生化学

生化学11タンパク質の消化・吸収・構造と生理作用

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01 タンパク質の消化・吸収・構造と生理作用

エネルギー代謝とタンパク質

タンパク質の消化・吸収・構造と生理作用

●概要

・タンパク質とは?

・食事中のタンパク質の消化・吸収

・タンパク質を消化するのには胃酸が必要!-胃酸を止める胃薬の危険性

・バイオペプタイドとは何か?

・バイオペプタイドの機能

・人工バイオペプタイド=タンパク質加水分解産物

・タンパク質の分解・消化を阻害する物質―大豆・豆類

・窒素バランスとシックネス・フィールド(病気の場)

・窒素バランスとヘルスィネスフィールド(健康の場)

・タンパク質の同化と異化

・1日絶対必要なタンパク質摂取量は何グラム?

・最適な三大栄養素の比率はタンパク質量から考える!

・植物性タンパク質はどの指標でみても質が低い

・植物性タンパク質は異化の程度が大きい

・純窒素効率とは?

・純窒素効率が最低の大豆とプロテインサプリ

・タンパク質の消化・吸収障害がある場合はアミノ酸補給

・タンパク質の構造

・タンパク質の変性をもたらすもの

・タンパク質の折りたたみは小胞体が担う

・小胞体ストレスとは何か?

・プーファがもたらす小胞体ストレス

・タンパク質の折りたたみ異常病

生化学(11)タンパク質の消化吸収・構造と生理作用

今回はエネルギー代謝とタンパク質。

三大栄養素の糖と脂質のエネルギー代謝に続き、タンパク質とエネルギー代謝について。

今回のタンパク質1回目は消化吸収、構造と生理作用についての基本を。

0:38

タンパク質は脂質、糖質と違い「窒素」という元素を含むアミノ酸から生成される。

脂質と糖質は「炭素」と「水素」の元素からなる物質だが、タンパク質は唯一窒素を含むということで、脂質と糖質とは違った代謝になる。

1:16

タンパク質は組織、細胞の構成成分。

また、ホルモン、酵素、神経伝達物質といったメッセージを伝えるような媒介するもの、あるいはヘモグロビンという生体内物質の構成成分になってる。

1:41

【食事中のタンパク質の消化・吸収について】

私たちがタンパク質を摂取すると、まず胃酸が出てくる。

胃酸はペプシノーゲンを「ペプシン」という形に変える重要な物質。

これにより、タンパク質が「ポリペプタイド(ポリペプチド)」というアミノ酸がたくさん連なった形にまず分解される。これが胃で行われる。

ということは、胃酸がないとタンパク質そのものがまず分解できない。初段階でこれが障害される。

だから、胃酸を抑える薬がどれだけ怖いものか、ということがこの基本を見ても一目瞭然である。

2:42

そして、胃からポリペプタイドが出た後、次に十二指腸・小腸へ向かう。十二指腸・小腸でポリペプタイドが「オリゴペプタイド」というアミノ酸が少数連なったものになり、さらにその一部は完全にアミノ酸(一つの構成要素)まで分解されて吸収される。

これは、一部はオリゴペプタイド(アミノ酸が少数連なったもの)として吸収されるものもある。でも基本は、タンパク質の構成要素である一つ一つのアミノ酸まで分解され小腸から吸収されていく。

3:35

その時に十二指腸・小腸で使われる重要な酵素が「トリプシン」、「キモトリプシン(カイモトリプシン)」というもの。

その他、「カルボキシペプチデース」や「エラステース」といった小腸の酵素によりアミノ酸レベルまで分解されていく。

4:09(前半、ここまでの要約)

タンパク質はまず、口から入った後胃酸でペプシノーゲンがペプシンになり、初段階の消化が胃の中で行われる。

その後、小腸の酵素、また膵臓から出てくるトリプシンなどのタンパク質分解酵素により小腸でペプタイド、そして、アミノ酸レベルまで分解されて吸収されていく。

その時によく消化しない=胃酸を抑える薬を飲んだりしてる場合は、便から不消化のタンパク質が排泄される。

それよりも危険なのは、小腸で十分に吸収されないアミノ酸がバクテリアの餌になるということ。

これにより、硫化水素などの害悪をもたらすようなガスが産生される。これは、「ポリアミン」という発ガン性の物質を産生したりする。

なので、やはりタンパク質もしっかり消化しないと小腸から大腸でバクテリアを増殖させて危険な物質を産生させてしまうということになる。

5:46

小腸から「コルシストカイニン」という消化酵素が出る。これにより、膵臓から酵素の前駆体の「ザイモーゲン」が出る。

酵素前駆体の代表的なものが「トリプシノージェン」、「カイモトリプシノージェン」、「プロカルボキシペプシデース」。

こういったものが実際には、消化の時にはトリプシン、カイモトリプシン、カルボキシペプチデースと呼ばれるものになり、タンパク質を消化していく。

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*前駆体(ザイモーゲン):不活性型のもの

タンパク質を実際に分解するのは活性型のトリプシンやカイモトリプシン、カルボキシペプチデース。

ところが、膵臓に蓄積されてる、分泌される前のものはザイモーゲンと言われ、これは不活性型の酵素の前駆体。

元々活性型のものを放出すれば良いのに、何故不活性型の前駆体が膵臓に酵素として蓄積されてるのか?

これは、例えば敗血症などショック状態になった時に膵臓でも激しい炎症が起こることが救急の現場では知られてる。

これで何が起こるのか?

膵臓に前駆体(不活性型)として蓄えられてる消化酵素が膵臓の中で活性化し、膵臓のタンパク質を壊してしまう。そのような事態が救急の現場ではよく知られてる。それによって、膵臓が破壊されていく。

これは、もちろん糖尿病にもなる。

8:13

なので、膵臓は基本的には不活性型のものを蓄積して、自分の細胞のタンパク質を分解されないようにしてるということ。

これが消化管に出て初めてトリプシン、カイモトリプシン、カルボキシペプチデースという形で活性型になり、初めてタンパク質を分解していくということになる。

8:43

先述の、アミノ酸レベルまで徹底的に分解されるものと、オリゴペプタイドという例えば2つのアミノ酸が連なった「ダイペプタイド」、3つのアミノ酸が連なった「トライペプタイド」という形のものは比較的小腸からそのままの形で吸収されるものがあることがわかってる。

*ダイペプタイド:2つのアミノ酸がくっついてる例として「グリシン」と「アラニン」。これはアミノ酸がくっついたもの。

*トライペプタイド:グリシンが3つくっついたもの。

これは例に過ぎないが、こういったものは一つ一つのアミノ酸まで分解されずに、そのまま吸収されるものがある。

9:41

実は、私たちの体内で何らかの作用を有するアミノ酸の連なり(ペプタイド)が、アミノ酸の数に対して上記ではダイペプタイド(2つ)、トライペプタイド(3つ)だったが、これは最大で20個というのも発見されてる。

こういったアミノ酸の連なったものが現在、1500種類以上見つかっている。

これは何らかの作用を有するということで、これは「バイオペプタイド」と呼ばれてる。

10:18

乳製品に含まれる有益なタンパク質の「カゼイン(ケイシーン)」、「ホエイ」、「ラクトフェリン」、「グロブリン」というもの。これらが、かなり多くバイオペプタイドを含むということがわかってる。

そして、「母乳」。母乳にもたくさんバイオペプタイドが含まれてる。これが、赤ちゃんの成長を助けてるということが最近注目されるようになった。

10:54

実際に降圧作用、抗菌作用、抗酸化作用、抗血栓作用、オピオイド(痛みを止める作用)、免疫修復作用、ミネラル欠乏作用など、たくさんのバイオペプタイドの作用が報告されるようになってる。

そして、サプリとして美容業界でもバイオペプタイドを用いたものも登場してきてる。

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●タンパク質加水分解産物

加工食品の原材料表示を見ると、「タンパク質加水分解産物」というのがある。

英語では「プロテインハイドロリセイト(protein hydrolysate)」というもの。

これはいわゆる添加物。加工食品に添加してるタンパク質加水分解産物と言われるもの。

これは何故、こういうものを足してるのかは不思議だが、これも一応体内で何らかの作用を持つバイオペプタイドの一種。

12:11

ただし、タンパク質加水分解産物がどうやって作られてるかというと、わざわざ動植物のタンパク質を分離して、そこに酵素を振りかけたり、あるいは乳酸菌などを入れて発酵させて有効成分だけを抽出する。またあるいは、化学合成することでタンパク質加水分解産物を得ている。

12:43

そうすると、わざわざこんな化学的処理をして私たちの体内で起きないようなタンパク質加水分解産物というバイオペプタイドを作るとどうなるか?

それは、私たちの体内で産生されないようなペプタイド(アミノ酸の連なり)が合成されるために、私たちの身体に入ってきた時にそれをゴミとして認識する。

それで、糖のエネルギー代謝が高い人は多少こんな添加物が入ってきても速やかにマクロファージが処理をしてデトックスしたり、または肝臓がデトックスする。

しかし、現代人にように甲状腺機能低下あるいは糖のエネルギー代謝が低い状態ではアレルギー反応をこのタンパク質加水分解産物に対して引き起こす。これはすでに1980年代から指摘されてること。

したがって、加工食品を食べることでアレルギーになってる可能性もあるということである。

14:01

原材料表示にあるこのタンパク質加水分解産物という添加物が何故危険か?ということも『新免疫革命』という本で詳しく書いてる。

そして、もしこのバイオペプタイドの効果を期待するならミルクなどの乳製品を食べることに勝るものはない。

14:33

実は、このバイオペプタイドの人工的な合成=タンパク質加水分解産物という添加物は家畜の血液や脂を絞ったタネ、魚の残りカスなどの大量の産業廃棄物の処理に困っていたという事情がある。

なので、産業廃棄物であるこの絞りカスや家畜の血液などを有効利用=お金にしようとした大手食品会社(多国籍企業)がそもそもの添加物のバイオペプタイドの発祥で、これの健康効果を謳う諸研究がかなり出た。

つまり、バイオペプタイドが身体に良いという喧伝をして、このような産業廃棄物からお金を得ようという邪な考えがあったということ。

なので、このバイオペプタイドの研究にもほとんど全部目を通したが、怪しいものばかりだった。

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やはり、基本はミルク。母乳に含まれる自然のバイオペプタイドが良い働きをし、一定の生理作用を持つ。

このことを覚えておくこと。

また、バイオペプタイドを謳うようなサプリに手を出さないこと。

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このように私たちの口の中に入ったタンパク質は、まず胃で最初の消化を受け、小腸で膵臓から出た酵素あるいは小腸そのものが出す酵素によって細かく分解されて、アミノ酸レベルまたはバイオペプタイドと呼ばれるオリゴペプタイド状態で吸収されていく。

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この、タンパク質分解・消化を阻害する物質も当然自然界には存在してる。

例えば、有名なところではトリプシンと呼ばれるタンパク質分解酵素。

これは膵臓から出されるものだが、これを阻害する物質が実は豆類。大豆・豆類に多い。

なので、大豆が自然の食物の大事なタンパク質だと喧伝されGMOが世界中に蔓延ってるが、これはやや大げさというだけじゃなくサイエンスから見ても正しくない。

何故なら、大豆のタンパク質はそもそもトリプシンが入ってるので、消化されない。大豆のタンパク質があったとしても、消化をブロックする物質も一緒に入ってるということである。

17:41

ちなみに、人体にもトリプシン阻害剤である「α1アンチトリプシン」という物質がある。

これは、炎症では正常組織(特にコラーゲン線維)が溶かされていく。コラゲネース(MMP)と呼ばれるような私たちの細胞と細胞をくっつける間質。細胞外マトリックスを分解していくような酵素が出る。

ガンの時もそうで、ガンの転移や、あるいは感染症、慢性炎症といった時には間質が溶かされていく。

このような時に過剰に正常組織を溶かさないように好中球のタンパク質分解酵素と呼ばれる「エラステース」(「コラゲネース(MMP)」以外に好中球もタンパク質分解酵素「エラステース」を出す)をブロックするのがα1アンチトリプシンと呼ばれる、私たちの身体に備わったタンパク質分解ブロックの酵素。

19:04

これは実は、喫煙などで出るアルデヒドでアンチトリプシンがブロックされる。せっかくのタンパク質分解酵素をブロックする作用がブロックされる。

これによりどんどん正常組織が溶かされていく。

肺でいうと、肺の細胞(間質)が溶かされていくと、これは肺気腫(COPD)と言われる、現代人に非常に急増してる慢性の閉塞性肺疾患という病態になる。

肺気腫になると喘息のような症状が出てくる。

これは、肺胞と呼ばれる肺の袋の結合組織が溶かされていく。これを抑えるようなトリプシン阻害剤がプーファや喫煙などにより発生するアルデヒドでブロックされる。

20:13

●同化と異化

食事中のタンパク質はアミノ酸レベルあるいはオリゴペプタイドレベル(何個かアミノ酸が連なった形)で吸収され、私たちの全身循環に入っていく。

そして、このアミノ酸は大きく分けて2つの経路に分かれる。

その一つが「同化」。もう一つが「異化」と呼ばれるもの。

20:45

同化と異化とは?

*同化(アナボリック):自分の細胞の中に組み入れられる。あるいは成長・増殖に使用される。

*異化(カタボリック):同化とは逆に排出される。あるいは体内の成分が分解されていく。それにより失っていくこと。

21:25

筋トレなどで使うアナボリックステロイドというものは、アミノ酸をしっかり筋肉につけるステロイドという意味で「同化ホルモン(アナボリックホルモン)」と呼ばれてる。

一方、エストロゲン、コルチゾールに代表されるストレスホルモンは「異化ホルモン(カタボリックホルモン)」と呼ばれてる。

これは、私たちの身体をどんどん分解していく。

21:55

●窒素バランスがマイナスになる

これは、私たちの身体を分解する方が、合成していくよりもその程度が大きいことを指す。

●「窒素の異化」が「窒素の同化」よりも高い状態

これは、例えばタンパク質欠乏。アフリカの子供によく起こる「クワシオルコル」という病態がある。

これは、食事中のタンパク質が不足するために腹水が溜まる、脂肪肝ができる。これによりお腹がポッコリ膨らんだ状態になる。

あるいは、断食、飢餓(クワシオルコルと同じ)。または、糖質制限といった糖のエネルギー代謝をストップさせるような極端な食事法。長期間の断食や飢餓は私たちの身体がタンパク質をどんどん分解していくので窒素バランスはマイナスになる。

23:09

そして、糖尿病も実は糖質制限とまったく同じパターン。糖を利用できないので、タンパク質がどんどん流出していくという病態。

あるいは慢性炎症。

このような病態では私たちの身体のタンパク質がどんどん流出していく。

23:32

ちなみに、タンパク質の流出について。

最も簡単に起こるのは、皮下のタンパク質。

そして、胸腺。胸腺がどんどん砕かれていくということになる。胸腺は免疫の要なので、形態形成維持(免疫)が完全にバランスを失ってしまう。

また、筋肉。筋肉のタンパク質が失われていく。

・皮下

・胸腺

・筋肉

という3つの組織が最も早くタンパク質が砕かれていく。

24:13

なので、断食を長期間したり、あるいは糖質制限を厳格にすると必ず免疫系がおかしくなって、シワがたくさんできる。

これは、皮下からタンパク質を抜いていくから。

そして、筋肉が落ちていく。マッスル・ウェイスティング・シンドローム。糖尿病の典型的な症状を呈するようになる。

この窒素バランスのマイナスというのが、実はシックネスフィールド(病気の場)ということになる。

24:50

●異化について

これは、シックネスフィールド(病気の場)、または緊急時で起こるパターン。要するに、ストレスがかかった時のパターン。

異化には2つある。

それは、先述のように、まず排泄されていくというもの。アミノ酸が有効利用されずにただただ排泄されていく。

もう一つは、エネルギーとして使用されていく。これは好ましいことではない。

というのは、アミノ酸は細胞の構成要素や酵素、ホルモンの材料であるべきもの。

これが、緊急時に特に糖が使えない、あるいは糖が入らないという状態ではこのようにエネルギーとして用いられて失っていくという形になる。

このように2つのパターンがある。

25:57

●窒素バランスがプラスになる(同化)

同化の方が異化よりも高いものを窒素バランス(+)という。

典型的なのが子供の成長期や妊娠。こういう時には腹部の膨満度、脂肪肝は起こらない。

そして、シックネスフィールドからヘルスネスフィールド=病気の場から健康の場に回復する時も窒素バランスはプラスになってる。

つまり、窒素バランス(+)がヘルスネスフィールドである。

★窒素バランス(+):ヘルスネスフィールド

★窒素バランス(ー):シックネスフィールド

26:41

同化というのは体内でタンパク質の合成に材料として使われていく、ということ。

26:51

【タンパク質の量】

三大栄養素の糖質、炭水化物、タンパク質、脂質の割合はどれくらいが最適なのかと、よく聞かれる。

これに対するサイエンスの答えが明確にある(以下)。

27:36〈グラフ/映像確認〉

横軸)タンパク質摂取量がだんだん多くなったパターン

縦軸)プロテインのターンオーバー(どれだけタンパク質が合成されたり分解されたかの指標)

灰色と濃い色の棒グラフが2つ並んでるが、左の灰色の方がタンパク質合成の量、右側がタンパク質分解の量を指してる。

これをよく見ると、一日のタンパク質摂取量を体重あたり0.36g/kgの量しかタンパク質を摂取しない場合は、タンパク質分解の方が量は上回ってしまう。

0.77gでようやくタンパク質合成が少し上回った感じ。

1.59g、2.07gと一日のタンパク質摂取量が増えるに従って、タンパク質合成が分解を上回る形になる。

つまり、ヘルスネスフィールド(健康の場)になるということ。

28:59

タンパク質の摂取量が減ると異化が進むという厳然たる事実がこれでよくわかる。

つまり、身体のタンパク質が分解されていくということ。

29:14

このように、身体が分解されていくのをブロックするためのタンパク質摂取量はグラフでもわかるように、体重あたり一日1g。

例えば50kgの人であれば50g、100kgの人であれば100gということ。

なので、一日量としてタンパク質摂取量は50g〜100gを摂取すると身体が分解されていくことがないということである。

29:42

いくら筋トレをしても筋肉がつかないという人は、おそらくタンパク質摂取量がそもそも少ない。

もしも、一日に摂取量が体重あたり1g/kg以下になると、いくら筋トレしても流出するタンパク質の方が多くなるということになる。

30:07

それと、もう一つ注意しないといけないことは、タンパク質の摂取量に対して糖質はその2〜3倍は必要だということ。

その理由は、タンパク質が小腸で最終的にアミノ酸やオリゴペプタイドで吸収された場合、このアミノ酸も糖と一緒に細胞内に入っていく。細胞の中にアミノ酸が入る時に、糖と同じホルモンが出る。

糖が細胞の中に入る時に膵臓から出るホルモンとは「インシュリン」。

インシュリンがアミノ酸が細胞内に入る時も膵臓から分泌される。それにより糖も一緒に入る。

なので、糖は基本的にアミノ酸(タンパク質)の量よりも多くないと低血糖になるということ。

低血糖になるとストレス反応が起きるので、糖質は最低でもその2〜3倍必要である。

31:25

タンパク質は、アミノ酸が細胞の中に入った後、利用されるのにも糖のエネルギー代謝からできたエネルギーが必要。

そのエネルギーを確保するためにも最低でも2〜3倍は必要。つまり、糖は一日100〜300gは必要だということ。

31:48

●最適な三大栄養素の比率

アミノ酸(タンパク質)の摂取量から逆算していくと、その2〜3倍が糖。その残りが脂質。

ただし、この脂質は「飽和脂肪酸」が主体でないといけない。プーファではダメだということ。

32:10

例えば、一日の総カロリーを2000kcalとした場合。

・タンパク質:タンパク質が約75〜100g。

・糖質:その3倍量が糖質なので、糖は250〜300g。

・脂質:その残りが脂質なので、約50g。

一日の最適な三大栄養素の比率は上記が理想。

32:42

【タンパク質の質】

上記の脂肪の質では、脂肪の量は一日2000kcalで50gということだったが、その脂肪は飽和脂肪酸で、プーファではあってはいけないという話でした。

タンパク質でも“質の問題”が脂肪と同じようにある。

33:10〈映像確認〉

●タンパク質の利用効率を見た図

タンパク質の利用効率は、様々な指標がある。

プロテインイペシャンシーレート?(33:20)、バイオロジカルバリュー、ネット・プロテイン・ユーティライゼーション、ダイジェスタデューティー?(33:26)

いずれの指標を取っても、soy protein-wheat gluten、いわゆる植物性のタンパク質はどの指標で見ても質が低い。

つまり、利用効率が低いということがわかる。

33:53〈映像確認〉

●さらに、一日のタンパク質量で体重あたり1g、そして2gにした場合にミルク、大豆、小麦を摂取した場合

縦軸)どれだけ排泄されたか(異化/身体で有効利用されずにそのタンパク質が放出されたか)

これは、ミルクが一番窒素量が低く、小麦が一番大きい。

これは、1g、2gにした場合も同じ。

つまり、植物性タンパク質は異化の程度が大きい。

大豆、小麦といったタンパク質は尿中から排泄される異化の量が大きい。つまり、自分の身体のタンパク質になっていないということが一目瞭然。

34:58〈映像確認〉

●ネット・ナイトロジェン・ユーティライゼーション(Net nitrogen utilization):純窒素効率

これは、私たちが口から摂取した食物のタンパク質量。窒素量から汗や尿、便として排出される窒素量を引いた純粋の効率を示してる。

この純窒素効率(摂取した内のどれくらいが体内で使われてるか)がわかるグラフがある。

(左から)

・アミノ酸:ほぼ100%体内で利用されてる

・卵:48%が排泄されずに体内の合成で使われてる

・肉類:33%(最大で約36%)

・卵白:18%

・大豆:17%

・プロテインサプリ:16%

36:12

なので、大豆やプロテインサプリ、卵白は8割以上は排泄され、私たちの身体の一部にならない。非常に効率が悪い。

ということなので、どうしても筋トレなどで筋肉を増やしたい人はアミノ酸をそのまま摂取するか、卵や肉類を摂る方が遥かに効率が良いということになる。

36:44

植物性タンパク質はほとんど排泄される(異化)が、トリプシン阻害剤以外にも豆類に含まれるレプチン、タンニンが含まれてる。

これらは小腸でもタンパク質・アミノ酸の吸収をブロックする。

なので、せっかくのタンパク質も有効に使われない。

そういったタンパク質の吸収をブロックするようなものが入ってるので、大豆をたくさん摂ってタンパク質・アミノ酸を補おうという考え方そのものがサイエンスじゃない。

元々タンパク質をGETするために植物はないということが言える。

37:44

●タンパク質の消化吸収障害のある場合、アミノ酸補給をどうするか?という問題

これは、現代人はほとんどが甲状腺機能低下症=糖のエネルギー代謝が低下してる状態。

この状態では消化酵素または胃酸も出ないので、せっかくタンパク質を摂取したとしても吸収できないという状態が現代人の置かれてる状況。

その状況では、タンパク質が入らないということになる。

なので、このような場合には純窒素効率から考えると肉類を食べた場合に約32%が身体に使われる。

これを一日の最低量である100g(異化が起きない程度の量)のタンパク質を摂取した場合は、100×0.32=32g(32%の純窒素効率なので)なので、アミノ酸だと一日32gあれば何とか異化が起きない程度で体内でしっかり同化が行われていく、という量になる。

39:22

↑ここまでがタンパク質の量、そしてタンパク質の質について。

↓次はタンパク質の構造について。

39:35

【タンパク質の構造】

①まず、アミノ酸が数珠状に連なった「一次構造」が最初にある。

②そして、これが「βシーツ」のように折りたたみ状になるのか、「αヒリックス」(ヒリックス:螺旋)のような螺旋状になるのかによって「二次構造」が決まる。

40:11

③そして、このβシーツやαヒリックスがたくさん連なった形を「三次構造」という。または、「タンパク質の折りたたみ構造」ともいう。

④また、この三次構造のものがたくさんユニットとして存在する形が「四次構造」。これが最終的なタンパク質の形。

40:47

例えば、卵をボイルすると黄身と白身が固まる。

これは、上記の構造から見るとどういう変化が起こってるのか?

これの元々の形は四次構造。これが熱変性を受けることで三次構造→二次構造→一次構造まで分解された形がゆで卵の状態である。

つまり、アミノ酸が数珠状に繋がっただけの一次構造に戻った形が、熱変性を受けたゆで卵の構造。

なので、この方が消化が良いということになる。

41:44

●タンパク質の変性

これは、四次構造や三次構造の折りたたみが開くということ。それを「アンフォールディング(unfolding)」という。

タンパク質の二次〜四次構造が最終的に一次構造になり消化のしやすい形になる。

このようなタンパク質の変性を起こすものが、ボイリングなどの加熱、また洗剤、有機溶媒、強酸、強アルカリ、重金属のイオン形態といったものが作用することで、タンパク質が変性していく。これは、非常に重要。

42:27

・熱:熱を加えてタンパク質を変性させていくというのは、消化を良くするために必要な料理法。

・洗剤:洗剤は服などにシミの付いたものを取るためにタンパク質を変性させてる。

ここまでは良いが、

・有機溶媒、強酸、強アルカリ、重金属のイオン形態:これらが作用した場合は正常細胞のタンパク質が変性していく。

これがいわゆる炎症ゴミ。炎症ゴミになるということ。

43:14

タンンパク質の変性というのは最も有名なところではアルデヒドがくっついたもの。これも同じ炎症ゴミになる。

また、重金属が作用した場合にも同じ炎症ゴミができる。

重金属のイオン形態というのは、アルデヒドに非常によく似た作用をする。

43:40

●タンパク質の折りたたみ、または修復がどこで行われるか

これは、細胞の中の核の周囲にある「小胞体(endoplasmic reticulum,ER)」と呼ばれる小器官で行われる。

「シャペロン」と言われるタンパク質の介在でタンパク質を折りたたんで機能を持つようにする。

あるいは、間違って折りたたんだり、変性した、または凝集したものを介助する働きをする。

簡単にいうと、小胞体というのは核で作られたタンパク質を機能を持たせるように修復する小器官。これを小胞体という。

44:46

小胞体の一部でも「粗面」と「滑面」という小胞体がある。

*滑面小胞体:ステロイド、コレステロール、リン脂質といった脂肪に関するものの修復を行う。

*粗面小胞体:タンパク質の折りたたみを一般的にERと呼ばれるが、粗面小胞体が担当してる。

45:14

●小胞体ストレス

これは「ERストレス」と呼ばれる。

ERストレスとは、小胞体という小器官にストレスがかかった場合に起こる一連の現象のこと。

実際に小胞体でのタンパク質の折りたたみ、または修復が邪魔されるとどうなるか?

それは、小胞体に変性したタンパク質が蓄積する。

そうすると、これは異物になるのでゴミ掃除をしなければいけなくなる。この時にエネルギーがないと変性タンパク質(ゴミ)を処理しようとしたマクロファージから炎症がスタートする。そうすると、小胞体にストレスがかかる。

そして、最終的にはガンになったり、細胞自体をなくしてしまう細胞死になってしまう。

46:24

●小胞体ストレスの原因とは?

これもプーファが関係してる。

小胞体の修復、タンパク質の修復を助けるシャペロン、あるいは小胞体の膜構造そのものにプーファの自動酸化からできるアルデヒドが結合することにより、この小胞体ストレスが与えられる。

その他、低血糖・低酸素・乳酸・低タンパク質といったものも糖のエネルギー代謝を低下させていくので、小胞体にストレスを与える直接的な原因になる。

47:15

●小胞体ストレス(ERストレス)と疾患

・アルツハイマー

・パーキンソン

・筋萎縮性側索硬化症

・2型糖尿病

・動脈硬化

・非アルコール性脂肪肝

・C型、D型肝炎

・アルコール性肝障害

・ガン

上記のものも、実は小胞体ストレスと関連してるということが伝えられてる。

47:52

●タンパク質の新陳代謝

タンパク質は一日300g〜400g。これが、体内にタンパク質が入ってきた時・・・特に変性したタンパク質は速やかに小胞体で分解し、アミノ酸レベルにしてタンパク質にリサイクルしていく。

この時に、小胞体で働くような分解システムは2つある。

48:34

《プロテアソーム》

一つは「プロテアソーム」。「ユビクイティン」というシステムがある。

細胞内で産生されたタンパク質を分解していく。つまり、変性したタンパク質、必要じゃなくなったダメージを受けたようなタンパク質を分解していくのがプロテアソームと言われるメカニズム。

《ライソソーム》

もう一つは、タンパク質を細胞内に取り込んだものを分解するのが「ライソソーム」と呼ばれる機構。

これは、「オートファジー」(日本では「自食作用」と呼ばれる)というものによりタンパク質を分解していく。

このようなタンパク質の分解の機構が細胞の中には備わってる。

49:33

「ユビクイティン」というタンパク質があるが、これがプロテアソームというところに働いて、変性したタンパク質を分解していく。

その他にもライソソームという分解機構によって変性したタンパク質、あるいは異常タンパク質が分解されていく。

このようにタンパク質と凝集、あるいは変性タンパク質が溜まっていくということを抑制するというシステムが細胞の中に備わってる。

50:11〈映像確認〉

●ユビクイティン・プロテアソーム経路

ユビクイティンがダメージを受けたタンパク質(映像確認50:20)に結合してプロテアソームでダメージを受けたタンパク質が綺麗に分解される。

そして、アミノ酸となりリサイクルされていくという図。

50:41

そのユビクイティンと呼ばれるプロテアソーム。ダメージを受けたタンパク質を分解するメカニズムに必要なユビクイティンにアルデヒドがくっつく。

そうすると、プロテアソームで正常に作用しない変性したユビクイティンが異常タンパク質を分解することがブロックされる。

このユビクイティンがアルデヒドによって障害されることで起こる代表的な疾患がアルツハイマーとガン。

51:27

このように折りたたみ異常=修復(タンパク質のきちんとした機能を持つ修復)が上手くいかない病気を、「protein misfolding diseases(タンパク質の折りたたみ異常)」という。

これは、不正確な折りたたみ。

「マルファン症候群」、「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」もタンパク質の折りたたみ異常が認められる。

また、折りたたみが不安定化する(きっちりとした折りたたみができない)のが「ガン」。

52:09

そして、折りたたみ異常が起こり変性が起こるようなタンパク質が溜まっていき、それが溶かされない状態を不溶性の凝集という。

これはほとんどの神経変性疾患、アルツハイマー、パーキンソン、ハンチントン病というような脳の神経細胞、また神経細胞そのものを変性させていく病気以外にも糖尿病もそう。膵臓にこのような変性したタンパク質が蓄積していく。

52:48

●アミロイド(異常タンパク質)

このmisfolding diseases(折りたたみ異常)はたくさんある。

いわゆるアミロイドと言われるもの(異常タンパク質)。

アミロイドーシスといわれるものは自己免疫疾患、ガンといった時には変性したタンパク質であるアミロイド用のタンパク質が各臓器に蓄積していく。

これは、認知症だけじゃなく、動脈硬化、糖尿病も折りたたみ異常で起こる病気だというのがすでに報告されてる。

53:34

折りたたみ異常タンパク質が蓄積するのは、やはりタンパク質を分解するプロテアソームやライソソーム。

そのような酵素以外にもたくさんタンパク質を分解する酵素はある。いずれもアルデヒド、プーファの自動酸化でできるアルデヒドでブロックされてるから。

53:54

例えば、アルツハイマーで有名な「アミロイドβタンパク」といわれるもの。

これは、どんなタンパク質か?

これは、よく調べるとやはりプーファからできるアルデヒドがタンパク質に変性したタンパク質を作ったものが脳の神経細胞に吸収して蓄積したもの。それがクリーンナップできない状態。

54:26

パーキンソン病では、「ルーイボディ」と呼ばれるアルツハイマーのアミロイドタンパクと同等の物質が脳に蓄積していく。

これも、「αシューヌクレイン」という正常のタンパク質にアルデヒドが結合して凝集させるということ。

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糖尿病は「アミリン」と呼ばれる、これもアミロイドタンパク。

膵臓のβ細胞(インシュリンを産生させる細胞)にアミリンと呼ばれるアミロイドが過剰蓄積する。このアミリンを調べると、やはりアルデヒドが結合して変性して、しかもクリーンナップできない状態になってるということ。

55:26

異常タンパク質が凝集すると、アルツハイマー、パーキンソン、BSE(海綿状脳症)、糖尿病、ハンチントン舞踏病となる。こういったものたちは組織を調べると全て異常タンパク(アミロイド)がある。

これは、それぞれの臓器によってアミリンやβアミロイド、ルイボディと呼び方が違う。だけど、全て異常タンパク。

つまり、折りたたみ状の異常タンパクが凝集してるという点では共通してる。

56:10

以上、今回は、タンパク質の生理作用、重要な量と質、そして構造の基本的なことについてでした。

fin

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