中に増える遊離脂肪酸、遊離アミノ酸のいずれも甲状腺障害を引き起こして私たちの糖のエネルギー代謝を低下させてしまうということ。
48:30
■消化管粘膜にコルチゾールが働く
これは、消化性潰瘍(粘膜のタンパク質を分解して潰瘍を作る)が起こる。
その他、粘膜細胞同士の結合の部位(タイトジャンクション)を溶かしてリーキーガットを引き起こす。
つまり、慢性ストレスはリーキーガットを引き起こすということ。
また、コルチゾールはタンパク質と脂肪も分解する。脂肪からは現代人に蓄積してるプーファを放出させる。その作用をコルチゾールは持ってる。
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コルチゾールの脂肪分解は皮下脂肪組織からプーファを遊離させるが、内臓には脂肪を溜めていく。
したがって、慢性ストレスでは手足は筋肉もなく脂肪が取れ痩せていくけどお腹がどんどん膨れていくというクッシング様の形になっていく=中心性肥満。
なので、ストレスが溜まる、あるいは流行りの脂肪を燃焼させようという過剰な運動、または低血糖を起こす極端な食事でコルチゾールをUPさせて脂肪を分解しようとしてもお腹はどんどん出てくるということ。
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■骨折
ステロイド投与でよく臨床的にも見るのが骨折。
破骨細胞を活性化し、骨を作る増骨細胞を減少させる。さらに、腸からカルシウムの吸収を減少させる。
つまり、これはビタミンBの作用をブロックする。
そして、長期的には骨粗鬆症でどんどん骨折が引き起こされていく。
特に現代の高齢者はどんどん骨が弱くなり背骨が曲がってくる。背骨から首あたりの骨が非常に弱くなり、脊椎骨折が非常に多い。
あるいは大腿部の大腿骨頚部骨折も非常に多い。
これら全てコルチゾール、あるいはプロラクチンや副甲状腺ホルモンといった骨にとって非常に危険なホルモンが常時高くなることにより骨が破壊されていく。そのような状態が現代人の高齢者の特徴となってる。
51:36
また、ミトコンドリアそのものをコルチゾールはブロックしてしまう。
ミトコンドリアのエネルギー産生の要である「サイトクロムCオキシデース」というのがある。これは、電子伝達系の複合体4の要であるサイトクロムCオキシデースという酵素。
この酵素を低下させることでミトコンドリアのエネルギー代謝をブロックする。
リポリシスで放出された遊離脂肪酸であるプーファもサイトクロムCオキシデースの働きを低下させる。また、NO(一酸化窒素)も同じところに働く。
52:22
そして、コルチゾールはエストロゲンと対になって増えていく。
さらに、これはセロトニンもあり3セットとなる。
エストロゲンはコルチゾールの負のフィードバックを阻止する。これはグルココルチコイド抵抗性というもの。エストロゲンが「コルチゾールが増えてる」という信号をブロックするためにHPA系が持続的に興奮してコルチゾールの産生がどんどん増える。
52:58
また、コルチゾールそのものはアロマテースという、特に脂肪細胞でエストロゲンを産生する酵素を活性化する。
これによりエストロゲンが増える。
つまり、エストロゲンが増えるとコルチゾールが増える。コルチゾールが増えるとエストロゲンが増える。
さらに、加えてセロトニンもどんどん増えていく、という悪循環を作り出すのがコルチゾールである。
53:40
■コルチゾールと脳の関係
これも非常に重要。抑うつ症状も引き起こす。
〈実験〉鶏の卵にコルチゾールを注射した実験がある。
すると、ヒヨコの脳及び身体のサイズが低下することがわかった。
つまり、母親が妊娠中非常にストレス状態にあると、母親のコルチゾールが胎盤から入っていき、子供の脳にシャワーのようにコルチゾールを浴びせるという状態になる。
そのようになると、子供の脳は小さくなる、あるいは身体のサイズが低下し、将来学習障害や成長障害が引き起こされる可能性が非常に高いということになる。
54:34
実際にコルチゾールは脳細胞にダメージを与える。
グルタミンあるいはアスパラギン酸(アスパルテームという人口の甘味料の成分)は興奮性アミノ酸を増やして脳細胞を死滅させていく。
54:59
脳細胞が死滅すると特にうつ病と認知症が起こりやすい。これは「ステロイド痴呆」とも言われる。
喘息やアトピーなどで長期間にわたってステロイドを使用してると、記憶障害や注意欠陥などの認知症を発症しやすいことが報告されてる。
新しく記憶することができないだけでなく、すでに蓄積してる記憶も取り出せない。アルツハイマーのような状態になってしまう。
このアルツハイマーを作るのもコルチゾールの作用であることがこのことからも理解できるはず。
55:39
そして、うつ病、アルツハイマー、統合失調症といった精神疾患の原因にもなる。
ステロイドの面白いところは、脳の長期記憶、空間認知を司る「海馬」という部分、あるいは認知機能などの高次脳機能と言われる部分の特に「前頭前野」は慢性ストレスで死滅していく。その一方で、恐怖や不安を感じる「扁桃体」という部分は活性化していく。
なので、それによりどんどん不安や恐怖が増幅し、うつ病や不安神経障害などが引き起こされる。
脳細胞がどんどん死んでいくことでアルツハイマーになるし、ドーパミンの産生が低下して統合失調症を起こす。このような精神疾患の原因にもなる。
56:43
■コルチゾールと成長障害
(先述(53:40〜)でもヒヨコの成長障害の話あり)
妊婦に対してコルチゾールを予防投与するという、とんでも無いことが行われてる。
妊娠第4週未満の出産の未熟児に発生しやすい呼吸障害「呼吸窮迫症候群(Respiratory distress syndrome, RDS)」というのがある。
これは、早産の可能性がある妊婦にステロイドを投与する。
(実際に未熟児が生まれてもこういった呼吸障害が出ない場合もあるが、出る確率が高いということで予防的にステロイドを投与するという馬鹿なことが現実の臨床で行われてる(治療ガイドラインにある)。)
すると、出生児は低体重になるということは2019年に報告された。
これは子供の一生を左右する本当に恐ろしいこと。
58:08
■コルチゾールとガン
ガンの人では早期よりコルチゾールの濃度が高くなる。
これはエイズも全く同じ。
したがって、コルチゾールが高いということはガンの初期のマーカー(指標)でもある。
そして、ガンでステロイドを使うとどんどんガンを増殖していくが、ガン細胞自然死(アポトーシス)が激減し、治療抵抗性のガンがステロイドによって引き起こされることもすでにわかってる。
治療抵抗性のガン:放射線や抗ガン剤を与えた時にそれに耐性のあるガンが増殖してくるというもの(多剤耐性菌と同じ)。
なので、ガンにとってはステロイドは禁忌だということになる。
59:19
■ステロイドの局所使用
ステロイドは全身投与するとこのような危険な作用があるが、局所使用だと良いのではないかという理論(というか勘違い)が皮膚科の先生には非常に多い。
例えば、関節内ステロイド注射というのが整形外科でされてる。
関節炎で関節が痛い人に外来で1週間に1〜2回定期的に関節内にステロイドを注射してる整形外科が非常に多い。
「この治療法は長期的にはどうなのか?」というのが2019年に初めて報告された。
→関節の骨が変形し、より骨破壊が進む。しかも骨折が増え、骨が弱くなる。急激な関節破壊が起こった場合は、さらに関節が変形して痛くなる。
ということで、これは関節内にステロイドを注射すること自体非常に危険だということが明らかにされた。
なので、皮膚にステロイドを塗ったり、関節内にステロイドを注射するというような局所使用も非常に危ないということである。
1:00:42
■コルチゾールの代謝
これは、基本的にはプーファと同じ。
肝臓で水溶性にすることで胆汁から排出される。
なので、肝臓の機能が低下するようなことが起きると、コルチゾールの代謝ができなくなり血液中のコルチゾールが増えるということ。
ということなので、「ステロイドをいくら使っても肝臓で代謝するから大丈夫」という暴論を吐く医師がいてるが、それはとんでもない嘘だということ。
肝臓の機能そのものが弱っていくので、肝臓でのデトックスは不十分になりどんどんコルチゾールが体内に蓄積していく。
これはプーファもエストロゲンも全く同じ。
1:01:34
■コルチゾール(ステロイド)を長期間使った人の離脱方法
長期間のステロイド使用で私たちの副腎皮質は著明に萎縮(細胞が死んで小さくなる)する。
実際にステロイドをやめて糖のエネルギー代謝を高めた場合でも、副腎皮質の回復には数ヶ月という時間がかかる。
つまり、自分でコルチゾールを作るのに数ヶ月待たないと回復しない。いくら急性ストレスが与えられて、CRH、ACTH、副腎皮質からコルチゾールを出せと言ったところで回復はしてないので、コルチゾールが出ないという危険な状態になる。
したがって、ステロイドは徐々に減量していくことが大事と言える。
1:02:36
私は月に25%ずつ減量していく。そして、その間に徹底的に糖のエネルギー代謝を高めて生活習慣を見直す、ということを提案してやっていく。
徐々にステロイドを切って、最終的に自分の副腎皮質でコルチゾールが産生できるように持っていく。
これは急に切ると非常に危ないということ。
1:03:04
■アドレナルファティーグ(副腎疲労)
これは現代医学ではないが、一般のポップカルチャーで「アドレナルファティーグ」という言葉が流布した時期がある。
この副腎疲労(アドレナルファティーグ)で副腎が疲労して、コルチゾールが出ないという病態。
しかし、こういった病態は実際はない。あるとすれば、副腎不全という全てのホルモンが出なくなるという形でならあるかもしれない。
実際、「本当の長期間のステロイドの使用」や「副腎を切除する」といったことをしない限り副腎皮質は一時的に弱っても速やかに再生する。非常に再生能力の高い組織だから。
なので、副腎皮質がずっと萎縮したまま機能しないということはありえないこと。
1:04:11
ただ、副腎が回復したからといって、コルチゾールが出る、それにより炎症が治る、というわけではない。ここがポイント。
副腎が回復し、コルチゾールが自前で産生できるようになる。それで炎症を強力に抑えることができても、ストレスで慢性的なコルチゾール分泌がある場合、あるいは食事で植物油脂や魚の油を摂取してる場合はプーファの遊離脂肪酸が増える。そのために炎症はプーファにより継続する。
なので、“アドレナルファティーグのように副腎が弱ってステロイド(コルチゾール)が不足して炎症が持続してる”というのではなくこれは”プーファ過剰”ということ。
炎症の原因はあくまでも副腎疲労(仮説だが)というステロイド不足によるものではなく、慢性コルチゾールの上昇やプーファの過剰摂取によって私たちの生命場が炎症の場になってること。これが原因。
1:05:42
ということになるので、あくまでもプーファの摂取を制限し、慢性コルチゾールの上昇、あるいはエストロゲンの上昇を抑えることがまず先決。
副腎のアドレナルファティーグという概念を持ち出して、副腎のホルモンが足りないからとホルモン補充するのは根本原因を解決してることにはならない。
1:06:20
■コルチゾールを低下させる物質
これは様々な物質がある。
・ショ糖(ブドウ糖、果糖)
・ナイアシンアミド
・グリシン
・カフェイン
・エモジン(クワイノン)
・ビタミンA
・ビタミンE
・ビタミンB6
・ビタミンB1
・セアニン(テアニン)
・甲状腺ホルモン
・マグネシウム
・亜鉛
・タウリン
・プレグネノロン
・プロゲステロン
・アセタゾラマイド(Acetazolamide):CO2を増やす医薬品
このような、ヘルシネスサブスタンス(健康の場を作る物質)は全てコルチゾールを低下させる作用がある。
1:07:14(まとめ)
コレステロールからたくさんのステロイドホルモンが作られる。
その一部がコルチゾール。コルチゾールの功罪として、急性ストレスに対しては非常に有効だけど、長期的には逆に炎症をオンにするだけでなく私たちの糖のエネルギー代謝をも根本的に止めてしまう、ということを強く認識してほしい。
1:07:51
今回のコルチゾールをエネルギー代謝との関連で再度復習し、脳下垂体ホルモンや今後伝えていくエネルギー代謝とホルモンの関係に繋げていってほしい。
fin
